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「オーランド家って……」
「長男は放浪の旅に出たって聞いてましたけどねぇ」
流石ウィリアム様は情報通ですね。
まさか先生が貴族の出だとは思いもよりませんでした。
「ま、先生が貴族だろうとどうでもいいけど、落ちたな」
キース様が頬杖をつき私を見つめながらポソッと一言。
「落ちる? 何を落とされたのですか?」
皆様が生温かい目で次々と私の頭を撫でられます。
何か可笑しなことを言ってしまったのでしょうか?
「このお見合いは成功でしょうね(お相手が逃げ出さなければ)」
「そうだね(逃がさないでしょ)」
ウィリアム様とリンちゃんの会話が何やら不穏なものの気がしたのは、気のせいでしょうか?
先程までは硬い言い回しをされていた先生ですが、今はいつもの話し方でお相手に色々と質問をされ、とても楽しそうです。
「どうなることかと思いましたが、うまくいきそうですね。良かったです」
「ほんとにね~。あ、デザート頼んでいい?」
「私もデザート頼みますっ」
二人でデザートメニューに目を通し。
「私ミルフィーユにする」
リンちゃんは直ぐに決まりましたが、私はフォンダンショコラとフレンチトーストで迷ってしまいます。
「じゃあ僕は飲み物を追加しましょう。キースはどうしますか?」
キース様は私が迷っているのを察して下さったようで。
「カレンは何と迷ってる?」
「フォンダンショコラとフレンチトーストが気になって……」
「じゃあ両方頼んで、二人でシェアすればどっちも食えるだろ」
「え? よろしいのですか?」
キース様のお言葉に、きっと今私の顔はだらしなくにやけていることと思います。
だって、嬉しいんですもの。
キース様は優しく微笑みながら
「ああ。それと飲み物のおかわりもな」
と言って私の頭を撫で撫で。
ふとリンちゃん達の方へ視線を移しますと、リンちゃんとウィリアム様が遠い目をされておりました。
「あの、お二人とも、どうかなさいましたか?」
「「何も」」
デザートと飲み物を追加注文し、テーブルの上にデザートが並びます。
キース様はご機嫌でフレンチトーストを一口大にし、フォークに刺して私の口の前へ。
「あの、キース様?」
キース様は「ん」と更に口の前に差し出されます。
これは食べるまでこのままの状態ということでしょうか。
とても恥ずかしいですがこのままという訳にもいかず、所謂「あ~ん」を致しますと、キース様は満足そうに頷かれます。
それはデザートがなくなるまで続くのでした。




