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第123話 催淫の香

夜になって雨がパラついてきた。


空気が一気に冷やされていく。このあたりは寒暖の差が激しく雨なんかが降ると著しく気温が下がる。


「少し冷えてまいりましたね。」


「うん・・そうだね・・」



マリアと二人きりのテントの中で話をしていた。



寝る前にシャーミリアたち魔人の意味深な言葉は何だったのだろう。


「ご主人様、みな意識の共有を遮断いたします。元始魔人の魔力を抑えてください。」


「あ・ああ・・わかった。」


おかげで魔人達との意識のつながりが感じられない。


《そんな・・ネット回線の切り替えみたいなことできんの??とも思ったが深く考えない事にした》


どうせゴブリン隊とカトリーヌ以外全員起きてるんだろうけど。


カトリーヌはえ?マリアは私達と寝ないの?って顔してたなあ・・



ファントムはおそらく俺とマリアがいるテントの外で見張りをしているだろう。相変わらず遠くをみて何の意識も持たないまま佇んでいるのだろう。ファントムは敵と認識すれば瞬殺してしまう。意識を切るとなんでも殺してしまう可能性があるので、コントロールをシャーミリアに頼んである。



「すこし寒くなってきたな。」


「ラウル様・・子供の頃のようにお体を拭いて差し上げましょうか?」


「ああ懐かしいね。昔はいつも二人でお風呂に入っていた気がするよ。」


「イオナ様が忙しい時には私がお風呂入れをしていましたから。」


「ユークリット王都の家でのことも覚えてるよ。」


「あんなに小さい頃の事をですか?」


《そりゃそうだよ、だって中身31才だものハッキリ覚えているさ。17才のマリアはもう少し華奢だったけど胸だけは爆弾のようだったよ・・なんて言えないけど・・》


雨が本降りになって来た。


ザーザーとした音が強まってきて雨音しか聞こえなくなった。


「こんな音の中でもあいつらの何人かは、人の足音とか聴き分けるんだぜ!凄いよな。」


「本当ですよね。」


「サナリアからグラドラムに逃げる道中は本当に心細かったのに、いまはまるで母親のお腹の中にいるような安心感だよ。」


「ええ。あの時は本当に生きた心地がしませんでした。」


「ニクルスさん達から助けられたのもこのあたりだった。」


「残念な事です。まさか殺されてしまうなんて。」


「ああ、イオナをユークリットの女神と見抜いてそれを口に出さずに、ルタン町まで送ってくれたんだ。」


「エリック、ペイジ、ラリーの冒険者にも助けられました。」


「あの時、ペイジとラリーは残念なことをした。エリックだけはその後の消息がつかめていないみたいだ。」


そういえば・・エリックはニクルスさんとラシュタルに戻ったはずだったが、やはりニクルスさんと一緒に殺されてしまったのだろうか?


「エリックさんだけでも生きていてくれるとうれしいのですが・・」


「そうだな。」


「あの時ここまで来るのに凄く大変な思いをしたというのに、あっというまにここまで来てしまいましたね。」


「俺も車が召喚できるようになったし、魔人達の足はとにかく速いからな。」


「ええ、私もふかふかのゴーグの背中で楽をさせていただいてます。」


「一緒にいたらミゼッタがやきもちを焼いてしまいそうだ。」


「ふふふ。そうですね。」


今回の遠征にはイオナ、ミーシャ、ミゼッタは来ていない。危険な旅だからだ。彼女らではこの過酷な旅についてくる事はできないだろう。カトリーヌは魔力で体に補正がかかるからついてこれるし、マリアは魔人達との訓練によって身体強化が出来るようになって来た。


《気なのか魔力なのか分からないが、まるで強い騎士のように身体強化が出来るようになった。マリアは天才だったんだな。》



街から持ってきたタライに補給用の水を入れて、マリアが火魔法でお湯を温める。カンテラの優しい光がテント内を灯し2人を浮かび上がらせていた。


「温まりました。」


マリアはそういうと俺の服を脱がせはじめた。


「いや、自分で脱げるから大丈夫だって。」


「いいえ昔を思い出して、身体の力を抜いてゆったりとしていて下さい。」


「いいよ・・もう大人だから。」


「いえ、ラウル様はまだ大人ではありません。逞しくはなりましたが、まだ少年です。」


「次の春がきたら13になる。」


「人間でしたらまだまだ子供です。こんなに立派になられたのは魔人の血が流れているから・・でもそんなに早く大人にならないでください。」


「まあ、そうだな・・まだ12か・・」


「はい、ですから私が脱がしてあげるんです。」


「分かった。」


なにが分かったのか・・が分からないが、とにかくマリアにまかせることにしよう。


「私もこんな、おばさんになってしまってすみません。」


《いやいや!前世で31才とこっちで12才!足すと43才のおっちゃんの魂の俺からしたら、22才のマリアはヤバいくらい若いんですけど!なんて言えないけど!》


「おばさんとか思ってない。マリアは素敵な女性だと思うよ。」


「まあ、お世辞でもうれしいです。」


マリアはお湯で手ぬぐいを濡らして軽く絞り俺の体を拭いてくれていた。拭いてもらいながら話をしている。


「お世辞じゃないって。マリアがいてくれて子供のころからどれだけ助けられたか分かんないよ。」


「ありがとうございます。」


《ああ・・この手つきだ。俺が子供の頃から慣れ親しんだ優しい手つきだ。本当に大事な物を包むように慈愛に満ちた手つき・・。子供の頃に戻ってしまいそうだった。》


髪に手でお湯をかけてくれて手拭いで拭き、首筋から背中にかけてゆっくりと拭いて行く。腕をもって優しく腕をなぞってくれる、時折たらいのお湯を浸してまた濡らしてゆっくりゆっくり・・


「ズボンも脱ぎましょう。」


「えっ!?いや・・まわりのテントに人がいるし、十分汗は拭きとったと思う。」


「だめです。えい!」


マリアが俺のベルトに手をかけた。スルスルとベルトが抜き取られる。


「いやぁ・・・」


「ふふ。もう観念してください。」


マリアが俺のズボンをスルスルと脱がしてしまった。


「はい、足を伸ばしてください。足もお拭きします。」


素直に足を伸ばす。


「あー気持ちいいな。本当に子供の頃を思い出すよ。」


「はい。」


する〜っと滑るように足先から付け根までゆったり拭いてくれる。


《あーリラックスするわぁ、なんて気持ちいいんだろう。》


なんだかすっごく気分が良くなってきた。



「これを焚くともっと楽になるそうです。」


マリアが何かを取り出して火魔法で火をつけた。


どうやらお香のようだった。


《いい香りがする・・なんだか幸せな気持ちになってきた。》


「このお香はどうしたんだい?」


「よくは分からないんですが、疲れてリラックスさせたい時に使うと良いって、デイジーさんが渡してくれたんです。」


「凄くいい香りだね。」


「ええとても。」


「マリア・・今度は俺が体を拭いてあげるよ。」


「そんなラウル様に拭いていただくなんて。」


「いいから」


俺はマリアの服を脱がし始めた。


マリアも抵抗することなく脱がされている。上半身裸になりマリアは胸を隠していた。


俺は手拭いをたらいのお湯に浸して軽く絞った。


ぴちゃぴちゃ


ギュッと絞った手拭いでマリアの首元から背中にかけて優しく拭いて行く。


拭いてみると分かるが、だいぶ引き締まった体をしていた。なんというか凄くセクシーだった・・


「マリアこっち向いて。」


「はい」


マリアが胸を抑えたまま振り向くので、たらいのお湯で浸した手拭いで体を濡らしていく。


「はあぁ安らぎます。」


「汗かいたからね、なんかこのお香・・なんだか・・変な気持ちになる気が」


「はい・・なんでしょう?デイジーさんが渡してくれたお香は何だったのでしょう?」


「そうだね、なんだろう・・おかしいよね。でも気分がいいや!」


「うふふふ、そうですね私もなんだか楽しくなってきました。」


「マリア!下の方も全部脱いでみたら。」


「ええ、そうですね。邪魔ですもんね・・」


「俺もパンツはいらないな・・」


二人で裸になってしまった。


「じゃあ俺がマリアを拭いてあげるから横になって。」


「はい」


俺が裸のマリアを拭き始めた。


《なんだろう・・めっちゃ興奮する》


「ラウル様・・恥ずかしいです・・」


「俺の体も拭いてたじゃないか。」


「そうですけど、こうして体を拭いてもらうのははじめてです。恥ずかしいですよ・・」


マリアの体を拭いてあげているうちにどんどん興奮して来た。


「あ・・ラウル様・・凄いです。こんな・・」


「えっ?」


と下を向くと確実にデザートイーグルが拳を突き上げていた。


《ああ・・もう我慢できない!マリア!!》



グモモモモモモーン!!!


バサーァー!!!


いきなりテントがガバっと消え去った。


バサッ


俺は咄嗟に一人用テントを召喚してマリアにかけた。


「はぁぁぁっぁぁぁ??」

「えっぇぇぇぇぇぇ??」


俺とマリアが絶叫した。


目の前にバカでかいグレートボアが現れたのだ。



ドン!


目の前にグレートボアの胴体が転がってくる。



「失礼いたしましたぁぁぁぁぁ!」

「いたしましたぁぁぁぁぁ!」

「すみませんん!!!」


ギレザムとゴーグ、ドラグが謝っている。



「な・・な・・・どうした!どうした!」


「間に合いませんでした!」


ギレザムが申し訳なさそうに言う。



そして側らを見るとファントムがグレードボアの首を持っている。


「二人の会話を全員が聞くまいとして念波を遮断していたため、グレートボアがものすごいスピードで突進してきているのに気が付きませんでした!」



「で・・でもどうしてグレートボアが・・」


「ラウル様もしかしたら・・それ・・」


マリアがデイジーさんからもらったお香を指さしている。


「これの・・臭いにつられてきたのか?」



シャーミリアが近づいてきて言う。


「このグレートボアは発情しています・・」


カララも近づいてきて言う。


「あの・・そのお香は私たちの五感を少し狂わせる効果がありそうです・・」


ルフラも近づいてきて言う。


「あの・・ラウル様・・前をお隠しになってください。」


シャーミリアが合わせて言う。


「ああ・・ご主人様・・そのようなお姿で・・私奴にはもったいない・・」


アナミスが言う。


「もしかしたら、私の術に近いものがあるかもしれません・・が私にも効きます。」


ルピアが言う。


「あ・あの・・ラウル様。私はお会いした時からお慕い申し上げておりました。」


カララが制止するように言う。


「それを言うならわたくしだってそうですわ。」


ルフラがずるいと言わんばかりに言う。


「そんな・・私だって言いたかったのに・・」


セイラも重ねて言う。


「私も一緒に海で過ごした日々は本当に素晴らしい日々で・・」



「まちなさい!みな落ち着きなさい!今日はご主人様がマリアとのお時間を過ごす日としたでしょう!」


シャーミリアが声高らかに皆を制する。



「えっ!そんなの私聞いてません!」


カトリーヌが怒ったように口をはさんだ。



「ああの・・私はただ昔のようにラウル様のお体を拭いていただけで・・」


マリアが申し訳なさそうに言うのだった。



「と・・とりあえず落ち着こう。あ・・あの寒い・・寒いんだが・・」


俺は素っ裸でものすごく冷たい雨にさらされながら皆の言い合いを聞いていた。


唇が紫色になっていた。


「「「「「「す・・すみません!!!」」」」」


全員に謝られてしまうのだった。



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― 新着の感想 ―
[一言] ク〇がっっっっっ!!!!:( #´°ω°` ): …良いさ…こんな野営の時とかじゃなくてもっと安全な所でくんずほぐれつするのを待つさ…(ꐦ^^)
[一言] 「くっ…あの男(ラウル君)に制裁を加えようと思ったが、アイツ…気づいていやがる」 …じっと…そこに集まった男達を見つめているファントム君… 「やむを得ない…あのテントをロケランで襲撃後、あと…
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