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転生令嬢の異世界愛され生活〜ご褒美転生〜  作者: 翡翠
第十一章 婚約しました
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「お相手はウォーカー家のキース殿だ」

 え? キース様……?

 呆然としている私をよそに、話は進んでいきます。

「実はこの話を持ってきたのは、ウォーカー家の現当主。つまりキース殿の父親なんだがね。きっと今頃、キース殿も縁談の話を聞いている頃じゃないかな」

 頭がうまく追いついていきません。

 私と、キース様の縁談……。

 縁談と言うことは、私とキース様が結婚するということで……。

「えええええええぇぇぇ?」

 思わず立ち上がり、淑女にあるまじき大声(奇声とも言う)を上げてしまった私。

「し、失礼しました」

 恥ずかしさに俯きながら、腰を下ろしました。

 キース様との縁談話にパニック状態の私には、そうすることが精一杯で、正常な思考に戻るまでにはもう少し時間が必要です。

 私のそんな様子には目もくれず、お兄様はお父様に次々と質問を浴びせていきます。

「この話は決定なのですか?」

「いや。本人達が望まぬのなら、この話はなかったことにされるだろう」

「そもそもキース殿の気持ちを確認する前に、どうしてこの話を持って来られたのか……」

「ああ、それなんだがな」

 お父様はキース様のお父様と話された内容を語り出しました。

 私が社交界デビューしたあのパーティー。

 キース様はお父様と一緒に参加されておられました。

 キース様にもそろそろお相手をと考えておられましたが、当の本人はその辺には全くと言っていい程に興味のないご様子。

 さり気なく色々な御令嬢と話の出来る環境(主にパーティーに同伴させる)を整えても、たいして話をすることもせずに貼り付けたような笑顔で抜け出し、ちゃっかり飲食だけして先に帰ってしまう。

 そんなことが続き、キース様はもしかして女性に興味がないのではないか。

 このまま独身を貫いてしまうのでは、とご当主はかなり本気で悩まれていたそうで。

 そんな時、あのパーティーでキース様がどこぞの御令嬢と楽しげに踊られている姿を見て、ひっくり返りそうになる程に驚かれたのだとか。

 その後も仲良さげにバルコニーで会話を楽しみ、絡まれたその御令嬢を助けたり。

 ……そのどこぞの御令嬢とは私のことだったわけですが。

 あんなに興味無さげだった息子が初めて見せたその姿に、この御令嬢ならばキース様も結婚を了承するのではと、態々ご当主自ら我が屋敷へと赴き、縁談の話をされたそうです。

 二人の同意が得られた場合結婚は卒業してからとし、それまでは婚約期間としてはどうかと。

「正直言って、今までカレンへの縁談話は腐る程あったが、カレンには無理に相手を押し付けるような真似はしたくなかったんだ」

 遠くを見るようにして話すお父様に、途中お母様の「嫁に出したくなかっただけでしょうに」という呟きが聞こえたような気がしましたが。

「カレンも遂に社交界デビューを済ませ、結婚の出来る年となったわけだ。ならば今後の縁談話は、カレンが自分の意思で受けるか断るかを選ぶべきかと思ってな」

 お父様は大きく息を吐いてから、私へと視線を向けて。

「カレン、キース君との縁談話、受けるか断るか、お前はどうしたい?」

 お父様の真剣な眼差しにパニック状態でありました私の頭もどうにか落ち着き、呼吸を整えて真剣に答えを告げます。

 ……私の答えはとうに決まっておりますから。

「私は、キース様に望んで頂けるのならば、このお話、お受けしたいと思います」

 お兄様は私の横で情けない程眉を下げ、ショックを隠し切れない様子。

 ……と言うより、隠す気はないように思われます。

 ああ、遂にテーブルに突っ伏してしまわれました。

「僕のカレンが他の男の元に……」

 いえ、私はお兄様のものではありませんよ?

 それにお兄様には可愛らしい許嫁がおられるではありませんか。

「……わかった。では先方には私から伝えておこう」

 お父様は目の前に居られるお兄様のことは完全に無視されて、話を続けます。

「ところでカレンから見て、キース君はどんな子かな?」

 私は少し考えて。

「キース様は、厳しいですがとても優しい方です」

 お父様が更に何か言おうとしましたが、それよりも先にお母様が。

「あらあら、もうお茶がないわね。今用意させますから、その後詳しく(・・・)教えて頂戴な」

 と、執事のセバスチャンにお茶の準備をお願いすると、素晴らしい(ちょっと悪そうな)笑顔で。

「二人の出会いから教えて頂戴ね」

 この笑顔のお母様には逆らうことなど出来ません。

 セバスチャンの淹れてくれましたお茶を一口頂き、そして私とキース様の出会った学園の入学式から話を始めました。

 途中瞳をキラキラさせながら相槌をうたれたり、お父様と「学生の頃を思い出すわね~」などと言われながら、続きを催促するような目で見てくるのです。

 そしてお兄様は完全に空気と化されております。

 話が高等部に上がってからのものになりますと、お母様の瞳は更に輝きを増し、恐ろし……いえ、何でもありません。

 そして、私の社交界デビューとなりましたあのパーティーの話になりますと、お母様のテンションは更に上がり、もう誰にも止められません。

「キャ~~~~~~」

 と、片手を頰にあてながら、片手でお父様の肩をバシバシと叩かれ。

「それでそれで?」

 と、結局最後までキッチリ話をさせられました。

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