草原:vs上級者
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【フォーラム】ここはフォーラムです。どしどし議論をしましょう!
[スライムの謎行動](1,904 views)
<スライムが自己捕食する動画>
トソナ草原から。これやばくね?
――スライム倒してきていいですか?(名前:えびフライすき)
――えびフライさんだ!
――いいですよー
――見たところ変テコな能力があるようですから、1発で仕留めます。(えびフライすき)
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えびフライすき氏(以下フライ)は、ランカーの1人である。
魔術師Lv51。フライはRank6の魔術師である。
そんな上級者がなぜ、初心者しか通わないはずのトソナ草原にいるのだろうか。
それは言うまでもない。「例のスライム」を退治しにやってきたからである。
「索敵」
索敵はLv30で覚えることができるスキルである。
周りを覆い尽くすスライムの中で、ひときわ歪な反応を示すものがいた。
魔力がおかしな分散をしている。それを集めると……Lv24程度のスライムになる。
近づいてみてみると、それは確かに増殖と自己破壊を繰り返していた。
「見つけましたよ」
フライは杖をかざし、こう唱えた。
「雷電」
杖からスライムに雷が飛び、スライムは焼けて消滅した。
「終わりですね」
スライムからは何も出てこなかった。
フライはなんの感慨ももたず、街に戻ろうとした。
しかし、フライは何か違和感を覚えた。
「ところで、そのスライムはこんな単純にやられますかね……?」
中級者相手に悪あがきを繰り返したスライムが、こんなに弱いのだろうか、と。
「索敵」
フライは、草原の端っこに目を向けた。
一体のスライムが草原から逃げ出そうとしているのを見つけた。
Lv20程度である。これは例のスライムの分身に違いない。
「疾風」
疾風は本来敵に向けて放つものだが、フライは自分自身にかけて追い風にした。
高速にスライムを追いかけるためである。
スライムは逃げ続けたが、やがて動きを止めた。
フライに気がついたからである。
フライはスライムに近づき、火魔法を浴びせる。
スライムはたちまち光になって消えていった。
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[スライムの謎行動](2,235 views)
――スライム倒してきていいですか?(名前:えびフライすき)
――倒しました。(えびフライすき)
――お疲れさまです。成果はありますか?
――雷魔法が効きました。その辺は普通のスライムと特徴が変わりませんね(えびフライすき)
――何かドロップしましたか?
――残念ながら何も(えびフライすき)
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しかし、このスライムはしぶとかった。
予備をもう一体用意しておいたのである。
予備の化身は、本体がすぐに倒されたことを悟った。
そして草原の隣にあるトソナ洞窟に逃げ込んだのである。
もう一体の予備は草原から逃げ出そうとしたところ、フライに気が付かれてしまった。
しかし、最後の一体はなんとか逃げ切ったのである。
トソナ洞窟は、単刀直入にいうとゴブリンの洞窟である。
5階層のフロアにゴブリンが多数存在している。
人間などの異質な存在には牙をむく。
それは、入り込んだスライムに対しても例外ではなかった。
そのスライムは、四方八方からの攻撃を受けた。
しかし、スライムは昔より強くなっていた。
。
スライムは、隙だらけのゴブリンたちを軽々と倒した。
スライムは2階層へ向かった。
2階層にも変わりなく大勢のゴブリンが居た。
スライムに攻撃をしたが、スライムからの猛反撃にあった。
この階層で、スライムは偶然にも隠し扉を発見した。
中には魔法の杖が隠されていた。
スライムはその杖を溶かすように包み込んだ。
それは傍から見れば、解析をしているようであった。
ある動作をしたら、この杖がどのように動くのか、ということを調べていた。
やがて、スライムはこの杖に魔力を流しこんだ。
杖から水が吹き出した。
魔力の入れ方を調節したり、魔力の形を調節したりするごとに、結果が変わった。
スライムはそれを見ていた。
魔力の形がどのようであれば、どのような結果が起こるのかをスライムは見ていた。
スライムは、魔力を消費しすぎて一時的に動かなくなることもあった。
しかし、しばらくすると復活し、杖をいじくり回し始めた。
杖は大きく、スライムには持ち運びができない。
スライムはどうしただろうか?
スライムはなんと、空中から水を吹き出させた。
スライムは、水魔法の使い方を覚えた。
しかし、ここではスライムは水魔法の初歩を覚えただけであった。
水を具体的にどう使うかは、スライムによる腕の見せ所であった。