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魔法の勉強時間も終わり、ナギは既に迎えに来た使用人と帰っていき、夕食までの短い時間にもまたカレンは部屋で魔法書を読んでいた。
いよいよ明日は、ギルドで魔力値と属性が分かるのだ。
この世界では五歳の誕生日を迎えるまでは貴族も平民も関係なく、魔力値と属性の検査を行うことが出来ない。
昔のことだが、小さいうちは魔力も安定せず使用はとても危険なことにも関わらず、出来るだけ早くから学ばせようとする貴族や一部の裕福な平民の親のせいで、沢山の小さな命が散っていったそうだ。
そんな大切な命を守るため、魔力値と属性の検査は五歳の誕生日を過ぎてからとし、検査終了までは使用を禁じたのである。
不正をなくすため、ギルド以外での測定は厳罰に処すると法律で決められているのだ。
カレンの誕生日は過ぎているが、まだ検査をしていないので魔法を使うことが出来ない。
明日ギルドで検査を受ければ、その後魔法を使うことが許される。
とはいえ、すぐ使えるようになるわけではなく、練習を始めることが許されると解釈する方が良いかもしれない。
ドキドキとワクワクが同居しているようなそんな状態で、何かしていないと落ち着かないので、魔法書を読んでいるのだ。
元々本を読むことや、何かを学ぶことは嫌いではなかった。
前世では学校の休み時間は教室の席で本を読むか、図書室に通って本を読んでいるかだったし。
中でもハリー○ッターが愛読書で、ファンタジーな世界を空想しながら、辛い状況から一時的に逃避していたのかもしれない。
そんなカレンが魔法と聞いて興奮しないわけがなく……。
家族みんなで夕食を頂き、お風呂に入り、着替えを済ませ、今はフカフカのベッドの中。
あまりにも興奮し過ぎて、目がパッチリと冴えてしまっている。
まるで遠足前の子どものように、寝られない。
明日に備えて早く寝ないといけないのだけれど。
とりあえず気休めにしかならないかもだが、羊の数を数えてみることにした。
「羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹…………羊が五百六十七匹、羊が五百六十八匹、羊が五百六十九匹………」
……ダメだ、寝られない。
仕方なく今眠るのは諦め、ベッド横の灯りを点け読みかけだった魔法書を開く。
……結局そのまま夢中になり朝を迎え、起こしに来たラルクとマリアに怒られたのだった。