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4-7

「歯科助手と歯科衛生士は違うのか!?」

美代先生は10話の続きを読んだ。2つの資格で1番違うのは、歯科助手は歯の治療行為はできない。歯科衛生士は歯の治療ができることだ。

「美代先生!? 歯科医師なのに、そんなことも知らなかったんですか!?」

「キュル!?」

どこにでも絡んでくる合いの手パンダ。

「いいよ。その件は。前にやったから。」

「そうですね。」

「キュル。」

ズボラな美代先生は面倒臭がりである。歯科医師が面倒臭がりであれば、その歯科助手とパンダも面倒臭がりになってしまうので、一同納得のスルーである。

「みなみちゃんのシークレットライセンスは、この辺で生まれたのか。」

「よく勝手に国家資格を作りましたね。」

「何でもありがラノベだもの。」

「そうですね。」

「キュル。」

「ハッハッハ!」

妙な連帯感で笑い合う歯科医師と歯科助手とパンダ。

「ここで初めて美代先生の昔の勤務先、渋谷大学病院の名前が出てきましたね。」

「懐かしいな。みんな元気にしてるかな? 今ではありそうな名前から無いだろう渋谷塚大学病院に名称が変わったはず。」

やっとオリジナルな名称にたどり着いた。

「ということは、渋井ハチ太郎も渋谷塚ハチ太郎になるんですか?」

「キュル?」

それは他作との関連で変更しない大人の事情である。

「はあ・・・綾ちゃんの友達の名前を忘れたから読み返しただけなのに、ハチ太郎を思い出してしまった・・・。不覚だ。」

ハチ太郎は渋谷塚大学病院の御曹司でお金持ち。なのにズボラな美代先生のストーカーで、みなみちゃんに熨しをつけて譲られた情けない男である。

「みなみは美代先生が大学病院で、奥様と呼ばれて、神のように崇められているのが不思議でなりませんでした。」

「キュル。」

思わずパンダも納得する。

「もう、その話はやめよう!? テンションが下がってくる・・・。」

「ダメですよ! 逃がしませんよ! これから美代先生の女子大学生時代の話を読むんですから。」

「キュル。」

「うわあ!? 触れられたくないし、思い出したくもない!?」

過去作を読みながら、新作を書くのは面倒臭がりのズボラな美代先生には耐えられない作業だった。お仕事って、そういうものなのよね。正社員、アルバイト、パンダを問わず、働いている人。お疲れ様。

「美代先生、婚姻届を書いていたんですね。」

「そうだよ。」

ハチ太郎の親の渋谷塚大学病院の医院長に、大学時代に保証書として書かされていたのだ。

「読み返すと深い内容ですね。」

「キュル。」

書いたら書きっぱなし、垂らしたら垂らしっ放し、仕事はしたらしっぱなしではいけないということが実感できる。何度も確認が必要である。その結果、使用できるキャラクターを思い出したり、細かい設定を思い出せる。

「みなみの絵文字が、初登場してますね。」

「今となっては、転載時にちゃんと絵文字が反映されてないので、使用禁止になりましたけどね。」

「絵文字小説は面白いのに、残念。」

「キュル。」

本当に残念。売れない固い小説のイメージを覆せる、絵文字が最終手段だと思ったのに残念だ。

「でも、これでやっと1万2700字の10話が終わりましたね。」

「疲れた・・・もう寝る。zzz。」

「あらま、先生、よっぽど疲れていたんだね。パンパン。」

「キュル。」

その場でグッタリ眠りにつく美代先生であった。もちろん、みなみちゃんはやさしいので、そっと布団を掛けたりはしない。


「三度、細菌娘軍団の襲来だ!?」

美代先生は11話を読んだ。細菌娘、大食い娘、透明娘、普通娘が再び現れた。

「このメンバー、異世界ファンタジー作品を書いた方がラノベ層にはウケそうですね。」

「キュル。」

歯科助手の意見に同意するパンダ。

「そして、そのまま魔物に殺されればいいんだ!」

「先生、綾ちゃんたちなら魔王すら撃破しそうですけどね。」

「キュル。」

いつでも歯科助手の意見に合いの手するパンダ。

「魔王を倒して、新たな細菌魔王娘になりそうだ。」

「それいいですね。いただき。」

「キュル。」

「・・・。」

少し疑いの目でパンダを見る歯科助手。

「パンパン。死んだふり。」

「キュル。」

しかし、パンパンは死んだふりはしなかった。

「パンパン。お座り。」

「キュル。」

しかし、パンパンはお座りしなかった。

「合いの手だけかよ!?」

「キュル。」

おもちゃ屋さんで売っているシンバルを叩くチンパンジーと一緒である。

「チチチッ。違うよ。みなみちゃん。パンパンの正しい操作方法は・・・。パンパン、笹団子をあげよう。」

「キュル!」

「ほれ、笹団子が欲しければ、三回転ジャンプでトリプルアクセルだ。」

「キュルキュル~キュル!」

着地まで完璧に決めるパンダ。

「見た。」

「みなみより、美代先生の方がパンパンの扱いに長けていたなんて!?」

「そっちか。」

飼い主失格の歯科助手であった。

「パンパン、ご褒美の笹団子だぞ。」

「キュル。」

好物の笹団子で飼い主を捨てるパンダであった。人間も同じで特に男はラーメンでもおごれば忠誠を誓ってくれるので、単純で扱いやすい。女性は泣かれたり、抱き着いてくるので扱いにくい。

「私はパンパンの飼い主失格だ!?」

これでも歯科医師と歯科助手とパンダの心温まるファミリー劇場である。


つづく。

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