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プロローグ

宇宙戦機アマガサを書いている途中の台詞から、この題ならなろうっぽいかなぁと書き始めました。

読んでくれると幸いです。


誤字が、もの凄く多かったです。

訂正してくれた方、本当にありがとうございます。

ごめんなさい。

「ただいまーっ!」

『おかえりーっ! 何よ奏芽、部活は~?』

「今日からテスト期間ーっ!」

 答えながら靴を脱ぎ、台所に向かう。

 私は天笠あまがさ奏芽かなめ。永遠の十六歳だ。

「げ、ねぇちゃん」

「何よその反応。ぶん殴るわよ俊和」

「ぼうりょくはんたーい」

 そう言いつつテレビゲームに視線を戻す弟。

 そのリビングを抜けて、台所へ。冷蔵庫から麦茶を取り出して、自分のコップに注ぐ。

 安い陶器とうきのコップだ。夏だから透明なグラスで麦茶と言いたい所だけど、裕福なおうちでは無いのでマイカップはこれ一個だけ。夏冬兼用だ。

「お母さん、夕飯は?」

「生姜炒めよ」

「……うん、それなら外れはないかな」

「何よ上から目線で。たまには作ってくれてもいいのよ?」

「じゃ、勉強してきますっ」

 ぐっと一杯飲み干してから、手を洗う。

 ここまでは習慣だ。帰ってから麦茶一杯はお決まりで、冬も同じ。他に常備されている飲み物が麦茶以外無い家庭なのだ。

 まぁ、好きだからいいんだけど。

 空にしたコップに麦茶を注いで二階の部屋へ。

『ちゃんと制服ハンガーに掛けときなさいよーっ!』

「分かってるってーっ!」

 いつものやりとりを繰り返して、弟の部屋の隣にある自分の部屋へと入る。

 勉強机とベット、本棚があるだけの狭い部屋だ。ハンガーは壁に釘を刺して一カ所だけ掛けられるようにしてある。

 こんな部屋でも今はスマホがある。便利な時代に生まれてホントに良かった。

 麦茶は勉強机へ。鞄は床に置いて、まずは着替えだ。

 セーラー服を脱ぎ散らかして、ジャージを装着。これが私のマストスタイル。

 ビシッ! っと何となくポーズを決めてから、セーラー服を叩いて伸ばしてハンガーに掛ける。

「さてっ!」

 気合いを入れて勉強タイムっ!

 の前に、一休み。

 スマホを手に、ベットに寝転がる。

「……珍し。通知一個も無いし」

 年に一度あるかどうかといった奇跡だ。

 今日は勉強会名目で女子会でもやりそうだったから、正直少し嬉しい。

 私は社交的だけど、基本的にはめんどくさがりなのだ。誘われたらキャッキャ言いつつ向かうけど、誘いが無いならそれに越した事は無い。

 と言う事で、のんびりたーいむっ!

 スマホを操作して、まずはニュースサイトをチェックする。

 学校ではギャルでは無いけど明るいキャラとしてほどほどの友達に囲まれているが、私はニュースとかがそこそこ好きだ。スポーツやアイドル番組を見るよりずっと面白い。

 勿論、話題になりそうなアイドルや選手もチェックしている。

 友達に合わせる為にも、そこら辺は超重要。絶対に視聴しないといけない番組も毎日一個はある。

 そう、女子高生は忙しいのだっ!

 なので、今だけは趣味も兼ねて情報収集。タレントとかの不祥事は絶対に話題として上がるから、ニュース系のチェックも大事なのだ。

 これも女子高生としてのお仕事。

 そう言い訳しつつニュースを見るものの、政治家が言い間違えだの、教授が痴漢だのそんなのばっかり。まともなニュースだと科学板に飛ばされる始末だ。

 日本にもの凄く頭のいい外人のお爺ちゃんがいるって事が分かるだけで、その論文やら何やらの意味が分からない。ちょっと見た感じ、アニメとかみたいにゲームの中に入れる技術、なんだろうか。

「ん~……今晩はあのクイズ番組かぁ。下らなすぎて苦痛なんだよねぇ」

 すぐに興味は移って今夜の番組へ。

 最近話題の男性アイドルが出るから、視聴は必須ひっすだ。まぁ二倍速三倍速で見ればいいかな。

 そんな事を思いつつページを移動すると、いきなり画面が真っ暗に変わった。

「あれ?」

 充電は32%だった。

 なら壊れた?

 慌てて数回振ってみて、電源を長押し。それでもつかなくて顔色を変えると、ガンッっと頭に衝撃が走った。

「……え?」

 ザッと視界にノイズが走る。

 気を失うのとは違う。

 貧血とも違う。

『ごめんなさい……ごめんなさい……』

 これは、私の声。

 誰かが、のぞき込んでいる。

『奏芽。あなたの幸せを、願ってる』

 これは、お母さんの声。

 何で泣いているのか。

 私は、何をているのか。

 ポコリと、水泡すいほうが音を立てて天へと昇ってゆく。

 頭が、痛い。

 ポコリ、ポコリ。

 水泡すいほうの一つ一つに、私の知らない私がいる。

 私が知らない誰かも、私が観た事の無い、光景も。

 全てが、水泡すいほうの中に。

 溢れる水泡すいほうが視界を埋め尽くすのと同時に、私の意識は水泡すいほうと共に浮上してゆく。

 


 ――そして私は、現実を知る。


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