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「困ったな。」

美代先生が困っている。

「どうしたんですか?」

「キュル?」

心配してみなみちゃんとパンパンが尋ねる。

「絶好調過ぎて、1話2000字の縛りが苦しい。」

今回は1話2000字で30話60000字がノルマであり、2000字オーバーでクローズしないといけないので、前回のお寿司屋さん編もダイジェスト虫歯治療同様、中途半端な終わり方になってしまった。

「先生、そんなに気にしなくていいんじゃないですか?」

「キュル。」

意外と平然としている歯科助手とパンダ。

「どうして?」

なぜか尋ねる歯科医師。

「だってラノベですから。」

「キュル。」

無邪気な笑顔を見せる歯科助手とパンダ。

「そっか! ラノベだ! ラノベだったんだ!」

「ラノベですよ!」

「キュル!」

「ハハハハハ!」

決してラノベは恥ずかしいモノではありません。

「違う! ちゃんと2000字で話がまとまるような編成で文章を書けと言ってるんだ!」

美代先生の本心である。

「まあまあ、ラノベですから。」

「キュル。」

「そうだね。ラノベだね。」

「ハハハハハ!」

「違う!!!」

この件は噛めば噛むほど味が出て抜け出せなくなるので、2回でやめておこう。

「ああ・・・こんなことをやってる間に1話の4分の1も使ってしまった。」

祝500字越え。

「前回の反省を起承転結の起でいいんじゃないですか? 話もつながりますしね。」

「キュル。」

さすが、みなみちゃん。いいこと言うね。

「ということは、起承転結の結は、歯科モノらしく、虫歯との戦いだ。」

美代先生もナイスアイデア。

「起承転結の承転はどうしましょう?」

「しょうてん?」

美代先生に笑いのネ申が降臨する。

「ちゃ、らん、美代です! 座布団くれ!」

「パンパン、美代先生の座布団を全部持っていって!」

「キュル!」

歯科医みなみちゃん、回答者は美代先生、座布団運びパンパンである。

「それは笑点です!?」

「キュル!?」

「失礼しやした。」

着物姿の美代先生は反省して去って行く。

「ほら! アホなことをやってるから、800字を超えましたよ! どうするんですか?」

「キュル!」

怒りに荒れ狂う歯科助手とパンダ。

「そんなに怒らないで、出前とってもいいから。」

美代先生は観念して、話題を変えようとする。

「やったー! 出前だ!」

「キュル! キュル!」

出前に喜ぶ歯科助手とパンダ。

「勝った。」

勝利のブイサインをする歯科医師。

「新規開拓したお寿司屋さんにしましょう!」

「キュル!」

全話で悪の歯科助手とパンダの魔の手に落ちたお寿司屋さんである。

「ええ!? ラーメンじゃないの!?」

歯科医師は無類のラーメン好きの信者である。

「美代先生は座布団を取られたペナルティーです。」

「キュル。」

「そんな・・・。」

やっぱり落胆する美代先生の負けであった。

「いいじゃないですか。どうせ税金からぼったくる不正請求なんですから。」

「そうだね。・・・ん!? 違う!? 医者なら、みんながやっていることじゃないか!? ・・・ん!? 違う!? 私は無実だ!? 不正請求はやってないぞ!?」

「はいはい。」

「キュルキュル。」

身の潔白を主張するが信じてもらえない歯科医師。

「もしもし、渋谷塚寿司ですか?」

「はい、渋谷塚寿司です。」

歯科助手は出前の電話をかけ始める。

「マグロ100貫お願いします。」

「はい? 当店は出前はしておりません。」

渋谷塚寿司は出前は行っていなかった。

「みなみです。」

「キュル。」

電話の受話器に鳴き声を聞かせるパンダ。

「ギャアアア!? 未成年とパンダ!? 殺される!?」

受話器の向こうから悲鳴が聞こえ、大人しくなった。どうやら電話に出たホール係の女性は気を失ったようだ。


そして5分後。

「渋谷塚寿司の特別出前サービスです。」

お寿司の職人さんがネタとシャリを持って美代歯科医院までやって来た。

「やったー! お寿司だ!」

「キュル!」

喜ぶ歯科助手とパンダ。

「これでいいのかな?」

こんな物語でいいのか、方向性に疑問を感じる歯科医師。

「なにを握りましょうか?」

「マグロ!」

「キュル!」

みなみちゃんは回転寿司やカウンター寿司を飛び超えて、自宅にデリバリー寿司を手に入れた。

「へい! マグロとキュルです!」

寿司職人さんが手際よくお寿司を握る。

「やったー! マグロだ!」

みなみちゃんにはマグロ。

「キュル!」

「パンダには、シャリの上にマグロの代わりに笹をのせて握りました!」

「キュル!」

笹握りに、パンパン大喜び。

「職人さん、やるね!」

「こっちも店を壊されないように必死ですから!」

「ハッハハハ!」

なぜか妙な連帯感のような緊張が一同である。

「みなみちゃん、お礼に寿司職人さんの歯を見てあげて。」

「ええ!? みなみはお寿司を食べたていたいです!」

「私、雇い主。みなみちゃんは雇われている人。」

「・・・はい。」

ここで字数が1900字、危険水域である。

「職人さん、治療室へ、どうぞ。」

「え!? 私は別に歯の治療なんていいですよ!?」

「それは、こっちが困るんです。寿司屋、壊すぞ?」

「ええ!? いやーちょうど歯が痛かったんですよね!? 歯を見て下さい!?」

「みなみちゃんよろしく。」

「はい。」

ここで2100字・・・ダイジェスト治療で、どうぞ。

「みなみ、いきます!」

「みなみに治せない虫歯は無い!」

「くらえ! クリーニング波動砲!」

「白い歯って、いいな。」

こうして歯科モノの作品を守っているのであった。

「パンパン、お寿司もおいしいな。」

「キュル。」

「まあ、ラーメンには負けるけどね。」

「キュル。」

みなみちゃんと歯が真っ白くなった寿司職人は放置で、お寿司を楽しむ歯科医師とパンダであった。


つづく。

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