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転生令嬢の異世界愛され生活〜ご褒美転生〜  作者: 翡翠
第十二章 拐われた使い魔たち
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 婚約式からひと月程過ぎ、長期休暇前のテストは目前に迫っております。

 本日も寮の部屋のリビングにて、勉強会が開かれておりました。

 主にキース様への……。

 私は毎日の授業で分からない部分は、その日のうちにリンちゃんに教えて頂いておりますので、今では苦手でした薬草学もなかなかに良い点数を頂けるようになりました。

 キース様は未だに歴史などの暗記系は苦手なようで、今回もまた呪いの呪文のようにブツブツと呟かれております。

「お茶の御用意が出来ました」

 キース様の集中力が切れた頃を見計らい、タイミング良くマリアが声を掛けてくれます。

 ウィリアム様が溜息をつかれながらキース様を横目に仰います。

「仕方ありませんね、休憩に致しましょう」

 その言葉を合図のように、皆でソファーへと移動します。

 以前はリンちゃんの隣に私が座り、リンちゃんの前にウィリアム様、私の前にキース様が当たり前のように座っておりましたが。

 今ではキース様の隣が私の定位置となりました。


 今日のお菓子はフォンダンショコラ。

 中からトロ〜ッとチョコレートが堪らなく美味しくて、大好きです。

 一口いただく毎に幸せを感じていると。

「カレン、付いてる」

 と言われ、伸びてきたキース様の指が私の唇の端を拭うようにして、そして……。

 その指をペロッとキース様が舐められて。

 突然の事に一瞬何が起こっているのか分からず呆然としてしまいましたが、正気に戻るとあまりの恥ずかしさに顔が赤くなり、俯くことしか出来ません。

 リンちゃんもウィリアム様も、何事もないようにマリアの淹れた美味しいお茶を飲まれております。

 キース様のスキンシップ? が始まりましたのは、婚約式の後からだったように思います。

 リンちゃんもウィリアム様も、初めは吃驚されておりましたが今では見慣れたようで。

 リンちゃん曰く、あれは完全に「カレンは俺のもの」アピールだよね、とのこと。

 ウィリアム様は「ヘタレ卒業ですかね」と。

 勉強会が終わりその後マリアの美味しい晩御飯を頂いてから、キース様とウィリアム様は寮のお部屋へと戻られました。

 玄関で私の頭を撫で「また明日な」と仰って。

 今ソファーに私、リンちゃん、マリアの三人が腰を下ろし、寛いでいるところです。

「それにしても、キース様は随分と突き抜けてしまわれましたね」

「婚約式の時も、カレンに近寄ってくる輩がたくさんいたからなぁ。あれはキースなりの周りに対する牽制って言うか、カレンは俺のものって必死でアピールしてたんだと思うな。まあ、最近はそれに慣れて楽しんでるように感じるけど」

 婚約式の後から、少しづつキース様との距離感が変わってきたことには私も気付いておりましたので、恥ずかしくて二人の会話に入っていけません。

「あのヘタレ具合が見られないのも、また淋しいですけれど」

「アレはアレで面白かったけど、見ていてイラッとすることも多かったな~」

「本当に。ですがこの勢いで進まれますと、カレン様の身に危険が……」

 そこでリンちゃんとマリアの二人の目が私に向けられました。

 二人は私を見た後、真剣な顔で私に聞こえないくらいの小声で何かを話されております。

「その辺はカレンのお兄さんに釘を刺してもらうのが良いんじゃないかな。結婚するまでに手を出さないように、とか。了承出来ないなら婚約解消、とか」

「それは良い案ですね。では、直ぐにラルク様付きの侍従に連絡致します」

 言うが早いかマリアは立ち上がると。

「申し訳ありませんが、少し席を外します」

 そう言って何処かへ行ってしまいました。

「さすがマリアさん、仕事が早い」

 とリンちゃんが言っておりましたが、何か聞いても教えてもらえませんでした。

 暫くしてマリアが戻り、

「侍従に伝えて参りましたので、近いうちにあちら(・・・)に連絡がいくかと」

 リンちゃんと頷き合っておりました。

 ……私には話せないことなのでしょうか?

 リンちゃんが私の頭を撫で、困ったように笑われます。

「だからその眉はダメだって」

 ダメな眉って、どんな眉でしょう?

 よく分かりません。

「悪い話じゃないよ。そのうち分かるから、ね」

 これ以上は今は聞けないようです。

 そのうち……とのことでしたが、翌日キース様の機嫌の悪さで発覚致しました。

 ええと、これは(リンちゃんとマリアに)お礼を述べた方がよろしいのでしょうか……?

 朝、いつもの様にロビーに集合して校舎に向かう……はずなのですが。

「なんかキース、凄い不機嫌じゃん」

「ああ、昨日ラルク様が急に訪ねて来てからずっとだよ」

「えっ? もう行ったの? 早くない?」

「何? 何か知っているのか?」

「えっと、実は……」

 リンちゃんとウィリアム様がコソコソと話をされているその時、私はキース様に背中から抱きしめられております。

「あの、キース様? どうかなさったのですか?」

「……何でもない」

 何と言いますか、不貞腐れたようにこたえるだけで。

 思わず振り返って頭を撫で撫でしますと、鎖骨の辺りに回されました腕をギュッと軽く締めて。

「ん、充電完了」

 と腕を解き、今度は手を繋ぎゆっくりと歩き出しました。

 リンちゃんとウィリアム様が慌てて後を着いて来ます。

「これくらいなら文句ないだろ」

 キース様が小さく呟かれました声は、誰の耳にも届くことはありませんでした。

「あの、キース様?」

「何?」

「悩みごとや心配ごとなどありましたら、仰って下さいね。私では頼りにならないかもしれませんが、少しでもキース様のお力になれたら……」

 私の言葉にキース様は嬉しそうに微笑み、握っていない方の手で、優しく頭を撫でられました。

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