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明日はパーティーメンバーとのギルド依頼を受ける日です。
メンバーと言いましても、いつもの四人ですが。
今私達は、リンちゃんとウィリアム様が所属致しますギルド『幻影』に来ております。
パーティーで選んだ依頼書を学校に提出し、先生からOKが出たましたら、翌日のHR後に依頼に向かうのです。
ちなみにOKが出ませんと、出るまで何度でも学校に提出しなければなりません。
これは依頼を達成することだけを見ているのではなく、自分達の実力に見合ったものを選ぶ力も見ているのです。
「アンさん、今年もよろしくお願い致します」
中等部の頃から毎年、長期休暇後のパーティーでの依頼はこちらのギルドにお邪魔させて頂いておりますので、受付のピンク(なタンクトップ)でマッチョなオネエ様、アンドリュー様ことアンさんとも仲良くさせて頂いております。
「いらっしゃ~い。よく見てって頂戴ね~」
このオネエ様、実はランクはSの実力者だそうで、とっても頼りになるお方なんです。
趣味のケーキ作りはプロ並みとのこと。
私達は早速依頼板の前へとやって来ました。
今年はAランクまでの依頼を受けることが出来ます。
Aランクの依頼は主に討伐ではワイバーンの単体や長期休暇中にお会いしたダイアウルフの単体などがあります。
他にも商人の他国までの護衛依頼など(こちらは一月程掛かりますので却下で)色々ありますが……。
Aランクの依頼は板の上の方になりますので、私の身長ですと見上げるようにして見なければならず、大変なのです。
必死で見上げていると、キース様が「ん」と言いながら私を縦抱きにされました。
いきなりでしたので、思わず「うひゃあ」という情け無い声を上げてしまいましたのは、聞かなかったことにして下さい。
「あの、キース様?」
「何だ?」
「あのですね、確かに見易くはなりましたが、この体勢はとても恥ずかしいと言いますか、何と言うか……うぅぅ」
恥ずかし過ぎて、顔を上げられません。
周りの皆様の生温かい目が、目が。
「気にするな」
いいえ、気にしますっ!
とっっっても気になります。
というより、お願いですから気にして下さい。
「これなんかどう?」
リンちゃんが持って来られた用紙には、キラービーの巣の破壊と書かれております。
四人でパーティーを組んで、初めて受けた依頼がキラービーの巣の近くにある薬草の採取で。
キラービーを初めて目にしたのもあの依頼ででした。
あれから三年が経ち、薬草ではなく巣の破壊依頼を受けることが出来るまで、ランクを上げることが出来たのですね。
「いいんじゃないですか? まぁ、針と毒は売れますからね。キースに燃やされないように言い含めなければなりませんね」
「言い含めるって、俺はガキかっ。普通に言えよ」
……ええと、今回受ける依頼はキラービーの巣の破壊ということでよろしいのでしょうか?
リンちゃんがお二人のやり取りを笑いながら、受付のアンさんに依頼書を渡しに向かいます。
私もご一緒したいところではありますが、いまだキース様に縦抱きにされたままの私。
そろそろ下ろして頂きたいのですが、お二人のやり取りに口を挟むタイミングが合わず、オロオロしている間に受付を終えたリンちゃんが戻って来られました。
「キース、あんたいつまでカレンを抱っこしとくつもり?」
キース様は言われて渋々といったように私を下ろして下さいました。
ああ、床に足がつくって素晴らしいですね……。
希望通り、縦抱きから解放されたはずなのですが、何となく寂しい気持ち? が胸に居座っているような、そんな自分でもよく分からない感覚が。
少し不機嫌なキース様の左手を、私の右手でキュッと握ります。
キース様は意外そうに私を見てから口の端を上げ、頭を撫で撫で。
その様子を見ていたリンちゃんとウィリアム様が、呆れたように「「帰ろう(りましょう)」」と、さっさと学園に向かうべく、乗合馬車のところまで歩き出しました。
◇◇◇
学園に到着し教室へと戻ると、他のクラスメイトの方々はまだ帰っておられないようです。
教壇横に置いてある椅子に腰掛け、腕を組んでヴァイス先生が夢の世界へ旅立っておられます。
それを見たリンちゃんは、悪い笑顔を浮かべられました。
「見合い相手の名前って、確かリリスさんだったよね?」
と小声で聞いて来られます。
「はい、そうだったと記憶しておりますが……」
お見合い相手のお名前がどうかされたのでしょうか?
リンちゃんはグッスリと眠られている先生の横に行き、耳元で囁かれました。
「リリス、俺の嫁にならないか? 今すぐでなくていいから」
リ、リンちゃん。それはこの前のお見合いの最後に先生が言われていた台詞ではないですかっ!!




