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転生令嬢の異世界愛され生活〜ご褒美転生〜  作者: 翡翠
第十一.五章 婚約しました〜キースside &リンside〜
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リン目線です

 カレンとキースの婚約式に、ウィルに着いて潜り込んでみた。

 ドレスはウィルが用意してくれたけど、何このコルセットとかいうもの。

 カレンが嫌がってたのが、よ~く分かる。

 会場内はウィルの商会(お家)のスタッフが準備をしたと言ってたけど、素晴らしいの一言に尽きると思う。

 パーティーなんて物語の中でしか知らないけど、ホント世界が違うわ~。

 ウィルはあちこちの貴族の屋敷(いえ)に出入りしているからか、とても顔が広い。

 ここに来てから色々な貴族の人と挨拶を交わしている。

 私は前もって言われた通り、ウィルの隣で何も喋らずニッコリ笑っているだけだ。

 ある程度落ち着くと、ウィルと壁側へと移動して壁側に並べられた椅子の一つに座る。

「疲れたか?」

 ウィルが少し心配そうに私の顔を覗き込む。

 ちょっと近すぎないかい?

 慌ててウィルの顔を手で押しやる。

「だ、大丈夫だからっ!」

 と言うと、顔を押しやったことには触れず。

「ならいい」

 と短い一言を言って黙ってしまった。

 今の私は可愛げなかったよね。

 折角心配してくれたのに。

 ああいう時にニッコリ笑って「ありがとう」って言える女の子だったら可愛いだろうに。

 ツツ~と視線を横へずらすと、(きら)びやかな(ド派手な)お嬢様方が何やら話している。

 耳をすますと。

「キース様の横に立つのは私のはずでしたのに」

「そうですわ。ハンナ様の方がキース様にはお似合いでしたのに」

 などなど呆れるような会話が続いているかと思えば、ご子息方はご子息方で。

「ずっとリード家に縁談の申込をして来たのに」

 いやいや、結婚は申込の早い順じゃないからねっ⁈

 てか、一回断られた時点でさっさと諦めときなよ。

 心の中でのツッコミに忙しい私に、「社交界なんて、煌びやかな裏ではこんなモノだよ」と、ウィルが私だけに聞こえるように言う。

「貴族も楽じゃないってことなんだね~」

 私もウィルだけに聞こえるように返す。

「初めての社交界の感想は?」

 ウィルの方を向くと、ニヤニヤした顔で私を見ている。

「人も場所も上手に着飾っているわね」

「上手いこと言うね」

 と、肩を揺らしてクツクツと笑う。

 暫く話をしていると

「飲み物を取ってくる。ここで大人しく待っていてくれ」

「はいはい、よろしく~」

 ウィルが飲み物を取りに行ったので、きっと最初で最後の貴族のパーティーを目に焼き付けるように見渡す。

 広い会場の中心では、楽しそうにダンスする人達。

 趣向を凝らした色とりどりの衣装(ドレス)が回るたびに揺れて綺麗だ。

 とても華やかな世界だと思う(表面上は)。


 小さな子供の頃に見た絵本の挿絵には、煌びやかなパーティーで踊る王子様と主人公の絵が描かれていて、大人になれば自分も主人公のようにドレスを着て王子様とダンスをするのだと思っていた時もあった。

 成長と共にあれはただの物語で、自分とはかけ離れた世界のものだと理解していった。

 一生パーティーに参加することなどないと思っていたから(勝手に潜り込んだけど)、本物を目にすることが出来て良かった。

 遠くからだけど、カレンとキースのダンス姿を目に出来たし(あまり近づくと潜り込んだのがバレる)。

 パーティーの様子を観察していると、私の前に誰かが立ったために視界が塞がれてしまった。

 視線を上へと向けると、ニキビ面した嫌らしい笑い方をする男が立っていた。

「君、見ない顔だな」

 ヤバい。何て答えたらいい?

 ウィルがいない時に声掛けてくんなよっ!

「私はカイン・ゴンザレスだ。喜べ、私とダンスを踊ることを許可してやる」

 ……は?

 何言っちゃってんの? コイツ。

 気持ち悪い笑い方してハニー? ゴンタです?(←カイン・ゴンザレスです)

 踊る事を許可してやるって……馬鹿?

 いつもなら「一昨日来やがれ、ニキビ面」とか言ってやるところだけど、勝手に潜り込んだパーティーだし、お祝いの席で騒ぎを起こすわけにはいかない。

 それに何より問題なのは、庶民の私がダンスなんか踊れるわけないじゃんっ!!

「せっかくお誘い頂きましたのに、申し訳ございません。足を痛めてしまいましたので、休んでいるところなのです」

 多分カレンなら、こんな感じでお断りするだろう台詞(セリフ)を言ってみた。

 ……間違ってないよね?

 ほら、さっさと「お大事に」とか何とか言って、回れ右して消えろやっ!

 笑顔が引き攣る。

 背中を嫌な汗がツツツ~と伝っていく。

 目の前のニキビ面の体がフルフルと震え出した。

「この私の誘いを断ると言うのかっ!」

 ギャ~~ッ。ゴンタ(ゴンザレスです)沸点低過ぎるだろ~!?

 折角遠回しな言い方してやったのに、台無しにしてんじゃ無いわよっ!

 ヤバい。人の目が集まりだしてる。

 貴族が噂好きだってウィルが言ってたけど、興味津々な目がソレを物語ってるっ!

 ゴンタはいきなり私の腕を掴むと無理やり立たせてホール中央に連れて行こうとする。

 触れている部分が気持ち悪い。

 パーティーを見てみたいって下心が全くなかったわけじゃないけど。

 でも、カレンの大切な日に、少しでもその幸せな姿を見たかっただけなのに。

 ウィル、早く帰って来て! 助けてよっ!!

 涙で視界が歪みかけたその時、突然ゴンタが立ち止まった。

「わたくしの大切なお客様に、何か?」

 ゴンタの体で隠れて見えないけど。この声、カレン?

「いや、見かけない者がいたので……」

「わ・た・く・し・の、大切なお客様に、何か?」

「いや、その……」

 ゴンタが一歩下がったために、メイクなどによっていつもの(小動物のような)可愛らしい姿から大人っぽく更に美しくなったカレンの姿が見えた。

 とても美しいけれど目が全く笑っておらず、冷え冷えとするような笑顔のカレンが。

 三年間ずっと一緒にいたけど、こんなカレンは初めて見る。

「どなたか存じませんが、わたくしの大切なお客様の手を離して頂けますか?」

 あのふわふわした小動物みたいなカレンに、ゴンタが気圧されている。

 パーティーの主役であるカレンから「どなたか存じませんが(お前なんか知らねぇよ)」と言われて悔しさに顔を赤くさせたゴンタは、私の手を振り払うようにして離すと、足早にどこかに(逃げて)行ってしまった。

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