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転生令嬢の異世界愛され生活〜ご褒美転生〜  作者: 翡翠
第六章 ギルドに登録しました
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5

「「おはよう(ございます)」」


 一階のロビーでキースたちと合流して、校舎へと向かう。

 こうして四人揃うのは二ヶ月ぶりだ。

 カレン以外の皆は日焼けしており、健康的な小麦色の肌である。

 カレンは日に焼けるとすぐ赤くなり水膨れが出来てしまうので、常に日焼け止めでガードしなくてはならないのだ。

 とはいえ貴族令嬢として日焼けは良くないのだけれど。

 久々に集まったので、話は尽きることなくあっという間に教室に到着した。

 席は四人かたまっているので、先生が教室に入ってくるまで話は続く。


「あ、そうです。これ、皆さんにと思って……」


 カレンが鞄から取り出したのは、自分で稼いだお金で購入した、パワーストーンのブレスレットである。

 皆とお揃いで着けられたらと思い、色違いのものを四つ選んだのだ。

 リンには人生の成功を守護する奇跡の石である、翡翠を使用したもの。

 キースには勝利と成功へと導く太陽神の石である、サンストーンを使用したもの。

 ウィリアムには豊穣と富を象徴しツキを呼び込むと言われる、イエローアベンチュリンを使用したもの。

 そしてカレン自身には、恐怖心を克服し迷いを断ち切る、チャロアイトを使用したものを。


「気に入って頂けたらよろしいのですが……」


石の効果を重視したために、皆のイメージの色とは若干異なるので、もしかしたら好みでない色かもしれない。

 ……という心配は無用なものと言うほどに、皆喜んでくれた。

 石の効果を説明すると更に喜んでくれて、散々悩んで選んだ甲斐があったというものだ。

ヴァイス先生が「おはよう」と教室へ入り、出席をとり終えるとすぐに始業式のためホールへ向かう。

 入学式と同様に各学年、クラス毎に別れて着席していく。

 校長先生の長い話が始まるとともに、横のリンが夢の中へと旅立つ。

 前に座っているキースは大きな欠伸をし、ウィリアムに小突かれている。


 始業式が終わり、リンとキースを起こして教室へ戻った。

 今日は始業式とHRのみで授業はないのだ。


「全員席ついたな、よし。皆も知っているとは思うが、今学期からは実践授業の一つとして、パーティーを組んでギルドの依頼を受けてもらう」


 教室内が騒めきはじめたが、先生の「説明はまだ終わってないぞ」の一言で、再び静かになる。


「四~六人でパーティーを組んで、ここに用紙を置いておくから今日中にメンバーと(パーティーの中での)リーダーを記入して提出するように。俺は職員室にいる。提出終わった奴から帰っていいぞ」


 そう言っていつものようにサッサと教室を出て行った。

「騒ぐなよ」の一言を添えて。

 キースが席を立ち用紙を手にして戻ると、その用紙をウィリアムの机に置いて「書いといて」と席に座る。


「リーダーはウィルでいいよな」


 カレンとリンの方を見ながらサラッと言われ、当たり前のようにパーティーメンバーの中に自分が入っていることに、感動しているところである。

 前世ではいつも最後まで残って、人数の少ないチームに押し付けられるようにしてメンバー入りし、申し訳なくも肩身の狭い思いでいたのだ。


「賛成~」


 リンが片手を上げ、カレンも「ウィリアム様がお嫌でなければ」と、賛成の意を示す。

 キースがニヤッと笑いながら「よろしく、リーダー」と言うと、ウィリアムも悪そうな笑顔を向けた。


「リーダーの言うことは絶対だ。キース、腕立て百回な」

「ふざけんな」


 このやり取りを見るのも二ヶ月ぶりだ。

 やはり四人でいるのは楽しい!

 ウィリアムが用紙に記入を終えると席を立ち、四人で職員室にいるヴァイス先生の元へ行き、用紙を渡して寮へと向かう。


「腹減ったな~」


 キースがお腹をさすりながら切なそうに呟いた。


「マリアに言って、勝手に昼食の用意をさせて頂いておりますが……」

「マジでっ!?」


 キースが満面の笑みを浮かべて喜ぶ。


「マリアさんの作るご飯、何でも美味しいんだよね~」


 リンもご機嫌である。


「いつも作ってもらっているお礼に、お菓子でも買って行きましょうか?」


 ウィリアムにリン達が賛同したけれど、お菓子は母から山のように頂いており、これ以上増えては困ると理由を話し、丁重にお断りさせてもらった。


「じゃあお茶は……」


 それも父から山のように頂いたので、丁重にお断りさせてもらう。


「「「……」」」

「マリアはアロマオイルなどの良い香りがするものが好きですよ?」


 マリアはきっと何でも喜んでくれると思うが、これならば更に喜んでもらえることだろう。

 さらっと提案させてもらった。

 それならばと、ウィリアムが新作のアロマオイルを商会(お家)より取り寄せて、後日改めてマリアに渡すことに決まる。

 新作とか、きっとマリアは大喜びすることだろう。

 皆の顔にもホッとしたような笑みが浮かぶ。

 そして止まっていた足を寮へ向け、再び歩き出すのだった。

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