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転生令嬢の異世界愛され生活〜ご褒美転生〜  作者: 翡翠
第三章 フォード学園に入学しました 〜カレン13歳〜
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キース目線です

 入学して初めての週末に、四人で出掛けることになった。

 まあ、特にやることもなく暇だから了解したが、ウィリアムが乗り気なのには少し驚いた。

 俺と二人で出掛ける時には面倒臭そうにしている癖に、多分だがリンのことが気に入ったかな。

 だとしたら、あいつは一見爽やかな好青年に見えてかなり腹黒な奴だからな……リン、御愁傷様だ。

 それにしても出掛けると決まった時のカレンの喜びようといったら、犬のようにブンブン振ってる尻尾が見えたような気がするほどだった。

 リード家のカレン嬢といったら、その姿はまるで天使のように可憐で、デニス様が溺愛されて数多(あまた)の婚約申込みも全てお断りするほどだとの噂は耳にしていたが……。

 正直噂なんてものは話半分に聞いておくくらいで丁度いいと思っていた。

 実際初めて目にした時は、あまりの美少女ぶりに情けなくも固まってしまったのだ。

 美しさに関しては、噂以上と言うしかないだろう。

 まあ、本人は全く自覚がないようだが。

 可憐という点では、ちょっと違う気がする。

 四人での自己紹介の時に、思い切り机に額をぶつけたり、ちょっとドジ属性の入った女の子という印象だ。



 気がつくと、約束の十分前の時間だった。


「やべ、寝坊した」


 慌てて飛び起き顔を洗い歯磨きを済ませ、髪を適当に整え、服を適当に選んで部屋を飛び出る。

 貴族の俺は、本来ならば使用人を一人連れてくることが出来たが、やっと羽を伸ばせる環境に使用人は不要と突っぱねた。

 だから、全てを一人でこなさねばならない。

 無駄に広い部屋にウィリアムを連れ込もうと企んでいるのは内緒だ。

 一階ロビーに着くと、俺以外の全員が揃っていた。

 一人見慣れない女性がいたが、服装から見てもカレンの侍女だろう。

 俺は大欠伸をしながら皆の元に向かった。

 カレンの仔犬を連れて行くことに同意し、寮を出る。

 乗り合い馬車は初めてだというカレンは目をキラキラさせて、すごく楽しそうだ。

 ……俺が初めて乗り合い馬車に乗ったのは、いつだったか。

 俺もこんな風に喜んでいただろうか?

 全く思い出せないが。


「……それで街まで乗り合い馬車に乗って、散々連れ回されて帰ると僕が怒られるんだよ。本当に困ったお坊っちゃまだよ」


 フゥ、とウィリアムは大袈裟に溜息を吐き、俺の方をニヤリと見る。


「だから、お坊っちゃまって言うなよ」


 こいつは爽やかな顔して、サラリと毒を吐くんだよなぁ。

 こういうタイプは敵に回すと厄介だ。

 その後もなんだかんだと色々な話で盛り上がり、あっという間に町に到着した。

 ウィリアムがサッとリンの手を取り、馬車から降ろしている。

 やっぱりウィルのヤツ、リンが気に入ったようだな。

 俺はカレンの手を取って、馬車から降ろした。

 カレンの様子が少しおかしい気がして顔を覗いて見る。


「どうかしたか?」


 カレンは落ち着きなく目線をあちこちに向けながら、でも少しホッペタを膨らませているように見える。


「あ、いえ、アルがリンちゃんにずっと引っ付いているので……。アルは美人さんが好きなんです」


 自分の言っていることが恥ずかしかったのか、最後の方は尻窄みになり、顔を赤くして俯いてしまった。

 ああ、カレンは焼きもちを焼いているわけか。

 リンに対してか、アルに対してか、或いは両方にか。

 リンは初めての友達だと言っていたし、こんな風に焼きもちを焼くのも初めての経験なんだろう。

 カレンらしいというか何というか。

 可笑しくなって笑いながら頭を撫でた。


「それでも一番はカレンなんだから、今だけ抱かせておいてやれ」


 俺がそう言えばカレンは「……はい」と小さく返事を返した。

 到着したのは昼には少し早いだろう時間だった。

 俺やウィルは立ち食いでいいが、女の子は座ってゆっくり食べたいだろうとウィルが言うので、混む前に色々買うことにした。

 まあ、寝坊して何も腹に入れてないから丁度いいしな。

 目に付く色々な食べ物を買っていく。

 魔獣焼はカレンの犬も好きらしいので、多めに買った。

 女の子が好みそうな果物のジュースも買った。

 本当ウィルはそういうのに詳しいし、気が回るよな。

 かなりの量を買い、俺らの両手が塞がったところで、飲食スペースへと向かう。

 思った通り、まだガラガラだ。

 奥の端のテーブルを選び、食べ物と飲み物をカレンとリンでテーブル上に広げていく。

 カレンの犬の尻尾は、魔獣焼を前に超高速で振られている。

 さすがカレンの犬だと言っておこう。

 そしてジュースを手にして。


「「「「乾杯」」」」


 どれが美味しいとかリンとカレンは話に忙しく、あまり量が減っていない。

 ウィルはそんな二人(主にリン)をニコニコしながら見ている。

 やっぱり男同士で来るのとはちょっと様子が違うものだと、俺も二人を観察しながら魔獣焼を口にする。

 あんなに沢山あった魔獣焼をいつの間に平らげてしまったのか、カレンの犬が俺の足をよじ登ってテーブルの上の魔獣焼をじぃっと見る。

 こいつ、散々食ったくせにまだ食う気かよ。


「お前、散々食ったろうが。コレは俺のだからやらないぞ」


 俺の言葉が分かるはずはないが、文句を言うようにキャンキャン吠えて来る。

 ちょっと本気で魔獣焼を奪い合っていたら、ウィルとリンがお腹を抱えて笑い、カレンが涙を流して笑っていた。

 いやいや、笑ってるヒマあるなら、こいつ(アル)をどうにかしろよ。

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