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34.遅れてきたお土産



「そういえば、さ」



 と、唐突に切り出したのはお母様。


 食後に家族((ひく)執務で泣く泣く席を外されたお父様)団らんの時間を楽しんでおり、そこで話題が一つ段落したところでした。


「はい、なんでしょうか母様」


 どうもお母様はわたくしに向かってお話しされていたようですが、わたくしは膝上に座ったクリスの重さと温かさに幸せを噛み締めていたため、反応が遅れてしまいました。

 その間に、隣に座る(そうしてわたくしが手をつないで放さない)フィリオが返事を返してくれたようですので、この場はフィリオに任せることに致しましょう。


 にぎにぎ


 フィリオの手もわたくしより小さいというのに、日頃の鍛錬によるものか少し硬い手触りです。


  にぎにぎ


 しかしてその中にも年相応の柔らかさと滑らかさがあり、こうしていつまでも手を握っていられます。



「リュミエール・・・貴女に話しかけているんだけど?」


「あ、やはりそうでしたか。フィリオ、代わりにお返事をさせてしまい申し訳ありませんでした」


   にぎにぎ


「い、いいえ。それより・・・手を放してもらえると嬉しいですが・・・」


「それはできない相談です」


「なんで!?」


 フィリオは最近触れ合いを避けていますから、こうした機会に少しでも多く触れ合いたいからです。


  にぎにぎ

 なでなで


 それにしてもクリスの髪の毛もとても軟らかくて触っていて気持ちが良いですね。


「〜♪」


  なでなで


 幼い故か、その高い体温も相まってこのまま眠ってしまいそうです。

 いいえ、むしろ今この時を噛み締めて眠ってしまうべきでは?



「分かってるならその変態的な行為を止めて少しはこっちに興味を示しなさい」


「変態的とは失礼な」


 それは外聞が悪すぎます。

 フィリオとクリスも聞いているのですから、おかしなことを吹き込まないでください。



「だって他に表現のし様がないじゃない」


「ありますよ、そこは諦めないで頑張って表現してください」



 単に弟妹を愛でている、とか。



 姉弟妹(きょうだい)との触れ合い、とか。



 天使分の補給、とか。



「いいえ。どう取り繕ってもダメね」


「あたしもそう思うよ・・・」


「リュミエールや、もっとお祖父ちゃんにも甘えてくれていいんじゃよ?」


「妖怪爺は黙ってください。お嬢様、お言葉は取繕われているようですが空気と表情がアウトにございます」



 皆酷すぎると思います。

 一部、別の意味で酷いですが。



「それでお母様、何がそういえば、なのでしょう」


「あ、逃げたわ」


 いいえ、お話を正道に戻しただけです。

 それが例え逃げたように見えても道へと続く方向が一緒だったからそう見えただけです。


 えぇ、決して逃げてなどおりません。

 もし今のを逃げたと仰るのでしたら、逃げたのではないことを証明するため今のわ(おとうと)たくし(いもうと)格好(まみれ)の必要性を存分にご説明致します。


 良いですか、まずわたくしはお母様がフィリオをお生みになられたときのこともクリスをお生みになられたときのこともよくよく覚えております(にぎにぎなでなで)なんといっても二人の産声はわたくしに鮮烈な印象を残していきましたし、抱き上げさせて頂いたときに感じた熱と重さには命というものの儚さと尊さを知らないままではいさせてくれませんでしたから(にぎにぎ)あぁ、あの頃の二人もそれはそれは小さくて可愛くて、手を握る力もそんなに強いはずはないのにまるで引き離すことができませんでした。しかしやはり身体がしっかりとできあがっていませんからしっかりと支えてあげなくては抱き上げることすら叶いません。最初はフィリオでしたね、わたくしはこのときから強くなろうと決意を新たにしました。クリスのときはその思いを更に強く再確認しましたね(なでなで)ですが、そんな二人もやがてすくすくと育ち自らの力で立ち上がります。少し、落ち込みもしましたよ。この子はわたくしの支えなどいらないのではと悩みました。ですがどうでしょう、そのようなわたくしの不安など吹き飛ばすかのように、フィリオがわたくしのことをねえさまと呼んでくれたのです。何よりも先にわたくしに聞かせてくれたその言葉を聞いて震えました、歓喜に涙しました。その舌足らずにすら及ばぬ幼い声で呼ばれたときには心の底から喜びが(にぎにぎ)溢れかえって思わず鼻から血も溢れてしまいましたが。それからはもう迷うこと(なでなで)などなくわたくしの持ちうる力の限りを尽くして守ろうと――




「いや、いいから、もういらないから。なんで実の娘から実の息子娘に向ける目が親目線だったところからハーレムを囲うようにまでの心境の変化を聞かされなきゃいけないのよ・・・」


「ですから人聞きが・・・」


「その人聞きの悪い行為をしてるのは誰よ」


 お母様がまるでこの場にそのような不埒な行為に及ぶ者がいるかのように仰るので周囲を見渡してみますが、


「少なくとも今この場にはおりませんね」



「そりゃ周りを見たって自分の姿は映らないものね」





























「・・・あの、結局のところ奥様のお話はどういった内容だったのでしょうか」




あかん本題に入れないどころか触れることすらできひんかった・・・

ので、続きます。


少し短編というものを書いてみようと思うので更新頻度下がるか、不定期になるかもしれません・・・こんな話をとっちらかしたままで・・・

な、ななるべくペースは崩さないようにがががが頑張ります。





頑張りますって武者系の頑○無がバリることの略称に見えてきた・・・


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