60.元を辿れば
リュミエールがしばらくアルと口を利かなかった結果、更新に間が空きました。
・・・嘘ですすみません遅筆なだけです。
「あの、姉さまっ」
「どうしましたか、フィリオ?」
そのように遠くから話しかけていないで、近くにいらっしゃいな。
「いえ、あの・・・」
本当にどうかしましたか?
ほら、遠慮はいりません。隣まで来てください。
「・・・足場が悪すぎるので、ここで良いです」
フィリオは恥ずかしがり屋さんですね。
わたくしに素直に甘えられないからとい、そのような言い訳をせずとも良いのですよ。
「いえ照れ隠しとかではなくて、ひゃっ!?」
ふふふふふ。
フィリオが甘えるのが恥ずかしいのでしたら、わたくしの方から存分に甘やかしてあげましょう。
そう、来られないのでしたらこちらが向かえば良いのです。
と、いうわけで最近アルとソラの二人体制で教えを請うている歩法を駆使して、フィリオの背後にそっと近づきそのまま抱きすくめます。
フィリオの可愛い声も聞けてとても役得でした。
「・・・お嬢様、それは流石に少し・・・いいえ、多分に変態ちっく過ぎますよ・・・」
「誰が変質者ですか」
「この場を見たら誰もがお嬢様を指差すでしょうね」
この使用人は、フィリオの目の前でなんということを宣うのでしょう。
教育に悪いではありませんか。
「(ごそごそ)・・・こちらをどうぞ」
「なんですかそれは」
「鏡にございます」
それは見れば分かります。
そういったことを聞いているのではありません。
何故、
それを今、
わたくしに向かって、
鏡面まで綺麗にこちらに向け差し出してきたのかを聞いているのです。
「こちらに写ったお方に存分に言ってあげてください」
「写っているのはわたくしですが?」
「ですから、思う様ご自分に向かってお説教してあげてくださいませ」
「何故自分に向かってそのようなことをしなくてはいけないのですか。新手の刑罰が何かですか。意味が分かりません」
ねぇ、フィリオ。
「えっ・・・〜〜と・・・そ、そうですね」
「ちょっとお嬢様、フィリオ様を困らせないでください」
「困らせてなどいません。言いがかりはやめてください」
「言いがかりなどではございません。御覧ください、このフィリオ様の弱りきったお顔を。大変素直でいらっしゃるのですから、あまりに返答に困られるようなことを問い質すのは酷というものです」
アルの言に促され身体をずらしてフィリオの顔を覗き込みます。
見えるのは、いつ見ても可愛いフィリオの微笑んだような、困惑したような・・・つまるところ、苦笑です。
これは・・・・・・、
「フィリオはどのような顔をしていても絵になりますね。これはもう沢山のご令嬢が放っておかないことでしょう」
「処置の施しようがございませんね」
「フィリオ、あなたに近づく悪い虫はわたくしが駆除しますから、何かあれば必ず。必ずわたくしに言ってください。あと何方かと交際をする際も、まずその方をわたくしに会わせてください。フィリオに相応しい方かしっかり見極めて差し上げますから」
「仰っている内容がもう完全に質の悪い小姑ですからねお嬢様」
「アルにだけは言われたくありません」
「何故ですか」
「・・・そういえばわたくし、王都でお見合いのお話があるとお父様に聞いたのですよね」
「あ゛あ゛あっ!? 何処のどいつですかそれは私の目の黒いうちはお嬢様に不埒な輩は絶対に近付けさせませんからさぁ、お嬢様遠慮なさらずに仰ってくださいどこのクソ貴族ですか私が責任を持ってその野郎を埋めてきますからあぁ大丈夫です証拠なんて欠片も残しやしません誰にも認識されることなく排除してみせますよなんなら今はソラという都合の良いカードもございますから安心安全でございますただどこぞの貴族家でそのうち大規模な捜索隊が派遣されるかもしれませんがただそれだけです絶対に・・・」
「そういうところですよ。」