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転生令嬢の異世界愛され生活〜ご褒美転生〜  作者: 翡翠
第一章 転生しました 〜カレン5歳〜
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3

 (カレン)が記憶喪失とされてから一カ月後。

 五歳以前の記憶は失われたままに、全く違う生活環境の中に戸惑いは多々あるものの、ようやく慣れてきた今日この頃。


「おはよう、カレン~♪」


 目を覚ますと、ラルクがニッコニッコしながらベッドの横に立っていた。


「ラルク兄様、おはようございます」


 眠い目を擦りながら、笑顔で挨拶すると、


「カレン~、今日も可愛いね~♪」


 ご機嫌なラルクにカレンはギュウギュウと抱きしめられる。


「兄様、キツイです……」


 少し申し訳なく思いながらも、こう言わないといつまでもラルクはカレンをギュウギュウ抱きしめたまま離さないのだ。

 カレンの言葉を合図にラルクは「ごめんごめん」と言いながら、頭を撫でて離れることが今では当たり前のようになっている。

 カレンからラルクが離れると、今度は侍女のマリアが甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるのだが、着替えや風呂に入れてくれようとするのはいつまでたっても慣れるものではない。

 前世の自分の部屋より広いクローゼットに掛けられた様々なドレスはとても動きにくく、その中でも比較的地味で動きやすそうなものばかりを選んでいたら、なぜかマリアにドレスを選ばせてもらえなくなってしまったのだ。

 毎日鼻歌を歌いながらドレスを選ぶマリアに、カレンは着せ替え人形のようにされている。

 髪型も毎日変えて、編み込みやら何やらと、マリアは本当に楽しそうだ。


 身支度を整えると、家族みんなで朝食をいただく。

 質素ではないけれど、(ぜい)を尽くしたようなものは特別な時だけだ。

 今のカレンの両親は公爵という高位の貴族ではあっても、無駄使いは良しとしない善良な方だった。

 朝食の後は、勉強(座学)の時間だ。

 前世の世界と違って、こちらは科学のかわりに魔法が発展しており、魔法や魔法陣、薬草を使った薬の作り方や歴史を中心に学んでいくようで、理数系の勉強はかなり遅れていた。

 文字や歴史は前世とは全く違っており、一から学べるというのはとても助かっている。

 魔法陣と薬の作り方は、前世で言うところの中学校くらいから学ぶらしい。

 魔法に関する勉強は、今はまだ座学的なものを教えてもらっているけれど、近いうちに実践(じっせん)でも教えてもらえるようで、今からとても楽しみでもある。


 勉強が終わると、その後はダンスの時間だ。

 前世では塾や習いごとなど、したことがなかったのだけれど。

 ダンスは自分で言うのも何だけど、結構筋がいいそうだ。

 時々ラルクに相手をお願いするのだが、踊り終わるとものすごく褒められる。

 ……褒めてくれるのはとても嬉しいけれど、目に付く使用人達にその都度自慢されるのは余りにも恥ずかしいので、本当にやめていただきたいと思う。

 そんなこんなで、ダンスの時間が終わると昼食の時間だ。

 父や母はとても忙しい方達なので、昼食を一緒にとることは殆どなく、ラルクと二人での昼食となる。


 ラルクはいつもアレコレと色々な話をしてカレンを楽しませてくれる。

 カレンがダンスを習っている時間、ラルクは剣術を騎士達から学んでおり、稽古の内容やその時にあったことなどを面白可笑しく話すのだ。

 マリアや執事のセバスチャンから、ラルクは将来有望だと騎士達から評価されていると聞いた。

 カレンの前ではいつも楽しそうに稽古の話をしているが、決して楽しいだけのものでないことを知っている。

 ラルクは決して才能だけに頼ったりなどしない、努力の人だ。

 そして優しくて誰よりも尊敬出来る、大好きなお兄様なのだ。

 ラルクのお陰で、カレンはこちらの世界で寂しいと感じたことは一度もなかった。

 というより、前世で感じたことのない、家族のいる幸せを日々噛み締めているのだった。

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