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校舎の一画に、中間テストの上位五十名までが貼り出されている。
予想通りというのか、やはり一位と二位は特待生のウィリアムとリンである。
一位 ウィリアム
二位 リン
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八位 カレン・リード
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「さすがリンちゃんとウィリアム様です」
「カレンも十位以内に入ってるなんて凄いじゃん」
「ありがとうございます。リンちゃん達のお陰ですね」
笑顔でお礼を言いつつも、カレンはまさか自分が十位以内に入れるなんて、と内心とても驚いていた。
ちなみにキースは十五位に名前が乗っていた。
「キースもやれば出来る子だからな」
ウィリアムが笑いながらキースの頭を撫で、リンもそれに乗っかるように「頑張りまちたね~」と撫で回し、真っ赤になったキースが今日も叫んでいる。
「子供扱いするんじゃねえよっ!」
いつもの微笑ましい光景である。
「そういえば、明日からだっけ? 体術と魔法学の実践始まるのって」
リンは「楽しみ~」と言いながらはしゃぎ、
「俺も座学より実践のがいいや」
キースの言葉にウィリアムが苦笑しつつも頷いている。
楽しそうな三人をぼんやりと見つめるカレンは、体を動かすことがあまり得意ではなく、体術はちょっと……いや、かなり苦手であった。
皆が楽しみにしているようなので言えないけれど、正直かなり気が重いと感じていた。
夜、ベッドのクッションを背もたれにし、アルをナデナデしながらモフモフを満喫中のカレン。
いつもであればサイドテーブルのランプの明かりで本を読み始めている頃だが、何だか本を読む気にもなれず、ひたすら無心にアルを撫で回していた。
そんないつもと違う様子に心配したのか、アルが念話で話しかけてきた。
『何かあったのか?』
『明日から魔法学が座学から実践に変わり、体術の授業が始まるんです……』
『そうか。カレンは運動神経はあまり良くなかったか。だが、魔法は得意だったろう? ……我と初めて出会った時、我の怪我を上級魔法で治してくれたではないか』
得意というか……。
通常魔力は十五歳で二万、二十歳で五万程度と言われているが、現在カレンの魔力はすでに七万を超えていた。
魔力を抑える魔法陣を刻んだピアスによって、何とか二万程度まで抑えられているのだ。
ピアスを外して解放した時と、つけて抑えている時の魔力コントロールが微妙に変わるため、どんな条件でもコントロール出来るよう、実は誰にも気づかれぬよう訓練している。
そんなわけで、コントロールに関しては少しだけだが自信があるのだ。
ただ得意不得意とかではなく、何と説明したらよいのか。
……これはきっとこの世界の住人には理解出来ない感情なのだと思う。
なぜなら、前世の私は魔法もない、魔獣もいない、ある意味平和な世界で生きていたのだから。
結局眠ることが出来ずに時間だけが過ぎ、カーテンの隙間から朝の光が入り込んでいた。
アルは途中からスヤスヤと寝息をたて、カレンの膝の上で気持ち良さそうに眠っている。
トントンという音の後にマリアが部屋に入ってきた。
「おはようございます。眠れなかったのですか?」
「おはようございます。何か早くに目が覚めてしまって……」
心配そうな顔のマリアに嘘をついてしまったのだが、多分マリアにはそうでないことなどお見通しだろうに、彼女は何も言わずにいてくれる。
心配掛けてごめんなさいと、心の中で謝罪した。
アルを一撫でしてから、ベッドから出て顔を洗いに洗面所へ向かう。
着替えてマリアに髪を整えてもらい、リビングへ向かうタイミングでリンが起きてきた。
「「おはよう(ございます)」」
リンは慌てて洗面所へ飛び込み、カレンはリビングに着くとまっすぐダイニングテーブルへ。
テーブルの上には焼き魚と大根おろし、玉子焼(カレン好みに甘め)と白菜の漬物と、味付け海苔と味噌汁とご飯が並べられている。
両手を合わせて「いただきます」をして、焼き魚と大根おろしに醤油をかけ、一口。ん、今朝も美味しい。
カレンが味わって食べていると、リンがバタバタとテーブルにつき、
「うわぁ、美味しそう」
と言って、いただきますをしてから凄い勢いで食べ始めた。
リンは食べるのは早いが食べ方は綺麗なので、マリアは苦笑いをしながらそれを見ている。
食べ始めたのはカレンの方が早かったのだが、食べ終わるのはいつもリンの方が少し早い。
マリアの淹れたお茶をリンが美味しそうに飲んでいる。
「「ご馳走様でした」」
◇◇◇
マリアとアルに見送られてロビーへ降りると、丁度キースたちが出入口付近におり、声を掛けて合流する。
皆の話題は当然の如く今日から始まる体術と魔法学の実践授業の話だ。
長期休暇後の二学期から数人で班を作り、ギルドで依頼を受ける授業があるので、そのために中間テスト後から訓練を始めるのである。
ギルドの依頼はF~SSまでの等級に分けられており、Fは薬草の採取や庭の草むしり、買い物の代行などの簡単な依頼が多く、子どもでも受けられるような内容のものが殆ど。
魔物の討伐はDからとなっており、パーティーを組めば条件によっては一つ上の等級の依頼を受けることも可能だ。
何といってもまだ中等部に入学したばかりであり、受ける依頼はEかFが殆どで、危険度の少ない森とはいっても絶対に安心ということではないのだ。
あってはならないことだが、万が一にも何かあった場合に生きて帰れるよう、そのための訓練なのだ。
苦手だからとそのままにしていては、同じパーティーメンバーの足を引っ張ることになる。
やるしかありません。頑張りますっ!
カレンは皆に見えないよう、ギュッと拳を握った。




