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「ふっふっふ。我ながら自分の才能がおそろしい!」

マッドサイエンティストならぬ、マッドデンタリストの美代先生。

「どこから、その発想が湧いてくるんですか?」

「キュル?」

首を傾げる歯科助手とパンダ。

「私がいれば、名も無き中小企業が東証一部の大企業になるのも造作もないことだ! ワッハッハー!」

絶好調の歯科医師。

「なんの話で狂っているのか忘れましたね。」

「キュル。」

美代先生の頭がおかしいのは普段通り。

「みなみちゃん5だろうが!」

「あ、そうでした。」

「キュル。」

やっと本題を思い出した歯科助手とパンダ。

「もう10万字も超えて、出版業界の編集さんからも声がかからないのに、まだ続けるつもりなんですか?」

「コネが無いからって、負けてなるものか! 最後の最後まで、徹底抗戦だ!」

「いったい何と戦っているんですか?」

「キュル?」

首を傾げる歯科助手とパンダ。

「今までの最強の歯科助手みなみちゃんは、日常の現代ファンタジーということで、一般出版社なら陽が当たったかもしれないが、ネット小説投稿サイトはラノベなので、主流読者層が異世界ファンタジーしかいないというアウェー!」

「確かにそうですね。アクセス数も、みなみ1に対して、異世界ファンタジーは10ありますからね。」

「なぜ10倍も差があるのに、気づかなかったんだ!? ああ~私のバカバカ!」

マッドデンタリストぶりを発揮する歯科医師。

「痛い・・・。」

「知りません。」

「キュル。」

壁に頭を打ち付けた歯科医師を自業自得と冷たく突き放す歯科助手とパンダ。

「話を戻そう。」

ここで一度落ち着く。

「みなみちゃん5は・・・異世界ファンタジーだ!」

美代先生から、みなみちゃん5の概要が発表される。

「普通ですね。」

「キュル。」

異世界に転生して、好き勝手するのは、ラノベの定番。

「まさか!? 美代先生は、置きにきたのでは!?」

「そうだよ。」

なんと美代先生は、パクリと言われようが、書籍化するために、アニメ化されるために、現代のパクリばかりの書籍化・アニメ化路線に切り替えることにした。

「先生!? オリジナル性はどうするんですか!?」

「オリジナル? ああ、確かに今はオリジナルだね。逆にオリジナル過ぎて、作品化できない。」

「う!? それはそうですが・・・。」

オリジナル=グダグダした日常のスローライフモノという図星を突かれて、反論できない歯科助手。

「ということで、みなみちゃん5のあらすじが天から舞い降りた。普段通りパッとしないみなみちゃんは夢の中で異世界に転生し、異世界で歯医者さんを開業する。現実世界では歯科助手だが、異世界では国家資格などいらないのだ。」

「う!? 異世界ファンタジーというだけで面白そうな臭いがプンプンしてきましたね。」

「キュル。」

数多ある既存の書籍化作やアニメ化作と同じ路線で職業が違うだけなのだから、わざと外した今までの書き方でなく、作品化される主流に話を寄せるのだ。

「例えば、異世界の魔王の虫歯を治して、世界を救う。オリハルコンを発掘して、歯の詰め物を作る。スライムやゴブリンも戦って倒すというよりは、虫歯を治して倒す。または仲間にする。」

「そうですね。みなみは戦闘に参加しないで、他の人が戦ってもらい、虫歯を治療して仲間を増やしていく方が面白い展開になりそうですね。」

「キュル。」

なんだか経営戦略会議に、やっとなってきたみなみちゃん4。

「駄文を書き続けるということは大切だよ。どんな仕事でも無駄ってことはないんだ。宿直・夜勤で働いている人、寒い夜空を見ながら立っている人だって、税金泥棒の公務員や大企業の人と同じくらい、頑張って働いているんだよ。」

「美代先生のくせにカッコイイ。」

「キュル。」

たまに真面目なことをラノベなので言う歯科医師。

「すいません。歯が痛いので見てほしいんですが?」

そこに歯科モノらしく、虫歯患者がやって来た。

「今忙しいので、帰ってくれ! いや、みなみちゃん、後よろしく。」

思わず本音が出た歯科医師。

「美代先生、心の声が出てますよ。」

「キュル。」

呆れる歯科助手とパンダ。

「仕方がない。美代先生は、みなみ5の構想を練るので忙しいから、パンパン、私たちで虫歯治療をしましょう。」

「キュル。」

こうして普段通り、みなみちゃんのダイジェスト虫歯治療が始まる。

「みなみ、いきます!」

「なに!? この違和感は!? 虫歯が無い!?」

「暇つぶしに歯医者に来るな!」

「超強力! クリーニング波動砲!」

「はあ~、白い歯って、いいな。」

「キュル。」

こうして歯科助手とパンダは虫歯治療を終えた。

「2度と来るな!」

「キュル!」

お客様を見送って、塩を振る歯科助手とパンダ。

「先生、患者さんを片付けましたよ。」

「キュル。」

歯科助手とパンダが美代先生のいる休憩室にやって来た

「あ、そう。」

美代先生はカップラーメンを食べるのに必死だった。

「ああ!? 先生だけ食べてズルい!?」

「キュル!?」

抗議する歯科助手とパンダ。

「先生、みなみ5の構想はできたんですか!?」

その時、美代先生の橋が止まる。

「忘れてた。アッハッハッハ!」

笑って誤魔化す美代先生。

「殺す!」

「キュル!」

怒る歯科助手とパンダ。

「ギャアアア!? 助けて!?」

「許しません!」

「キュル!」

これでも純粋な子供たちの白い歯を守りたい歯科モノの物語である。


つづく。

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