表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/20

草原:vs中級者

 そのスライムは順調にレベルを上げていった。

 一方で、いくら草原が広いといえども、スライムはとても目立つ。

 これは他のスライムも同様である。


 そのスライムは、すでに何人かの初心者プレイヤーを倒していた。

 それも、安全に勝利していた。

 しかし、今回はちょっと状況が違うようである。




 ヒバルはLv24の剣士である。

 今日はトソナ草原にやってきた。


 トソナ草原は、初心者の中の初心者しか訪れない場所である。

 最弱のスライム以外、物資も何もない場所であるからだ。


 ヒバルにはここを訪れる訳があった。

「増殖し、自らを食べる謎のスライムを倒す」ためである。



 謎のスライムの目撃情報は数多く寄せられていた。

 最初はヒバルも構わなかったが、どうやら寄せられた意見を聞く限り、徐々に強くなっているらしい。

 しかも、ヒバルの成長速度を超えてである。

 そして最近の投稿曰く、Lv17であることが判明した。


「レアモンスターに違いない……何かドロップするかも」


 そうして、打倒スライムを掲げたのである。


 ヒバルはソロプレイヤーであるが、強い。

 自己流の剣術に優れ、ザコ敵なら瞬殺だ。

 敵の弱点を感覚で見極め、切り刻む。


 ヒバルはその辺のスライムを柄で倒しつつ、目的のスライムを探した。


「とろける様に弱いスライムの中に、どうしてLv17のスライムが?」


 スライムが増殖したり捕食したりする原因はわからない。

 しかし、スライムがおかしな挙動をしているのは裏に人間の陰謀があるのではないかと考えている。

 スライムを倒したら、その部分もはっきりするはずと考えている。



 ここでヒバルに思わぬトラブルが発生した。

 スライムが多すぎて、目的のスライムを見つけられないのだ。



 2時間後。

 ヒバルは謎のスライムをようやく発見した。


 ヒバルはスライムを鋭い目で見つめる。

 スライムは臨戦態勢に入った。


 ヒバルはスライムを剣で叩いた。

 スライムはすかさず、剣のない方向に飛び跳ねる。


「ふん、さすがは『謎のスライム』ね。一筋縄ではいかない」


 他のスライムは、ヒバルが剣で叩けばすぐ消滅していた。


「でもね、『謎のスライム』さん。私は強いからね」


 ヒバルは剣を振り、飛び跳ねたスライムを叩き落とす。

 叩いた部分が光の粒子になり、消えていく。


 スライムは隙があると思った場所にすかさず飛び込む。

 しかし、ヒバルの認知速度はスライムのそれを超えていた。


「さあ、どうするのかな?」


 スライムは軽く分裂し、全方向から襲いかかった。


 ヒバルは……くるっと回転し、剣でスライムを叩き落とす。


「うーん。思ったより手応えないねー」


 スライムはそれを挑発と受け取った。

 挑発されたスライムは、少し無謀な攻撃を仕掛けてしまった。

 大胆に体当たりしようとした。


 ヒバルの剣が振り下ろされる。

 スライムの体が小さくなり、動きも鈍くなった。


「うんうん。焦りすぎのようだね」


 ヒバルは落ち着いてスライムに対応している。


 ヒバルは、勝利を確信した……。

 それは概ね正しかったが、少し誤りがあった。


 スライムがより変な技を仕掛けてきたのである。

 時間差で飛び跳ねてきたり、剣にこびり付こうとしたり。

 後ろからこっそり近づいたり、高速に飛んできたり。


「小賢しい」


 極めつけはこれである。

 小さいスライムが大量に押しかける。

 剣で叩きつぶすと、大きいものが突然飛んでくる。


「ひょえっ?!」


 横に避ける。

 しかし、ヒバルの下にはスライムがいた。

 足が滑る。


「え?」


 ヒバルは転んだ。

 倒れたヒバルにスライムが集まってくる……


 ヒバルは『火達磨』というスキルを体得している。

 それを使うと、スライムはあらかた燃え尽きた。

 しかし、一部分のスライムはのろのろと逃げ出した。


「疲れた……」


 ヒバルは追いかける気にもなれなかった。




 ――――――――――――


【フォーラム】ここはフォーラムです。どしどし議論をしましょう!


 [雑記:謎スライムとの戦闘](123 views)

<戦闘の動画>

 うーんとね。スライム、強いです。

 とにかく動画見ればわかると思う。

 賢い行動がいくつか。

 いやになっちゃう。


 ――スライムの特徴をフルに使ってますねー。自由すぎやしませんか……

   ――相手を転ばすスライムなんて初めて。(投稿者)


 ――面白いですね! うちのテイムしたスライムにも調教してみます!


 ――――――――――――


読んでくださりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ