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転生令嬢の異世界愛され生活〜ご褒美転生〜  作者: 翡翠
第十章 社交界デビューです
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6

 翌日。

「カレン、街に遊びに行かないか?」

「行きません」

「じゃあ、庭でお茶でも……」

「しません」

「学園に一緒に帰……」

「マリアと一緒に帰ります」

 お兄様が床にのの字を書かれておりますが、少しは反省されたらよろしいのです。

「任せろ」と力強く仰ったのは何処のどなただったか……。

 昨夜のパーティーではすっかり私の存在を忘れ、御学友との話に夢中になられて。

 キース様が助けて下さらなかったら……考えるだけで恐ろしいです。

 やはり今日一日はしっかりと反省して頂きましょう。

 学園に戻るための支度をし、お兄様を置いてマリアとアルとエテルノさんと一緒に馬車に乗り、リンちゃんの待つ寮に戻ります。

「カレン様、ラルク様とご一緒でなくて良かったのですか?」

「いいんです! お兄様にはしっかりと反省して頂くつもりですし、お詫びにアルとエテルノさん用の魔獣焼を買って来て頂く約束を致しましたので」

 魔獣焼と聞いて、アルは耳をピクッと動かした。

『魔獣焼っっっ? カレン、魔獣焼が食べられるのか?』

 私の膝の上で尻尾を振っております。

 エテルノさんは私の肩の上でご機嫌な様子で。

『魔獣焼とな? それはどんなものか、楽しみだのう』

「寮のお部屋で、魔獣焼が来るのを待ってましょうね」

 ニッコリ笑みを浮かべて言う私の姿に、マリアとアルとエテルノさんは『兄でなくて魔獣焼を待つのか』と、自業自得とはいえお兄様に多少の同情をしているようですが。


「お帰り~」

 玄関でガバァッと音がしそうな勢いで、リンちゃんがハグしてきました。

 気を抜いていたエテルノさんが肩から落ち、頭に小さなコブを作るも。

『こやつ、なかなかやりおる』

 と小さな羽をパタパタと動かして、部屋の中へと入って行かれました。

 ……きっと恥ずかしさを誤魔化されたのだと思いますが、そこには触れないでおきましょう。

 アルは私が抱っこしていたので、リンちゃんと私の間で潰され、苦しそうにもがいています。

 満足したのか、ようやくリンちゃんがハグという拘束を解かれました。

「疲れたでしょ? 今日は私がご飯作ったから、二人ともゆっくりしてね」

 その言葉にマリアが嬉しそうにこたえます。

「お気遣いありがとうございます」

「いえいえ、いつもお世話になってるんだもん。これくらい当然」

 と、リビングに向かいお茶の準備をするリンちゃん。

「まだマリアさんみたく美味しくは淹れられないけどね~」

 どうやら時々、マリアにお茶の淹れ方を習っているようです。

 ソファーに座り三人でお茶をいただきながら、話はやはり私の社交界デビューの話になるわけで。

「で、どうだった? 社交界デビューは」

 リンちゃんの目がキラッキラッ輝いて、ちょっと怖……いえ、何でもありません。

「社交界用のカレン・リードが出来上がるまでに、ほぼ1日がかりでしたね」

 リンちゃんが目を丸くされています。

「何でそんな時間掛かるの?」

 やはりそう思われますよね? 私は一から説明を始めました。

「あ~、うん。お疲れ様としか言いようがないわ。お貴族様も大変なんだね~。私にゃ絶対無理」

 リンちゃんも苦笑いするしかないようです。

「で、支度終わってお兄さんと会場に向かったんでしょ? どうだった?」

 会場前には馬車の展覧会かと思える程の馬車が停まっていたことや、豪華絢爛という言葉がピッタリな会場の様子を説明していると、魔獣焼を持ったお兄様がやって来ました。

 アルとエテルノさんは大喜びです。

 約束通り魔獣焼を買って来て頂きましたので、今回のことはもう怒りませんが。

 今後お兄様とはパーティーに参加しません。

 と言いますか、しばらくの間はパーティーに参加するつもりはありませんので。

 お兄様はリンちゃんの淹れた紅茶を飲み干すと、リンちゃんにお礼を言い、肩を落としながらご自分の部屋へと帰って行かれました。

 妹とパーティーに出られないくらいで、あんなに落ち込まれなくてもよいと思うのですが。

 そもそもお兄様は、そんなにパーティーがお好きだったかしら?

 アルとエテルノさんが夢中で魔獣焼を食している間に、リンちゃんとマリアが身を乗り出しながら聞いてきます。

 この二人。見た目とかではなく、何て言ったら良いのか分かりませんが、どことなく似ている気がします。

「豪華絢爛な会場に入って、そこからどうなったの?」

「とにかくお兄様への挨拶のついでに私にも挨拶されてくるのですが、数が多すぎて正直誰が誰かなど覚えておりません」

 リンもマリアも『ラルクのついでではなく、ラルクがついでだから!』と心の中で盛大なツッコミを入れながら続きに耳を傾ける。

 お兄様の友人と合流し安心したのも束の間、お兄様たちが話に夢中になり、私が独身男性たちに囲まれたところを颯爽と助け出したのがキースだと聞いた所で、リンとマリアが大興奮し。

 私の話は一旦中断を余儀なくされたのです。

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