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第262話 理不尽にゲームを覆してやりました

「ふっはっはっはっはっはっ!面白いやんけ!」


俺がつい大声で叫ぶとトラメルとケイシー神父がひいている。


「最初ダメなんて言ってなかっただろ。後付けでどんどんルール付け足して攻略させねぇつもりなんだな!いいだろう!そっちがその気ならこっちにも考えがある!」


「ら、ラウル殿・・どうしました?」


「ええ!トラメルさん!ここの主とやらはどうやら攻略させる気はないらしい。」


「でも・・考えって?」


「上空もダメ乗り物もダメ。じゃあまだダメじゃない事をやりますよ!これはまだダメと言われてないことをです。」


「ラウルさん!まだ奥の手があったんですか!」


「ありますあります!いくらでもありますよ。ふふふふふふ!」


「なんかラウルさんが・・怖いです。」


「迷宮に入る前ならまずルールは適応されないだろうから、入る前にいろいろと調べてやろうと思います。」


《そうだ。この中に入ってからだと、後だしじゃんけんの様にルール変更するような奴だ。どうせ何をやったって覆されるに決まっている。》


俺は先にいろいろと確認してやる事にしたのだった。


「こっちはルールもわからずやっているのに、後出しでルールを付け加えやがって!じゃあこっちのルールも教えてあげようじゃないか!ふっはっはっはっはっ!」


大声で言うと、トラメルとケイシー神父がビックリしている。


「いつも冷静なラウル殿が・・」


「ええ、何か別人の様です。」


そして俺は外側の壁いっぱいいっぱいに下がり、躊躇せずにある物を召喚した。


ドン!


M777 155ミリ榴弾砲。


4トンの巨大な砲台だ。


「こ、これは!!?」


「ええ。トラメルさんよくぞ聞いてくださいました!これは凄いんですよ!M777 155ミリ榴弾砲といって、さっきのスケルトンを倒した時の武器とはわけが違います!」


「そ、そうなんですね!?」


「ええ!ええ!ちょっと手伝ってもらえますか?」


二人に手伝ってもらいながら俺はM777 155ミリ榴弾砲の足を広げて固定していく。


「そうそう、砲台が動いちゃったら大変だからね!」


足を伸ばして完全に固定した。


「さーてと。」


俺はM107砲弾を召喚した。


M107弾の内部にはTNT爆薬6.6kg充填されてあり、破片を飛散させかなりの衝撃波で大きなダメージを与える。


ガパン


ガシュ


バン!


俺は後ろにある尾栓を開けて弾を込めて閉めた。


《よし!弾はバッチリ!やっぱ派手に爆発するM107弾頭だよね!テヘペロ!》


そしてM777 榴弾砲の俯仰角を水平に向けた。


榴弾砲の先にあるのは・・


そう。壁。迷宮の壁の入り口付近だ。


「とりあえずトラメルさんとケイシー神父は離れてください。そしてまた耳と目を塞いでくれますか?かたくお願いしますね。」


「は、はい!」


「はい!」


二人は俺のただならぬ雰囲気に息を呑む。そして慌てて離れ目と耳をふさぐのだった。


「さーてと、どうかな?」


俺は引き金のワイヤーを引っ張る


「うりゃぁ!」


スボドォォオォン!!!


ボズガァァァァン


「ウッギャァァァァァァァァ!!」


おや?なんか声がしたぞ。


初速827メートル毎秒で飛んだ弾丸は、迷宮の壁から突っこんで入り口から奥までの壁を吹とばした。


「うーん。もう一発」



ガパン


ガシュ


バン!


「よっ!」


スボドォォオォン!!!


ボズガァァァァン


「アンッギオャォォォォァァァァ!!」


また声。


「よし!」


更に広範囲に先へと迷宮の壁が壊れた。


俺はトラメルとケイシー神父の所に行って呼ぶ。


「見てください!だいぶ見通しが良くなりましたよ!」


「本当ですわね!こんな・・ものすごい音がしましたがそのせいですか?」


「ええ。私が壊しました。」


「ラウルさん・・・」


ケイシー神父はまだ引き気味だ。


「えっと次はもっと中心部分にやっていきましょう。」


俺はオートパイロットでブラック・ホーネット・ナノを上空に飛ばす。


ディスプレイで映像を確認して他の武器を召喚し始める。


自衛隊が使う豊和工業製の120㎜迫撃砲だ。


「見ていてください。」


俺は迫撃砲の狙いを迷宮中心部分の建物周辺に定める。


「よっ!」


ゴロン


俺は 120mm迫撃砲弾を召喚した。


「えっとこれをですね。こうやって・・」


俺は迫撃砲に砲弾を入れる。


シュッボン


バシュー


迫撃砲が飛んでいく。


ドンッ!


「グアァ!」


なんだか声がうるさいな。何の声なんだろう。


二人がディスプレイ越しに迫撃砲の着弾を確認する。


「すごっ・・」


「ホントっ?」


「どうです?トラメルさんもやってみたいですか?」


「私でもできますの?」


「ええ。トラメルさん超簡単ですよ。」


ゴロン


俺は120㎜砲弾を召喚した。


「これを急いでここの穴に入れ込んで、すぐ手をひいてください。」


「さっきラウル殿がやったとおりね。」


「そうです。」


シュッボン


バシュー


ドンッ!


「イデデ!」


「わあ!出来ました!」


トラメルは呑み込みが良く、迫撃砲をうまく装填して撃ちこんでくれた。


「どうです?スッキリするでしょう?」


「します!」


次に俺はケイシー神父に向かって言う。


「やってみます?」


「僕も・・い、いいんですか?」


「どうぞどうぞ!」


ゴロン。


「はい砲弾。」


「え、ええ。」


「じゃあこうやって・・」


「こうですか?」


シュッボン


バシュー


ドンッ!


「アヂヂヂィ!」


さっきからうるさいな変な声。


「どうです?」


「すっごい気持ちいいです!」


《そうだろそうだろ。ケイシー神父もこの爽快感を分かってくれたか!》


「でしょでしょ!」


「それでなんですが・・ラウル殿。さきほどから変な声が聞こえますよね?」


トラメルも気が付いたらしい。


「そうなんですよ。悲鳴が聞こえますよね?」


「ラウルさん達もやっぱり聞こえてたんですか?」


「ケイシー神父も気が付きました?」


「ええ。」


やっぱり叫び声は空耳じゃないらしかった。


「じゃあまたこのドデカイのを撃ちますよ。ちょっとうるさいので耳を塞いでください。離れて見ててもいいですよ。」


「はい。」


「わかりました。」


155㎜榴弾を召喚する。


「大きいですね!」


「ええ、これがまた凄いんですよぉ!」


ガパン


ガシュ


バン!


M777 榴弾砲に砲弾を装填した。


「あ!じゃあ私がトラメルさんの耳を塞いでいてあげますから、発射してみます?」


「い、いいんですか?」


「どうぞどうぞ!」


俺がトラメルにワイヤーを持たせて引くように教える。


「じゃあ私がトラメルさんの耳を塞いであげますね。」


「ああ、あのありがとう。」


トラメルの耳に手を当てて塞いであげると、ちょっと赤い顔をしていた。


《よく考えると、俺・・なんか大胆な事してるのかもしれない・・ヤバ。》


手を引こうと思ったが、それではトラメルの耳を守れないのでそのままにする。


「では引いてください!」


「はい!」


グイ!


スボドォォオォン!!!


ボズガァァァァン


「おぎゃぅああああぁぁぁぁ!」


「すっっごぉぉぉぉぉい!!」


トラメルがめっちゃ興奮し始めた。


「トラメルさん!どうです?」


「最高に発散できます!」


「ですよねー!」


「でもまた声が聞こえましたね。」


「本当ですね。」


そして迷宮の壁は更に壊れて中央の方に広く破壊されていた。


「じゃあ次はケイシー神父ですね!」


「い・・いいんですか?」


「もちろんもちろん!気分いいですよー!」


「わかりました。」


俺はスマート補聴器TCAPSを召喚した。


「あのこれを耳に入れてください。爆発音が消えて話し声を拾うようになります。」


二人は俺からTCAPSをとって耳に入れる。難聴予防として米軍ではすでに兵士2万人に配備してある便利装備だった。ヘッドセットをつけて話せば声がクリアに聞こえるので戦闘中でも指示が聞こえ、逆に爆発音などは地下鉄の音程度になる優れものだ。


「聞こえますか?」


「鮮明に。」


「はっきり聞こえますね。」


「よかった。凄い音は消音するので便利ですよ。」


そして俺はまたM777 榴弾砲に召喚した砲弾を装填した。


「このワイヤーを引っ張ると撃ちます。」


「わかりました。」


グイ!


スボドォォオォン!!!


ボズガァァァァン


「ウッッヒィィィィィ!」


「どうです!」


「きもちいいー!」


そして更に壁が崩れてどんどん視界が広がっていくのだった。


「さあさあ!どんどんやりましょう!弾はいくらでもあります!」


「わかりました!」


「はい!」


155㎜榴弾砲と120㎜迫撃砲の砲弾を召喚してみんなで景気よく撃ち始めた。


花火みたいなもんだ。


スボドォォオォン!!!


ボズガァァァァン


シュッボン


バシュー


ドンッ!


「ウッッギェイェェェェ」


スボドォォオォン!!!


ボズガァァァァン


シュッボン


バシュー


ドンッ!


「ギャハァアァァァ」


スボドォォオォン!!!


ボズガァァァァン


シュッボン


バシュー


ドンッ!


「ギェェェェェェェェ」


それから、それぞれの砲弾を5、6発ずつ撃ちこんで大迷宮を焼け野原にした。


俺達がうれしがって、どんどん破壊の限りを尽くしてウキウキしているところに声がかかった。


「やめてぇぇぇぇ」


「ん?」


「何か聞こえました?」


「そうですね・・」


俺達は一度手を止めて聞き耳を立てる。


・・・・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・・・・


シーン


「あれ?気のせいですね!」


「そうみたい!」


「じゃあ次は僕の番ですね!」


グイ!


スボドォォオォン!!!


ボズガァァァァン


「グッッハァァァァァァ!やめてくれぇぇぇぇ!」


「やっぱり空耳じゃなかったですね。」


「とりあえず聞いてみましょうか?」


「そうですね。」


俺は大きな声で迷宮に向かって叫ぶ。


「おーい!さっきからやめてって言ってる人!やめてほしかったら迷宮の攻略を邪魔しないでくれ!」


「・・・・・・・」


「答えが無いですね。」


「ホントですね。」


そして俺は少し考える。


「えーっと!!もし返事が無くて俺達の願いがかなえられなければ、これを撃つの100回続けます!許してくれとか言っても止めませんけど!10数えるうちに返事ください!」



「わかーった!!話そう!ぜひ話をさせてください!」


「分かりましたどうすればいいですか?」


「ちょっ・・ちょっとまってぇぇぇ」


そして俺達が迷宮を見ていると・・


迷宮がまたスライドパズルのように動き出して、目的地まで1直線の道が出来た。


「えーっと!歩くの嫌だから車に乗りたいんだけどいいかなぁ!!」


「ええ!どうぞどうぞ!いいですいいです。その方が早いですよねぇ。」


「迷宮に入ってから何かしたらもっと凄いコトしますよ!」


「しませんしません!するわけがありません!もう嫌です。」


なぜか従順に従ってくれるようだった。


俺は手元にブラック・ホーネット・ナノを呼び戻してリュックにしまう。


「じゃあトラメルさんケイシー神父!また車に乗ってください。」


「ええ。」


「わかりました。」


俺達3人を乗せたRanger XP 900 EPS小型ビーグルはまた迷宮に入り込んでいくのだった。


今度はまっすぐに。

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― 新着の感想 ―
[一言] やはり暴力
[一言] ラウル君がキレました…トラメルさんケイシー神父が引くほどにw 前回の感想でも言いましたが、もう好きに暴れてくださいw 怒涛の花火大会w 手始めにM777 155ミリ榴弾砲(4トンの巨大な…
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