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転生令嬢の異世界愛され生活〜ご褒美転生〜  作者: 翡翠
第五.五章 戦えません 〜キースside〜
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1

 今日から体術と魔法学の実践授業が始まる。

 どちらかといえば、座学よりも実践で体を動かす方が好きだ。

 いつもより今日は早く目が覚めた。

 ったく、遠足前の子どもかよ、俺は。

 ウィリアムと一緒に生活(同居)するようになって、俺の生活は格段に向上した。

 まあ、俺の部屋以外は快適な空間だ。

 そんなことは置いておいて。

 ウィリアムが作った朝食を食べ、支度をして部屋を出る。

 いつも通りロビーでリン達に声を掛けられ、合流して校舎に向かう。

 リンも俺と同じタイプのようで、実践を楽しみにしているのが見て分かる。

 カレンは……ニコニコはしているが、目の下に薄っすらとクマがあって、無理して笑っている感じだ。

 体調があまり良くないのかもしれないな。

 カレン(こいつ)は直ぐ我慢するから、周りが気を付けてやらなきゃならない。


 HRが終わり、体術の授業が始まった。

 場所を第一体育館に移し、まずは二人一組となって投げ技の練習から。

 ま、最初はこんなもんだよな。

 ウィリアムと交互に投げ合っていると、ウィリアムが何かに気付いたらしく、笑いながら指を差している。

 その方向へと目を向ければ、リンをカレンが投げようとしている姿があった。

 その姿は小動物がちょこまかしているようで、とても可愛らしい。

 本人に言うと、頰を膨らませてむくれるだろうが。

 実際カレンは類を見ないほどの美少女で、なのに貴族特有の我儘は皆無。

 差別する人間は嫌いなようで、見た目おどおど小動物なのに筋が一本通っているような、不思議ちゃんだ。

 リンが大好きで、いつもリンにピッタリくっついてまわっている。

 一生懸命にリンを投げようとしているが、リンが少し悪い笑顔でいるから、投げられないようにわざと踏ん張っているんだろう。

 まぁ、カレンをイジりたくなる気持ちは分かるが、程々にしておけよ?

 今もわけのわからないステップ? を踏んでリンの襟を引っ張る、を何度も繰り返すカレン。

 誰だよ、あんなステップ教えたやつはっ!!

 俺とウィリアムは、笑い過ぎて蹲るようにして痙攣を起こしていた。

 ……知らなかった。笑いすぎると声も出ないんだな。


「リンちゃ~~ん」


 カレンがギブしたようだ。

 リンがお腹を抱えて大笑いして、カレンの頭を豪快に撫で回している。

 そして無事授業を終えた俺たちは、前に一度来たカフェへ昼飯を食いに来ていた。


「いやぁ、笑ったわ」

「皆さん笑いすぎなんですっ」


 リンがさっきの授業を思い出して笑い出し、カレンがむくれている。


「悪い悪い……何か、想像以上で……ブフォッ」


 俺も耐え切れずに吹き出していた。


「キース、笑い過ぎですよ」


 ウィリアムがカレンの頭を撫でながらそう言っちゃあいるが、お前だって笑いを堪えているせいか涙目だし、手が小刻みに動いてるからな?

 カレンにジト目で見られたウィリアムが誤魔化すために咳払いを一つして。


「ショートケーキ、食べますか?」


 エサで釣る気かっ!?


「食べますっ!」


 釣られたっ!?

 いや、やっぱこいつは見ていて飽きないわ。



「ご馳走様でした」


 満足そうに言うカレン。

 流石に笑い過ぎたと自覚があったから、カレンの分はみんなで奢ることにした。

 公爵家の令嬢がショートケーキでご機嫌とかって……。

 けど、次に俺が言った一言で、カレンの様子が明らかに変わったんだ。


「次は魔法学の実践授業だったよな?」


 リンとウィリアムは二人で話をしていて見ていなかったようだったが、俺の台詞(セリフ)を聞いた途端に顔が強張り何か考えるように目線が下に下り、どんどん顔色が悪くなっていったんだ。

 リンが今気が付いた。


「何か顔色良くないけど大丈夫?」


 心配そうにカレンの顔を覗き込む。


「大丈夫、です……」


 力なく笑うカレン。

 こいつはこうなったら絶対に大丈夫しか言わない。

 心配させたくなくて言ってるんだろうが、そういうところが余計に心配掛けているなんて思ってもいないんだろうな。

 だから俺らは。


「我慢出来なくなったら言うんだよ?」


 それしか言えない。

 魔法学の実践授業は、防死結界の張ってある第一訓練室で行う予定だ。

 カフェから直接訓練室へ向かった。

 カレンの顔色は更に悪くなっている。

 もう少し様子を見てこれ以上悪くなるようなら、本人が嫌がっても無理やり保健室に連れて行くことにしよう。

 訓練室に着いたが、まだヴァイス(何となく先生と呼びたくない)の奴は来てないようだ。


「全員いるな~」


 ようやくヴァイスが訓練室に入って来ると同時に、授業が始まった。


「まずテニスボール大の魔力の球を作れ」


 そう言って見本として魔力球を一つ作り出した。

 真っ黒な綺麗な球体だ。

 生徒全員で一斉に作りだす。

 同じものを作り出しているはずなのに、形が(いびつ)だったり、真っ黒ではなく(まだ)らだったり、薄かったりと、ヴァイスと同様の魔力球になっている奴はいな……くなかった。

 リンとウィリアムは少し色が薄いが、ヴァイスと同じような綺麗な球体になっている。

 俺のは形こそは綺麗な球体だが、中が少し斑らだ。

 カレンの方を見ると、驚いたことにヴァイスの作ったソレよりも、明らかに深い黒色をした綺麗な球体が浮かんでいた。


「カレンのは黒って言うより漆黒って感じだな」


 魔力球を見ただけで分かる。

 カレンはリンやウィリアムよりも、コントロールの力は数段上だ。

 そして、ヴァイスよりも……。

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