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転生令嬢の異世界愛され生活〜ご褒美転生〜  作者: 翡翠
第二章 モフモフに出会いました 〜カレン11歳〜
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5

 カレンは今、ラルクとアルと一緒に街へお出掛け中である。

 あの後ソファに座り、マリアの淹れた紅茶を堪能しながら、ラルクの学園での話を色々聞かせてもらっていた。

 ラルクの話は学園生活をとても楽しんでいることが伺えた。

 それはもう、二年後の入学が楽しみになるほどに。

 そしてその中に、『街』『食べ歩き』というキーワードが出て来て、自身でも気が付かぬ内に前のめりになって聞いていたようで……。

 ラルクが笑いながら、これから街に出て食べ歩きしに行こうかと誘ってくれたのだ。

 それにアルが『我も行くのだ』と言い出し、三人(二人と一匹)で出掛けることに。

 前世では食べ歩きなどする時間もお金もなく。

 今世でも街に出るためにはマリアか誰かが必ずついて馬車での移動となってしまうので、遊びに行くために仕事中の皆にお願いするのはとても気が引けてしまって……。

 つまり何が言いたいかというと、食べ歩き、初体験なのだ。

 そう、今のカレンとアルはとっても『浮かれぽんち』な状態である。

 あっちをキョロキョロ、こっちをキョロキョロ。

 まるで不審者のように落ち着きがない。

 抱っこされているアルもあっちをキョロキョロ、こっちをキョロキョロで、尻尾は千切れんばかりに振られている。

 通りに沿ってテントがズラリと並び、その中では色々な食べ物や飲み物、日用品やアクセサリーなどの雑貨が売られていた。


「まずは定番の魔獣焼に行くか」


 ラルクがカレンの手を引き、良い匂いのするお店の方へと向かう。

 少し並び順番がくると、ラルクは魔獣焼きを三本注文した。

 お金を支払い渡されたのは、大きな葉の上に乗った何かのお肉が串に刺してあり、焼いてタレをからめてある『焼鳥』のようなものだった。

 店から少し離れ、邪魔にならないところまで来ると、


「はい、カレン」


 一串をカレンに、もう一串はラルクが持ち、最後の一串は串からお肉を外して葉の上に乗せ、アルに。

 先ずはアルが凄い勢いで食べ始める。


『カレン、唐揚げもいいが、この肉もとても美味なのだ』


 尻尾の振り方が凄まじく、残像が見えている。

 その姿に苦笑しながら、カレンも恐る恐る口にする。

 焼鳥というより少し硬めの豚の角煮を串に刺したもののようで、甘辛いタレがお肉とからみ、とても美味しい。

 あっという間に食べ終えてしまい、そんなカレンとアルの姿を見て、ラルクは満足そうに微笑んだ。


「気に入ってもらえたようで何よりだ。因みにこの魔獣焼はベヒーモスという魔獣の肉だよ」


 ベヒーモスは肉質が少し硬めなので一度茹でてから串に刺し、タレをからめながら焼くのだそう。

 次はクレープ生地のようなものに、お肉や千切りにした野菜とタレをかけたものを巻いたラップというものを購入した。

 これもピリッとしたタレが美味しく、カレンは先ほどの魔獣焼よりもこのラップの方が好みであったが、アルはあまり気に入らなかったようだ。

 それでもちゃんと残さず食べていて、エライ!

 他にもお好み焼きのようなものや、焼きそばのようなもの、りんご飴のようなものと、お腹が一杯になるまで食べまくった。

 アルは魔獣焼をラルクに強請(ねだ)り(ズボンの裾を咥え、お店の前まで連れて行った)、再度食べていたけれど。


『少しは見直してやらんこともない』


 だそうで、現金なアルであった。

 そして雑貨のお店も見てまわる。

 綺麗なもの可愛いもの、便利なものなど色々なお店があり、お店毎に個性が出ていて時間も忘れて見入ってしまう。

 ……楽しいが特に欲しいと思うものもないまま、一番端にあるお店に入る。

 そこはアクセサリーや、可愛らしいペット用品のお店のようだ。


「このお店好きかも……」


 夢中で端から端までじっくり見ていく。

 ふと一番奥の棚で目が止まった。

 そこにあったのは、アルの瞳と同じ琥珀のペット用のピアスだった。

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