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4-6

「思い出したぞ!」

美代先生は8話と9話を読んだ。やっと綾野綾ちゃんの友達が登場したので名前が分かった。

「細菌娘の友達の名前は、普通の友梨、大食い娘の麻美、透明娘のミクだ。いやー分かるとスッキリするな。ワッハッハー!」

お仕事として、お客様や取引先の社員の名前を忘れるのは致命的なミスで、かなり失礼なのだ。

「良かったですね。先生。」

「キュル。」

おべっかをする歯科助手とパンダ。

「ありがとう。みなみちゃん、パンパン。それでは早速、こいつらで最強の歯科助手のみなみちゃんの作風を描いてみるか。」

くれぐれもお客様を、こいつらと呼んではいけない。

「美代先生は、次話が自分の過去編だから、先延ばしをしているのよ。無駄な抵抗だわ。」

「キュル。」

美代先生のことなら何でもわかる歯科助手とパンダ。

「戦闘は患者ではなく、虫歯菌とみなみちゃんの戦闘シーンがメインだな。」

「やっぱり戦うのは私なんですね・・・。」

「キュル・・・。」

一気にテンションがダウンした、みなみちゃんとパンパン。

「当然だ。私は、後は、よろしく、で逃げるので、そこからがみなみちゃんの出番だ。ヒロインの座を譲ってあげると言っているんだ。感謝したまえ。ワッハッハー!」

「ヤブ医者。」

「キュル。」

歯科医師を軽蔑する歯科助手とパンダ。

「虫歯の無い友梨だと、健康な歯が出てきて、みなみちゃんの体力と気力が回復するでいいんじゃない。」

「なかなか、この物語に虫歯無しの患者はいないんですけど・・・。」

医療モノの作品には、絶対に重病患者が出てくるのである。不幸を呼ぶ医師モノである。

「麻美は大食い娘の虫歯菌が現れて、みなみちゃんと戦うんだ。」

「麻美ちゃんの虫歯はMSB48と書いて、虫歯48ですからね。みなみ、こんな変な虫歯とばかり戦うんですよ~。嫌だな~。プンプン。」

出た。初期設定ではあったブリっ子のプンプンみなみちゃん。

「麻美は、ただの爆食娘だから、歯にアイドルや遊園地にしなくてもいいな。今度から大きな細菌と戦うことにしよう。例えば、キャベツ100個食べたから、歯にキャベツのカスが溜まり、それが巨大な虫歯菌になり、みなみちゃんと戦うのだ。」

「まあ、ライトな戦いですね。みなみの前に敵はいませんけど。」

「キュル。」

これまでの虫歯治療経験から、みなみちゃんは自身に満ち溢れていた。なぜかパンダまで自身に溢れていた。

「これで終わりだな。」

「まだですよ。ミクちゃんを忘れてますよ。またプロレス技をかけられますよ。」

「おお!? 透明娘は存在感が無いから忘れていた!?」

ここでミク本人がいるとプロレス技をくらう所である。

「と、透明な虫歯か・・・どうやって戦うんだ? みなみちゃん。」

「フフフ。みなみは、もう対策を考えついてますよ。」

「おお! さすがみなみちゃん。」

強敵が現れると、新しいアイデアが生まれるものである。

「デンタル・プラーク・ステーニングです!」

分かりやすくいうと、歯垢染色である。歯の歯垢が赤くなる薬である。

「おお! 歯垢が赤くなれば、姿が見えて戦えるじゃないか!」

「みなみは、最強の歯科助手です。」

「キュル。」

さすがにシリーズ4にもなれば、物語の土台もしっかりしているし、アイデアもスムーズである。たまの見直し、読み直し、過去からの失敗の検証と反省は、未来を笑うためにある。

「これで美代歯科医院は安泰だ! ワッハッハー!」

高笑いする美代先生。

「ギャア!? く、苦しい!?」

次の瞬間、美代先生の首が絞められた。

「これはスリーパーホールド!?」

プロレス技である。

「ミクちゃん!? いたのね!?」

透明なのでミクちゃんの姿は誰にも見えない。

「助けて・・・みなみちゃん。」

「自業自得です。」

「キュル。」

この世は因果応報で、相手を悪く言うと、それは自分に帰ってくるのだ。


「長い!? 10000字越え!?」

美代先生は10話を少し読んだ。これは作者が自分本位に作家ごっこしてしまった証拠である。今回のスマートニュースのコンテストでも通勤通学の合間に読むことを推奨して、1話2000字で良い。他のコンテストでも1話目が8000字で、2話からも4000字である。

「読むのが大変だ!?」

美代先生は苦しんでいる。ネット小説は紙の書籍と違い、短い字数の方がライトで良いのかもしれない。これも書くことばかりに執着してきた性で、相手の気持ち、読み手の気持ちを考えていないことの表れであろう。

「1000字でだって、いいじゃないか!?」

実際に異世界ファンタジー作品は、リアル多忙のため1話1000字でなんとか更新しているが、順調である。1話1000字といえば、小説を書き始めた本当に素人の頃の字数だ。今では経験と準備と要領で、1話10000字でも書けるようになってしまった。いいような、悪いような。

「美代先生、ちゃんと10000字越えの話でも最後まで読んでくださいよ!」

「キュル!」

逃亡しそうな歯科医師を強く監視する歯科助手とパンダ。

「嫌だ! 面倒臭い!」

絶叫する美代先生であった。長い文章は面倒臭い。1話1000字でも内容が面白ければ、それで良いと実感する。人生に答えは無い。世界は広いと気づいた瞬間である。何も変わらない町並みでも、特別に見えるのである。


つづく。

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