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転生令嬢の異世界愛され生活〜ご褒美転生〜  作者: 翡翠
第十四章 勘弁してください
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「……仕方ありませんね。では私とキースが先を歩きますので、リンは殿(しんがり)でお願いします」

「ん、分かった」

 リンちゃんはホッとした顔をされた後。

「けど、何でそんなに蜂の子回収したがんの?」

 あ、私もそれを伺いたかったです。

 ウィリアム様はニッコリと爽やかな笑顔を浮かべられました。

「実はお酒に入れて虫酒として販売しようかと」

 恐ろしいことを口にされました。

「ウィル、あんたって……あ~、うん。もういいや」

 リンちゃん、何と無く言いたいことは分かります。

 流石はウィリアム様というか、ブレない商人魂と申しますか。

 その後直ぐに注文した食事が運ばれて来たのですが、私もリンちゃんも一気に食欲を無くし、半分ほど残してしまいました。

 料理を作ってくれた方には大変申し訳なく思います。

 デザートも頼む気力がなく、カフェでなくてもよかったのかな、と。

 明日の依頼に備えて、今日は早々に解散となりました。

「……こんなに後ろ向きな依頼って、初めてかも」

「そうですね……気が重いです」

 部屋に戻りながらリンちゃんと二人肩を落とし、大きな溜息をつきつつ部屋の扉をくぐりました。

「「はぁ……」」

 私とリンちゃんのあまりのテンションの低さに、アルとエテルノさんが心配されております。

『カレン、帰って来てから溜息ばかりなのだ。大丈夫か?』

『主、体調でも悪いのかの?』

 さくらもチイチイと私の肩に飛んで来て、頬に顔をスリスリと心配してくれているようです。

「心配ありがとうございます。体調は大丈夫なのですが、明日のギルドの依頼を思うと……」

「「はぁ……」」

 リンちゃんと二人、溜息しか出ません。

『主、明日はやはり儂らも着いて行った方が良いのではないかのう?』

「いえ、大丈夫です。さくらに付いていてあげてもらえますか? 何かあればお呼びしますので。今回はそんなに難しい依頼ではないのですが、あまりにも目にしたくないものがありまして……」

 そこへマリアが晩御飯の支度を終えてやってきました。

「カレン様が目にしたくないもの……もしかして芋虫、ですか?」

「いえ、蜂の子です」

 リンちゃんが無表情で答え、先程のやり取りの説明を始めました。

「……蜂の子のお酒、ですか。一部のマニアにはウケそうですね」

 マリアは微妙な顔をしてそう言うと、何処かから風呂敷のような物を二枚持って来ました。

「これを上に掛けてもらえば、直接目にしないで済むのでは?」

 その手がありましたっ!

「「マリア(さん)、ありがとう(ございます)!!」」

 リンちゃんと「良かった良かった」と言い合いながら、マリアの美味しい晩御飯をいただきます。

 先程までの低いテンションは何処(いずこ)へ。

 お昼ご飯があまり食べられなかった分、晩御飯はお代わりまでしてしまった私たち。

 その後ゆっくりお風呂へ浸かり、いつも通り部屋のベッドに入り本を読み、アルにエテルノさんにさくらへ「お休みなさい」を言って就寝。

 明日も無事に何ごともなく過ごせますように……。


◇◇◇


 八時五分前に部屋を出ましたが、ロビーには既にキース様とウィリアム様の姿がありました。

「「おはよう(ございます)」」

 キース様たちが腰掛けられているソファーへと近付いて行きます。

「おはようございます」

「はよ」

 ウィリアム様が立ち上がり、キース様も立ち上がると、私の頭を撫で撫で。

 リンちゃんとウィリアム様はいつものことというように、スルーされて。

「行きますか」

「行こ行こ」

 お二人でサッサとロビーの自動ドアから出て行かれてしまいました。

 キース様は慌てる風もなく私の手を取り「行こう」と歩き出しました。

 初めてパーティーを組んで依頼を受けました時は、西門から出て行きましたが、今回は南門から出て行きます。

 向かうはBランク以上の魔物の生息地となっている『陽炎(かげろう)の森』です。

 名前の由来は不明で、いつからかそう呼ばれるようになったらしいとのこと。

 森の中心部に向かえば向かう程、高ランクの魔物が生息しております。

 キラービーは単体では討伐ランクBですので、森の入口から2キロ以内が彼らの行動範囲内となります。

 それより内側(奥)に入りますと、彼らは途端にただ捕食されるだけの存在となってしまうのです。

 森の奥に入り過ぎないように気を付けながら、キラービーの巣を探します。

 キラービーは日差しの届かない大木のうろや、洞窟の中に好んで巣を作ります。

 そういった場所を探しながら歩いておりますと、先頭を歩いておられますウィリアム様が、突然ピタッと足を止められました。

 振り返るとニッと笑って。

「見つけました」

 と、小声で仰いました。

 思わず心の中でキラービーたちに「御愁傷様です」と手を合わせてしまいました。

 だって、ウィリアム様の笑顔がちょっと……いえ、だいぶ怖かっ……何でもありません。

 ウィリアム様は新しい商売になりそうな物を見つけた時など、まるで子供のように楽しそうにされる姿をよく拝見します。

 それと同時に何か悪そうな笑顔も……。

 思い出したくもない、「虫酒」が彼をあの笑顔にさせているのですね、はぁ。

 私達は巣が目視出来、キラービーに気付かれないギリギリの所から様子を伺います。

「そこそこの大きさの巣のようですね」

 ウィリアム様の言葉に皆が頷きます。

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