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第29話 ポーション大量ゲットだぜ!

美人商売作戦が終わり、メシの後で風呂になった。


俺は…お風呂に入ってまじまじとイオナのお腹を見た。


『母親だしじっくりみていいよね!』と自分を誤魔化しながら見る。


裸になってみるとお腹のふくらみがよくわかる。胸もだいぶ大きくなっているようだった。


妊娠を聞いてから20週はたったもんな。でも服を着るとそれほどお腹は目立たない。


しかし気持ちがいい。全員で入っているので目の保養にもなっている。俺は8歳で旅の途中だし男性旅行者たちと一緒に1人で入らせるわけにはいかないので、うちの女性陣と一緒に風呂に入っている。


マリアは20歳になってすっごい発達してしまった。カッコよく張りのある胸とくびれ、お尻回りも筋肉がついて引き締まっている。射撃訓練で森の中を走り回っていたからなあ・・スポーツ選手のような引き締まり方をしている。


頼りになりそうだ。


ミーシャは14歳なのでまだまだ発展途上というやつだな・・胸のふくらみはまあまあだが、マリアほどではない。くびれもそんなにあるわけじゃなくこれからに期待ってところだ。


ミゼッタはまだ子供、ぺたんぴったんこ。がんばれよ!


てかさ・・一応8歳だけど俺は男なんだからさ、ちゃんと前隠してよ・・みんな・・


なーんて考えていたら


・・・・ぶくぶくぶく・・・



「ラウル様!」


マリアの叫び声を最後に意識を失った。



どうやら・・のぼせと興奮で鼻血をだしながら湯船に沈んだらしい・・




次の日の朝になっていた。


誰かが俺をベッドまで運んでくれたんだな。横を見るとミゼッタが寝ていた。4台のベッドそれぞれに大人が眠ったのか。


《・・・少しはみなの疲れがとれるといいのだが・・》


昨日は素晴らしかった!この世の楽園だった!ああ神様!童貞の俺を転生させてくれてありがとう。


と、バカなことを考えながら起きた。


ニクルスは荷物が無くなってしまったので今日はもう商いをしないという。さらにお礼にという事で、いつもこの宿場町で補給するという商品を買うので一緒にどうかと言われていた。


俺たちはようやくしっかり休める状況になったので、今日は一日部屋から出ずに療養しようとしたが、ニクルスのせっかくの誘いだったのでマリアと俺が一緒に買い物に行く事にした。


イオナには絶対に休んでもらいたいしミーシャとミゼッタは過酷な旅路での出来事でかなりまいっていたからだ。


しかしマリアもまだぐっすり寝ているようだった。とりあえずそっと起こしてみる。


「マリア・・大丈夫ですか?起きれますか?」


「ああ、ラウル様すみません・・ぐっすり眠っていました。」


「いいんですよ。もしよかったら俺一人でニクルスさんについていきますけど・・」


「いえ、わたくしも行きます。ラウル様に何かあってからでは遅いですから。」


「大丈夫だと思いますが、それでは一緒に行きましょう。」


マリアがおきて準備をし始めると皆起きあがった。


「おはようラウル、マリア。」

「おはようございます・・」

「おはようございます!」


「おはようございます。それでは行ってきますね、宿屋から外に出歩かない方が良いと思います。待っていてくださいね。」


するとミーシャが謝ってきた。


「すみませんラウル様、本来ならば私が行かなければいけないのですが・・」


「いえもうフォレスト家は無いんです。いわばこの5人は運命共同体というわけです。出来る人ができることをやって行きましょうよ。」


俺はミーシャをなだめる。


「大丈夫よ。ミーシャ私が何があってもラウル様をお守りするわ。」


マリアがミーシャを安心させるように言う。


「大袈裟ですよマリア、僕はニクルスさんの買い物に付き合うだけですから。」


「気をつけて行ってらっしゃい。」


イオナに促されて俺とマリアは部屋を出てニクルスさんの部屋をノックした。


「開いてますよ。」


ドアを開けるとニクルスさんが出かける支度を終わって待っていた。


「遅くなりました。」


「いえいえ、私めも今しがた準備が終わったところでした。」


「エリックさんは?」


「冒険者ギルドに私の代わりに行ってもらいました。帰りの護衛の手配をしてくださるそうです。」


「なるほど。」


ニクルスと俺たちは宿屋をでて商店街へと歩きで向かった。ニクルスは20キロくらいの布袋を背負っていた。ちょっと重そうだった。


商店街は相変わらず人でごった返していた。


朝から盛況だな・・やはりファートリア神聖国からの難民なんかも混ざっているのか?商店街にはいろんな店があった。武器屋や雑貨屋、食料品店や八百屋など雑多に並んでいる。ニクルスは迷わず街の奥に入っていくと一つの店の前についた。


「なんか・・臭いがしますね。鼻を突くような甘いような不思議な・・」


「坊ちゃんは初めてですか?薬屋です。ここはなかなか有名な薬師がいていいものがあるんですよ。」


「有名な薬師ですか?」


「なんでもその昔ファートリアから流れてきたとか。」


ファートリア神聖国からか・・まあ昔の事だし特に問題はないだろうけど、一応警戒しておこう。薬屋の中に入ると更に臭いは強くなった。その奥にいかにも魔法使いの婆さんって感じの人が座っている。


「いらっしゃい・・おや?ニクルスじゃないかい。元気でやっておるのかい?」


「はい、デイジーさんおはようございます。」


「おや?今日は変わった従者を連れているね。」


「ああ、知り合いのお子さんですよ。」


「そうかいそうかい。」


という感じに二人は旧知の仲のようで普通に会話していた。デイジーと呼ばれた婆さんはまるっこくって小さい。鼻が大きくて鼻の脇にイボがあった。神様の温泉屋の店主の婆さんにもこんなのがいそうだ。


「おはようございます。」


俺とマリアはとりあえず挨拶をした。


「おはよう。かわいい子だねえ・・ニクルスも趣味が良くなったねえ」


「御冗談を。それで・・いつものを買いに来ました。」


「あいよ。」


俺たちの前にピンクのガラス小瓶が何本も入れられた木箱が5段積みにつまれた。ひと箱に20本入っている。これは・・何だろう。おばあさんはひいひい重そうに運んでいるが、どうやら膝が悪そうだった。


「あのデイジーさん今日はあと1箱余計にください。」


「お!なんだい儲かったのかい?」


「少しだけ。」


「まあなんにせよいいことだね。あいよ。」


もうひと箱同じものが出てきた。


「6箱でいくらですか?」


「いつも通りでいいよ。だけどひと箱追加だからね大金貨3枚だよ。」


デイジーとニクルスはいつものように会話しているようだった。


「デイジーさんも、もっと儲けを考えないとダメですよ。こんな良い物をこんな良心的な値段で・・」


「いいんだよ、ワシャ商売人でもなんでもない!ワシの薬で助かる人がいたらそれでいいんじゃ。」


「相変わらずですな。デイジーさんは。」


「ファートリアじゃ、ろくでもない軍の連中や業突く張りの教会の連中が客じゃったから、思いっきり吹っかけておったけどの。」


「ここで売る5倍の値段で売っていたとかの話ですか?」


ええ!5倍の値段。


すげえぼったくり婆さんじゃねえか・・でもここでは相当良心的にやっているみたいだな。


で・・このピンクの液体の入った小瓶はいったい何なんだろう。すごく高価な物のようだ。大金貨の価値が分からないから日本円にしたらいくらくらいか分からないけど、金貨のデカさからすると大金貨は10万円はくだらないと思う。ってことは仕入れで1本5000円以上するって事になりそうだ。


「こんなローポーションでも荒稼ぎしとったわい。でもな、金じゃないんじゃよ人生は。」


《ポーション!出たー!》


ポーションといえばラノベやRPGで知れた回復薬の定番じゃないの!見た目といい・・そのまんまのお薬の瓶だ!すげえええ。ポーション!ポーション!と俺が浮かれていると・・


「あとニクルス、せっかくこんなにいっぱい買ってくれたんだ。これをおまけしておくよ。」


「ええ!こんな高価なものをですか?」


「ああ、製法は変わらず薬草と魔力がいっぱい入っただけの物じゃ。サービスじゃ。」


「ミドルポーションなどいただけませんよ。」


「気にするでない。もっていけ。」


「ありがとうございます。」


ミドルポーションはさっきのローポーションと言われていたものよりさらに赤みが強かった。その瓶を2本差し出される。


「ハイポーションをと言いたい所じゃがあいにくワシの技量ではここまでじゃ。」


「いいえ、ありがとうございます。過分なお気遣いをいただきありがとうございます。あとこれがデイジーさん用に選りすぐった薬草とハーブ10キロずつ20キロです。純度が高いので使えると思います。」


「いつもすまないのう。ニクルスの薬草とハーブはとても質が良いので助かるわい。」


ニクルスは販売用とは別にデイジーさん用の薬草とハーブをとっておいたらしい。20キロの薬草とハーブを前にデイジーがニコニコしている。


「それじゃあニクルス道中気をつけてなあ。」


「デイジーさんもお元気で。失礼いたします。」



ポーションを背負子に縛り付け背中に担いだニクルスは丁寧にデイジーにお礼をして店を出た。ニクルスは話し始めた。


「いつもはここでポーションを買い込むんですよ。ラシュタルからここまでは平たんな道故、何も危険がなかったのです。いつもはラシュタルでは買わず安いデイジーさんの店で仕入れるんです。今回はあんな軍人崩れみたいな族に襲われましたが、普段であれば必要が無かったので持っていなかったんです。」


「どうして、ラシュタルではポーションを買わないんですか?」


「先ほどデイジーさんもおっしゃってたようにこの値段の数倍もするからですよ。」


「ああ・・ファートリアで5倍で売っていたと言っていましたね。」


「まあちょっと高いですが、それは普通の話です。」


そうなんだ・・ポーションって普通は一本2万円〜3万円するって事か・・たっけええな。でも命を救うものだしそれだけして当たり前か・・


「ニクルスさんがデイジーさんの店を贔屓にする理由が分かります。」


「これでも商人の端くれですからなあ。いつもは半分をグラドラムで売って半分をラシュタル売るんですが・・今回はラシュタルに戻ったら3倍の値段で売るわけです。3倍でも良心的と言われるんですよ。」


「デイジーさんファートリアで5倍って言ってましたもんね。」


しかしラシュタルからの道中でポーションを持っていなかったのは危険が少なかったからなのか・・俺たちのせいで御者を3人も失ってしまって・・ニクルスさんすみません。


話をして歩いているうちに宿屋についた。


「坊ちゃん。イオナ様はお部屋におりますか?」


「ええ、いると思いますよ。」


「うかがってもよろしいでしょうか?」


「かまいません。」


部屋にニクルスと一緒に行く。


「あら、ニクルスさんこんにちは。何かとありがとうございました。」


イオナが立ち上がり礼を言う。


「いえいえ。助けられたのはこちらですから。あの・・よろしければこちらを差し上げますどうぞ道中で何かありましたらお使いください。」


ニクルスはそう言って20本入りのローポーションの箱を1箱とおまけでもらったミドルポーション1本をイオナに差し出した。


「あら・・これはポーションですね。高い物でしょうに・・よろしいのですか?」


「ええ、何かとお世話になりましたし、これからグラドラムへの道中は危険もございますゆえ差し上げます。ぜひ気兼ねなくお受け取りください。」


「それでは・・お言葉に甘えていただきますわ。本当になんとお礼を申し上げて良いか・・」


「これも何かの縁でございます。そしてイオナ様たちも何か訳ありのご様子。さぞ動き回るのに不自由もございましょう。持っていて不足はございません。」


あれ・・?商人の勘かなにかで俺たちのおかしい様子に気が付いている様子。でも詮索しないのはきっと恩義を感じているからなのだろう。この人は商売も上手だが優しい人なんだな・・ラシュタルに無事に帰れるように祈っています。


「そこまで分かっての事でしたか。ニクルスさんからの御恩は忘れることはないでしょう。」


「いえ、御恩などと・・私もあなた方と巡り合えてよかったと思っております。」


「お互い無事にたどり着けますように。」


「ここでお別れとなりますが、あなた方の無事を祈っております。」


「もう旅立たれるのですか?」


「ええ、商いも終わってしまいましたし、エリックが護衛の手配を終えたらすぐに旅立ちます。3人の御者の遺族にも報告をせねばなりませんしな。」


「わかりました。またお会いできる日を楽しみにしております。」


「ありがとうございました。」


ニクルスはそう言って部屋を出て行った。エリックはまもなく帰って来て護衛を二人連れてきたので、そのまま自分の部屋を空けて出て行った。


「イオナ様、わたくしは本当にあなたに会えてよかった。」


エリックが最後までイオナの手を離さず挨拶をしていた。目に涙を浮かべているようだった・・本当に好きだったんだな・・妊婦の未亡人なんだけどね。



俺たちはその後1日部屋でゆっくりと英気を養った。死ぬ思いをしてたどり着いた平和な1日をすごせた・・今日の夜も浴場にみんなで入るのかな・・



おれはついついにんまりだらしない顔をしている事に気が付かなかった。



「変な顔してどうしたの?」


ミゼッタが聞いてくる。


「なんでもないよ。やっとゆっくり休めると思ったから緩んだだけさ。」


「そうなんだ・・」



ミゼッタが変な物を見る目で俺を見るのだった・・

次話:第30話 暗殺戦闘作戦

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