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転生令嬢の異世界愛され生活〜ご褒美転生〜  作者: 翡翠
第十章 社交界デビューです
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4

キース目線です

 親父と一緒に、舞踏会のパーティー会場に来ている。

 サクッと見渡したが、カレンはまだ到着してないみたいだ。

 ……それにしても、さっきから挨拶に来る連中のウザいことウザいこと。

 娘を連れて親父に挨拶に来るのはいいとして、その娘の香水がキツ過ぎて鼻が曲がりそうだ。

 なのに、そいつが俺に話し掛けてくるからたまらない。

 少しでも匂いから離れたくて横を向いてるのに。

 話し掛けられたら無視するワケにもいかない。

 そのうち色々な娘達に囲まれて、色々な匂いが混ざって頭が痛くなってくる。

 親父はこの公害の親たちに囲まれ、俺の周りには公害たちで輪が出来ている。

 適当に返事をしながらも、意識は常に入口にあったように思う。

 遂にカレンが到着した。

 ミントグリーンのシンプルだが、とても上品なドレスがカレンの白い肌に映えている。

 いつもと違う大人びたヘアメイク。

 凛としたその美しい姿に、会場内にいた者たちは男も女も関係なく、ただただ見惚れていた。

 もちろん、俺もーー。

 カレンたちが会場内に足を進めると、息子連れの親が次から次へと挨拶しに寄っていく。

 あっという間にカレンたちの周りに大きな輪が出来ている。

 カレンは貼り付けたような笑顔をしていた。

 あれは本当の笑顔じゃない。

 切れ間なく挨拶が次々と交わされて、それでも少しづつ移動していたのだろう。

 ようやくカレン兄(ラルク)の友人たちと合流出来たようだった。

 ラルクの友人である将来有望な良家子息たちが集まっている中に、平々凡々な息子を紹介などし難いことこの上ないのだろう。

 遠巻きに見ている者が殆どで、挨拶に向かう者がいなくなったようだ。

 離れた位置にいても、キースにはカレンがホッとした顔をしたのが分かった。

 あっちは大丈夫そうだな。

 ……問題は俺の方だよな。

 この公害たちからどうやって抜け出すか。

 親父はまだ動く気配がない。

 ホールの中央では踊る者たちが増えてきている。

 そろそろ公害たちのダンスの誘いを断るのが辛くなってきた時。

 目の端にカレンの盛大な作り笑顔が目に入った。

 カレン兄たちが話に夢中になり、それに気付いてカレンに話し掛け始める奴らが出始めているようだ。

「チッ。妹から目を離してんじゃねぇよ」

 公害たちには聞き取れなかったのか「何か仰いました?」と聞いてくるから、丁度良いとばかりに。

「知り合いが居りましたので、失礼します」

 和やかに無理やり輪を抜け出して、なるべく急いでカレンの元に向かう。

 段々とカレンの周りに輪が出来始めている。

 走って行くことが出来ないのがもどかしい。

 苛々を抑えながら、ようやくカレンの輪の外側に着いた。

 輪になっている連中は口々に。

「一緒に踊って頂けませんか?」

「私の方が先に申し込みをしたのだから、まず私と踊って下さいますよね?」

 ……ああ、もう。嫌がってるのが分かんねえのかよ!

 カレンは何とか笑顔を貼り付けているが、あれは泣きそうなのを我慢している顔だ。仕方ない。

「失礼。彼女は私と踊る約束をしているのですよ」

 輪の中心にいるカレンに手を差し伸べる。

「お待たせしてすみません。行きましょう」

 慣れない言葉で言えばカレンは少し驚いたような、でもホッとしたような嬉しそうな、何とも言えない表情の後。

「はいっ」

 作られたものじゃない本物の綺麗な笑顔で、俺の手に自分の手を重ねた。

 その瞬間俺はこの時の笑顔を、きっと一生忘れないだろうと思った。

 ……ウィルやリンには、絶対に言わないけどな。

 約束していると言った手前、踊らないワケにはいかない。

「悪いな、(舞踏会で)ファーストダンスの相手が俺で」

 ホールの中央は避けて、あまり目立たない位置で踊り始める。

 カレンは嬉しそうに頰を染めながら。

「いいえ、初めてのお相手がキース様で良かった」

 ブハッ。思わず吹き出しそうになるのを耐えた俺、超エラくね?

 ……カレンは何も考えずに言っているんだろうが、その言い方はマズイって。

 ヤバい、顔がすげぇ熱くなってきた。

 きっと真っ赤になっているだろう顔を少し背ける。

「キース様?」

 コテッと首を傾げて、不思議そうに見てくるカレン。

 いつも一緒にいるけど、こんなに密着したことは無かったなぁ、とかどうでもいいことを考えてしまった。

 てか、顔近っ!

 ホント綺麗な肌してるな。睫毛長っ!

 それに……今更だけど、カレンは超のつく美少女なんだよなぁ。

 何とか一曲踊り終わったが、これ以上の密着は俺が(・・)ヤバい。

 カレンの手をとり、途中飲物をもらってから、バルコニーの方へと移動した。

 バルコニーへ出ると、ホールより少しだけ肌寒く感じて、着ていた上着をカレンに掛けてやる。

「ありがとうございます」

 うん。貼り付けた笑顔じゃない、いつものカレンだ。

 その様子にホッとして思わず本音が口から飛び出した。

「いつものカレンの方が俺は好きだな」

 口にしてから「あっ」と思ったが、出てしまったものは仕方がない。

 カレンはその言葉に笑いながら。

「実は私もこの姿はあまり好きではなくて。でも、この姿を作り出すのに朝から拘束されて、本当~に大変だったんですからね? だから……少しは褒めて頂けませんか?」

 いたずらっ子のような目をして俺が褒めるのを待っている。

 怒られずに済んだけど、これは怒られた方が楽だったんじゃね?

 女の褒め方なんて知らねぇしっ!

「えっと、うん。綺麗……だと、思う」

 だぁぁぁぁ。

 その辺のちっこいガキだって、もっと真面な言い方が出来るだろうに。

 ……まあ、俺に褒めろって言う方が無理(開き直り)。

 だから、素直に思ったことだけ言えばいいよな。

「けど、カレンは化粧なんかしなくても……綺麗だぞ?」

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