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転生令嬢の異世界愛され生活〜ご褒美転生〜  作者: 翡翠
第三章 フォード学園に入学しました 〜カレン13歳〜
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10

「僕は別に構わないよ。随分可愛い仔犬だね。撫でても?」

「ありがとうございます。大丈夫ですよ」


 ウィリアムはアルのモフモフを堪能している。

 やはりモフモフは正義です!

 そうこうするうちに、リンがロビーに降りてきた。


「おはよう」

「「おはようございます」」


 リンはアルをウィリアムがアルのモフモフを堪能している姿を見ると目を輝かせて、


「きゃ~、可愛いっ! 抱っこさせて~」


 と、両手を前に突き出した。

 アルは素直にリンに抱っこされている。


(アルは綺麗な女性に弱いですからね……)


 尻尾が高速で振られている。

 勿論リンからはアル同行の件は快諾された。

 最後に大欠伸(おおあくび)をしながらロビーへと降りて来たキースにも了承してもらえたので、四人プラス一匹でお出掛けです。

 マリアが行ってらっしゃいませと頭を下げ、見送ってくれた。

 町へは乗り合い馬車(前世で言う所のバス)を利用する。

 こういった馬車に乗るのはもちろん初めてで。


「カレンはこんな馬車に乗るのは初めてでしょ? 悪いけど、町に着くまで我慢してね」

「初めてですが、皆様とこうやってお話しながらの移動は楽しいです。キース様も初めてですか?」

「俺はウィリアムとよく屋敷を抜け出して出掛けてたからなぁ」


 何と、それは羨ましい!


「家の手伝いでキースのお屋敷に行くと、使用人の目を盗んで『行くぞ』って引っ張って行かれてね。街まで乗り合い馬車に乗って、散々連れ回されて帰ると僕が怒られるんだよ。本当に困ったお坊っちゃまだよ」


 フゥ、とウィリアムは大袈裟に息を吐いた。


「だから、お坊っちゃまって言うなよ」


 顔を真っ赤にさせて慌てるキースに、このやり取りは何度見ても微笑ましいと思う。

 皆と話していると、あっという間に町に到着した。

 ウィリアムがリンの手を取り、キースがカレンの手を取って、馬車から降りる。

 アルはリンに抱かれたままだ。

 ……今日のアルのオヤツはなしにしよう。


「どうかしたか?」


 キースが顔を覗いてくる。


「あ、いえ、アルがリンちゃんにずっと引っ付いているので……。アルは美人さんが好きなんです」


 咄嗟に上手い言い訳が出来ず本音が出てしまい、恥ずかしくて俯くカレンにキースはクツクツと笑いながら、優しく頭を撫でた。


「それでも一番はカレンなんだから、今だけ抱かせておいてやれ」

「……はい」


 初めての印象はヤンチャな男の子だったキースは、実は大人な部分もあって。

 一番の子どもは自分とか、恥ずかしくなってしばらくの間顔を上げることが出来ないカレンであった。


 ラルクと出掛けた街ほどの規模はないが、こちらも通りに沿ってテントがズラリと並んでいた。

 この町ではズラリと並んだテントの中間点の辺りに簡易テーブルと椅子が並べられており、自由に飲食が出来るようになっているようだ。

 お昼には少し早い時間だが、混んでしまう前に食べてしまおうということになり、目に付く色々な食べ物を買っていく。

 アルの大好きな魔獣焼きは勿論のこと、珍しい果物のジュースもお買い上げ。

 ウィリアムとキースの両手が塞がったところで、飲食スペースへ向かうことに。

 思った通りまだ座っている人はまばらで、席は選び放題。

 奥の端のテーブルを選び、購入した食べ物と飲み物をテーブル上に広げていく。

 アルにはテーブルの下に、串を抜いて葉の上に乗せた魔獣焼きの山を。

 尻尾を高速で振って、大喜びしている。

 そしてジュースを片手に。


「「「「乾杯」」」」


 今まで飲んだどんな高価な飲みものより、それはとても美味しく感じた。

 リンもカレンと同じでラップがお気に入りのようで、そんなこともまた嬉しくて楽しいのだ。

 ウィリアムは焼きそばのようなものやお好み焼きのようなものが好きらしく、キースはアルと同じで魔獣焼きが好きなんだそう。

 あんなに沢山あった魔獣焼きをあっという間に平らげてしまったアルは、キースの足をよじ登りテーブルの上の魔獣焼をじぃっと見ている。


「お前、散々食ったろうが。コレは俺のだからやらないぞ!」

『貴族がケチ臭いこと言わずに我によこすがいい』


 念話なアルの言葉はカレンにしか分からず、皆にはキャンキャン吠えているようにしか聞こえていないけれど、キースとアルが本気で魔獣焼きを奪い合っている姿に、リンやウィリアムとお腹を抱えて笑ったのでした。

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