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転生令嬢の異世界愛され生活〜ご褒美転生〜  作者: 翡翠
第十五章 守るということ
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8

「水汲みの途中で、襲撃を受けているグループを見掛けましたよ。拠点でのんびりしているところを奇襲されたようでしたね」

 ウィリアム様の言葉に慌てて魔力探索をしてみますと、確かに今反応しているのは五つの拠点のみです。

「ウィル達は見つからなかったの?」

「僕たちがそんなヘマをするとでも?」

「すいませんでしたぁ」

 リンちゃんがいきなり土下座されるほど、ウィリアム様の笑顔が怖かったのは、見なかったことに致しましょう。

 ……ええ、私は何も見ておりません。

「まあ、バトル形式ですから、血の気の多いグループは相手を探して歩き回っているのでしょう。疲れた頃に引導を渡して差し上げればよろしいのですよ」

 ……私は何も聞いてもおりませんっっ!

 思わずキース様のシャツの裾を掴んでしまい、次の瞬間。

 キース様の胡座の上に座らされておりました。

 背中にキース様の厚い胸板が……。

「ウィル、カレンが怖がるから。その胡散臭い笑顔やめろ」

「胡散臭いとは心外ですねえ。紳士的と言って頂きたいですね」

 ……紳士って、怖いものなのですね。気をつけなければ。

 その後も定期的に魔力探索を続けておりますと、一拠点が消え、半径二キロ以内にある拠点はあと四拠点となりました。

「夜の闇に紛れての襲撃といったパターンが考えられますので、早めに就寝しておきましょうか」

 ウィリアム様の言葉に、リンちゃんと二人で慌てて晩御飯の支度を始めます。

 予定より二時間ほど早い晩御飯です。

 エドワード様たちが戻られましたが、お二人の腕には新たな果物が抱えられております。

 マンゴーのようなその果物は魔法で出した氷の上に乗せて冷やしておきます。

 後でデザートとしていただきましょう。

 マリアが作るもの程ではありませんが、なかなか美味しい竜田揚げが出来ました。

 煮魚も味が染みて美味しく出来たのではないでしょうか。

 明日は猪豚のステーキと角煮とチャーシューがありますので、このサバイバル中も食事に困ることは無さそうです。

 食事を終え、ただいま食後のお茶をまったりといただいております。

「サバイバル中とは思えない程(くつろ)いでるよね」

「確かにな」

「サバイバル中って事忘れそうだよ」

 リンちゃんの言葉にエヴァンス様達が笑いながら答えます。

「カレンのお陰で見張りも要らないですしね」

 ウィリアム様が笑顔で撫で撫でされ、それを見たキース様がウィリアム様の手を(はた)き、「触るな」と威嚇されております。

 皆様が生暖かい目で「はいはい」と仰り、そろそろ就寝にしようということになりました。

 眠る前に皆様に浄化の魔法をかけます。

 サバイバル中はお風呂に入ることは出来ませんので、浄化の魔法を掛けるか濡らしたタオルで体を拭くかしか選択肢がありません。

 気分をスッキリさせ、就寝致します。

「「「「「「お休み(なさい)」」」」」」

 微かに聞こえる虫の鳴き声が、眠りへと(いざな)います。

 直ぐに彼方此方(あちらこちら)で寝息が聞こえ始めました。


◇◇◇


 ドーンという音に叩き起こされました。

「どうやら襲撃されているようですね」

 と、とても不機嫌なウィリアム様。

「せっかく金塊を探し当てた所だったのにっ!!」

 まだ夢と現実がごちゃ混ぜな状態のリンちゃん。

 どんな夢を見ていたんですか……。

 その間にもずっと色々な魔法が障壁に当たっては大きな音をたてて消えていきます。

「勝手にやらせておきましょうか。どうせ直ぐに魔力切れになるでしょうから、その時に引導を渡して差し上げればよろしいでしょう」

 そう言ってどこから出されたのか耳栓を全員に配り、さっさと装着して横になられるウィリアム様。

 そんなウィリアム様の首根っこを掴んで無理やり起こすキース様。

 あの、ウィリアム様の機嫌がこれ以上ない程悪くなられておりますが……。

「その怒りを外のあいつらにぶつければいいだろう?」

 キース様がニヤリと悪い笑顔でウィリアム様に囁いておられます。

「それもそうですね。……彼らには安眠妨害がどれ程大罪かということを、身を以て知って頂くことに致しましょう」

 言うが早いか、ウィリアム様の手には大鎌が握られており、あっという間に身体強化をされ、障壁の外に飛び出して行かれました。

 それからは……暗闇の中で悲鳴が上がり続け、思わず先程ウィリアム様から手渡された耳栓を装着してしまったのは、仕方のないことだと……。

 暫くして、スッキリされた様子のウィリアム様が戻って来られました。

「さあ、これでゆっくり眠れることでしょう」

 この場にいる者はキース様を除いて全員が、ウィリアム様の眠りは絶対に遮ってはならないと学んだのでした。

「……俺達も眠るか」

 エヴァンス様の言葉に無言で頷き、よろよろとブランケットの所まで戻り眠りにつくのでした。

 ……皆さんに気付かれないように、障壁に防音効果も付属しておきました。

 これでもう、ウィリアム様が途中で起こされることはありません。

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