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38.手袋の中には


 大変お待たせ致しました。


 ・・・あ、待ってない?

 これまた大変しつれ・・・なんかこれ前にも書いた記憶が。




 お祖父様から色々な意味で嬉しいお土産を頂いた夜分。

 あとはもう魔力制御の訓練をして眠るだけの時分ですが、今更ながらに気になっていたことをアルに問い質します。


「それで、この手袋(?)にはいったいどのような魔物の素材が使われているのですか」



 内容はそう、お祖父様からのご依頼によりアルの手ですっかりと姿を変えてしまったらしき手袋(仮)についてです。

 ちなみに、幾許(いくばく)かの期待と大いなる不安を込めて、心の準備をして問いかけています。


 恐らくこれでは、という候補も頭に浮かんでいるのです。


 いいえ、正確には候補ではなくほぼ確信している、と申し上げても良いでしょう。


 何せ、目の前の手袋(らしきものからはここ最近で酷く慣れ親しんだ気配を感じるのですから。

 強い火の気を含む気配。

 ・・・そう、バーストグリーブや護符(アミュレット)と同じ、火の気です。



「いくつかを組み合わせておりますが、一つはお嬢様もお察しの通りどこぞの野良ゴンが()()の素材でございます」


「・・・複数」



 野良ゴン様・・・からご提供頂いた素材を使っているのはやはりと申しますか、まぁ、思った通りでした。


 しかしまさか複数の魔物の素材を使用しているとの、あまり知りたくはなかった事実がアルの口からあっさりと漏れてきました。



「いったい他に何を使っているのですか・・・」


 実のところ、精神衛生を考えるとあまり知りたくはありませんが、これから長く使うことになるかもしれない防具兼武器です。

 その力を引き出すことを思えば、どういった素材を使っているのかは知っておくべきです。



 ・・・・・・なるべくなら知らないで済ませたくはありますが。



「はっ。まず全体の縫製にはガイアスパイダーの糸を使用しました。手の甲側は下地にソラから提供された(たてがみ)を編み込んだ生地を、ワイトニング氏より頂いた骨は形を支える文字通り骨子に使わせて頂きました。装甲はあまり重くならぬようミスリル銀を主体としてそこにヒヒイロカネを練り込んだものを使っておりますが、粉末状にした野良ゴンの爪を触媒にして更なる頑強さを与えると共に火の魔力を付与しております」



「・・・・・・・・・」



 どうしましょう。

 思っていたより遥かに危険物です。

 惜しみなく色々と使いすぎです。


 そうして使っているものに色々とツッコミどころが多く、どちらから言及すれば良いのやら・・・。



 ですがまず・・・


「いつの間にワイトニングさんから身体の一部を提供されるような仲になったのですか」


「いえ、何か特別なことがあったわけではございません。素材探しに魔界へ潜っている最中に何度かお会いしたもので、お嬢様の防具に使用する素材を探している旨をお話ししたところ、使うようにと渡されました」


 それは今度お礼に上がらなくてはいけませんね。


「いや驚きましたよ。突然目の前で片方の手を外して渡されたものですから」


 ・・・ワイトニングさん?


「ですが、おかげさまで最後の素材に目処が立ちましたから、本当に彼女には感謝しきりでございます」


 やはり近々お礼に伺いましょう。

 ワイトニングさんのお手も心配ですし。



 では、次です。


「ソラが鬣をあなたに渡したのですか?」


 いくらソラが二足で歩けてお茶の用意くらいならできるようになったとはいえ、ワイトニングさんのように自ら差し出すのは難易度が高いと思うのですが。



「あぁ、それは当然私がソラを散髪して手に入れたものです。いや〜、ソラの体毛は伸びるのが早くて回収が楽でございました」


 ・・・確かにソラ自らが提供してくれたとは言っていませんでしたね。

 ソラにも今度お礼代わりに良いお肉でもあげましょうか。


「ソラはお嬢様にお仕えしているのですから、特別褒美は不要では?」


 だとしても業務内容に自らの体の一部を提供するなど含まれていませんから。



「でしたら私も爪や髪をご提供致しますのでお嬢様手ずからご褒美を頂戴したくっ!」


 いりません。



「あとは、もう野良ゴン様からの頂き物やガイアスパイダー産の素材については深くは問いませんが、ミスリルとヒヒイロカネと言いましたか。入手難易度が高いだけのミスリルはともあれ、鉱物素材としてのヒヒイロカネなど現存するのですか?」



 仮にも伝説の金属です。

 よくあるおとぎ話で魔物が持っていたり、どこかの国が保持している伝説の剣に使われているといった話でしか聞いたことがありません。


 アルがまさか偽物を掴まされることなどないとは思いますが、偽物か、そうでなければ似たような何かと考えたほうが納得できます。



「そう言われてしまいますと私もこの品を加工するに当たり初めて目にしましたものですから、本物であると自信を持っては申し上げられません」



 あぁ、アルも確信があるわけではないのですね。


 ・・・何故このようなことにほっとしなくてはならないのか、若干納得がいきませんが、まぁ、ここは伝説の金属が俗世に墜ちなかったことを喜んでおきましょう。



 しかし、であればこそ。

 これに使われている金属がヒヒイロカネであるというお話の出処はいったい・・・?














































「まぁ、ですが仮に偽物や似ているだけの別物というのであれば」


「あれば?」


「それをヒヒイロカネと疑わず後生大事に抱え込み、(あまつさ)えドヤ顔で自慢してきた野良ゴンを指差して笑ってやる所存にございます」


 ・・・それも野良ゴン様からの頂き物だったのですか。




「奇しくも魔物が持っているというおとぎ話に信憑性が出てきてしまいましたね・・・」


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