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ラルク目線です
僕はラルク。ラルク・リード。
三月前に、七歳になった。
雷を司る貴族、リード公爵家の長男で周りの大人からは「しょうらいゆうぼう」って言われている。
現当主である父様は、とっても強くてとってもカッコイイ。
父様のように強くてカッコイイ当主になるために、勉強だけじゃなくて剣や魔法の練習も頑張っているんだ。
そして、僕の自慢の妹カレン。
もう本っっっ当に可愛くて可愛くて可愛くて可愛くて……(止まらないので割愛)。
とにかく本当に天使のように可愛いんだよ!
そんなカレンの誕生日の今日。
カレンは朝起きて、寝ぼけながらベッドから降りようとして、手を滑らせて頭から床に落ちたらしい。
侍女が慌ててお医者様を呼んで診てもらったら『のうしんとう』と診断されたとか。
暫くしたら目がさめると言われても、僕は心配で心配で心配で心配で……(止まらないので割愛)。
可愛いカレンの頭にコブが出来てしまっている。……可哀想に。
まだ目覚めそうにないので先に朝食にしましょうと母様に言われ、仕方なくカレンの部屋をあとにした。
カレンが気になって気になって気になって気になって……(しつこいので割愛)、行儀が悪いのは分かっているけれど、朝食をサッサと済ませて挨拶もそこそこにカレンの部屋へと向かった。
一応ノックをしてから部屋へ入ると、半身を起こしたカレンと目が合ったんだ。
「カ~レ~ン~~~」
猛ダッシュしてカレンを抱き締める。
「カレン~、無事で良かった。心配したんだよ~」
そして更に抱き締める。
ギュウギュウと抱きしめる。
少しして、父様と母様が部屋に入ってきた。
「カレン、目が覚めましたのね」
「ラルク、カレンが苦しそうだ」
僕は慌てて腕の力を緩めるけれど、カレンを離す気は全くない。
少し自由のきくようになったカレンは、ゆっくりと父様と母様の方に顔を向け、そして信じられない言葉を発したんだ。
「あの、ここはどこでしょう?」
◇◇◇
「記憶喪失?」
カレンの部屋を出て、父さまと母さまとお医者さまと、応接室に移動した。
お医者さまが仰るには、カレンは頭をぶつけたショックで『記憶喪失』になったらしい。
父さまのことも、母さまのことも、そして僕のことも忘れてしまったと。
自分のことですら……。
すぐに思い出すかもしれないし、このまま思い出さないかもしれないし、こればかりは誰にも分からないらしい。
父さまと母さまとお医者さまで、僕には分からない難しい話を始めてしまった。
僕は座り心地の良いソファーの上で、大人しく大人達の会話が終わるのを待っている。
ああ、可愛い可愛い可愛い……(長いので割愛)カレンに、僕のことを忘れられてしまったなんて。
いや、僕よりも何もかも忘れてしまったカレンの方がずっと辛いはず。
どんなことがあっても、僕はカレンの味方だよ!
カレンの側を離れないからね~~~~~~~~~っ!!