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転生令嬢の異世界愛され生活〜ご褒美転生〜  作者: 翡翠
第十一章 婚約しました
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 落ち着いた色合いで揃えられ、質の良い調度品にセンスの良さが伺える客間には。

 金髪でスラッとした美丈夫と、赤髪のガッチリとした男性二人が向かい合うようにソファーに腰掛けていた。

 二人共に仕立ての良い衣装に身を包まれている。

 テーブルには紅茶が置かれてはいるが、部屋の中には使用人の姿は見えず、どうやら人払いをしているようだ。

「いや、双方にとって悪い話でもありますまい。どちらか一方でも嫌がるようならこの話は無かったことにして頂いて構わない。だが、この前の様子を見る限りは……」

 赤髪の男が何やら熱心に話をしているが、金髪の男性の方は困惑したような顔で。

「確かに悪い話ではないが、返事は本人に確認してから……」

 小一時間程の後、二人は部屋を後にするのだった。


◇◇◇


「「行ってきます」」

 リンちゃんと、マリアに挨拶して部屋を出ます。

 いつものように、私の左肩にエテルノさんが。

 右肩にはアルがおります。

 エレベーター代わりの魔法陣に乗り込みロビーへと降りますと、既にキース様とウィリアム様がソファーで(くつろ)いでおられました。

「「おはよう(ございます)」」

 リンちゃんと私の声にお二人が振り向かれます。

「「おはよう」」

 その時にキース様と目が合い、急に恥ずかしくなり、思わず目をそらすように俯いてしまいました。

 急に俯いたりして、変に思われたかもしれません。

 キース様の反応が気になりチラッと見ますと、キース様は私から顔を背けるようにしておられました。

 怒ってしまわれた……?

 そうですよね、急に目をそらされたら、誰だって嫌な気持ちになりますよね……。

 心の中でウジウジとしていると。

「だから、そのハの字眉はやめなさい」

 リンちゃんがわたしの頭に拳をコツンと当てる。

「全く、世話のやける」

 そう言って私の手を握り、キース様とウィリアム様が座られているソファーに向かって歩いて行きます。

「こういうのは、先に目をそらした方が負けなのよ!」

 ……リンちゃん。それは獣と目が合った時の話では?

 キース様と獣を一緒にされるのはどうかと。

「いつまで座ってるの? サッサと行くよ」

 リンちゃんは繋いでいた手を離すと、まだソファーに腰掛けられているウィリアム様の腕を引っ張り上げて、そのまま歩き出しました。

 え? えええええええぇぇぇっ⁈

 ちょ、ちょっとリンちゃん?

 ここでキース様と二人残されるとか、私はどうしたら……。

「いいのか? あれ」

「いいのよ。これくらいしないと、どうせキースは動かないんだから」

 リンちゃんとウィリアム様は何やらコソコソと話しながら、ロビーの扉を出て行かれてしまいました。

 先を行かれるリンちゃんとウィリアム様を追うべきか、まだソファーに腰掛けたままのキース様を待つべきか。

 焦る私にキース様がゆっくりと立ち上がり、「俺らも行こう」と私の手を取り歩き出しました。

 え? えええええええぇぇぇっ⁈

 キース様に視線を向けると、その横顔は少し赤くなっているように見えました。

 もしかしてまだ怒っておられるのでしょうか……?

 不安になって横顔をジッと見つめていると。

「カレン? どした?」

 キース様のその声は優しくて。

 怒っておられないのだと分かり、自然と私の口角が上がっていきます。

「いいえ、何でもありません」

 満面の笑みでこたえる私。

 繋がれた手が、嬉しい。

 優しく私の名を呼ぶ貴方(キース様)の声が、嬉しい。

 貴方の瞳に映る私が、嬉しい。

 ……貴方の隣に在るのがずっと、私であればいいのに。

 一度『好き』という感情に気付いてしまうと、いつものように振る舞うことが難しくなるのだと知りました。

 そして、彼の言葉や仕草に一喜一憂して、浮かれたり傷ついたり。

 前世で恋バナに夢中になる女の子たちを、不思議な気持ちで見ておりましたが、今になって初めて、その時の彼女たちの気持ちを理解することが出来ました。

 教室に入ると繋がれた手は離れ、少しの寂しさが胸に広がります。

 先に到着していたリンちゃんとウィリアム様がニヤニヤしながら、からかうように。

「遅かったね~。手まで繋いで、お二人さんは何をしていたのかな~?」

 キース様は顔を真っ赤に染められて。

「おまっ、お前らが勝手に先に行くからだろっ。何もしてねぇよっ!」

 不貞腐れたように椅子を引いて座ろうとされましたが、座られた位置が悪かったのか、キース様が椅子と一緒に思いっきり反っくり返ってしまわれました。

 リンちゃんとウィリアム様がお腹を抱えて笑い、キース様は相当恥ずかしかったようで、また顔を真っ赤にされております。

 どこかに引っ掛けてしまったのか、掌の側面に線状の傷が目に入りました。

 キース様が笑いすぎなリンちゃんたちに文句を言おうと息を吸われた時、私はキース様の手を取り傷の確認を始めました。

 キース様は私がいきなり手を取ったことに驚いたようで、私を凝視されています。

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