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「美代ですが、なにか?」
1話と2話を終えて、キャラ文芸作品的な内容しか描けていない。
「面倒臭いから、過去作を読んでよ。」
美代先生は筋金入りの面倒臭がり。ちなみに最強の歯科助手のみなみちゃん3まで絶賛公開中。
「私の経営学が知りたい? 物好きもいたものだ。」
特に書かなければいけない内容も無いので、美代先生の美代歯科医院の運営方法を覗いて見ることにした。
「ラーメンを愛し! ラーメンに愛された女! 美代先生とは私のことだ! ラーメンー!!!」
美代先生のラーメンに対する愛情が暴走している。
「美代先生、大人しく食べないとラーメンのスープがこぼれますよ。」
「キュル。」
「それは困る!?」
大人しく席に着き、ラーメンのスープをレンゲが無いので、口からズブズブ吸う美代先生。
「よく美代先生なんかで、歯科医院が潰れませんね?」
「キュル。」
みなみちゃんはいい所に気がついた。
「それは私が優秀だからだろう。カッカッカ!」
それでは得意げに笑っている美代先生の運営を見てみよう。
まず、コスト管理。
「誰も来ない!?」
美代先生が独立開業して、美代歯科医院を立ち上げた。しかし求人広告を出しても、無名で新しい歯科医院は歯科衛生士や歯科助手から見ても、給料の支払いなど危険なので、誰も求人に応募してくれませんでした。もちろんお客様も独立開業したての歯科医院は歯科医師の技術が分からないので、固定客を確保できるかも不安なのです。
「やはり、歯科で独立するのは危険なのか!?」
焦る美代先生。それもそのはず。飽和状態といわれるコンビニで5万店舗なのに、歯科医院は7万件あり、倒産するために開業すると言われている。一部の赤字でも続けられるお金持ちの親の援助が受けられる子供の歯科医師ぐらいしか残らないのが現実だ。
「歯科医師としての腕はいいはずなのに!?」
普通です。美代先生の歯科治療の技術は普通である。ただ歯科大を卒業しても、歯科大学病院に残れるのはコネ持ちのお坊ちゃまお嬢様がメインで、多くの新人歯科医師は実務経験が無いのに、親の金で独立開業し、何も知らないお客様の歯で実務経験を積んでいるというのが事実だろう。
「ああ!? 大学病院を辞めなければよかった!?」
後悔する美代先生。実は美代先生もコネ持ちで渋谷塚歯科大学病院で働いていた。ちなみに渋谷塚という地名は実際には無い。
「あの・・・雇ってください。」
その時、救世主が舞い降りた。美代歯科医院の誰も開けなかった扉を開けて、一人の女の子がフラフラと現れた。
「おお! 採用します! 採用させてください!」
美代先生の鼻息は荒かった。
「や、やった・・・。」
採用の言葉を聞いて力尽きたのか、女の子は微笑を浮かべながら地面に倒れ、意識を失った。
「おい!? 大丈夫か!?」
美代先生は倒れた女の子を心配する。
3分後。
「美味しいです。」
女の子は意識を取り戻し、美代先生のおごりのカップラーメンを食べている。
「まさか豊かな文明を誇る現代で、腹ペコで倒れる人間がいるとは・・・。」
「あはは。」
「・・・。」
美代先生は不安を覚えた。こんな子を雇っても大丈夫なのだろうかと。しかし、他に求人に応募者がいない限り、この腹ペコ少女を雇わなければいけない。
「はあ・・・。」
美代先生はため息を吐きながら決断した。
「あなた、お名前は?」
「はい。南野みなみです。」
「歯科衛生士?」
「いいえ。歯科助手です。」
歯科衛生士と歯科助手の違いは、歯科衛生士は歯の治療行為ができる。歯科助手は歯の治療行為はできないのである。
「歯科助手は月16万だけど、いいよね?」
「はい! それだけあれば、おにぎりが食べれます! 家賃も払えます! ありがとうございます! みなみは先生にどこまでもついて行きます!」
身を乗り出して美代先生に忠誠を誓うみなみちゃん。
「私は、美代。みなみちゃん、よろしくね。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
こうして歯科助手のみなみちゃんは誕生したのであった。
「みなみちゃん、正社員雇用だからがんばってね。」
「正社員!? これでみなみの生活も安泰です!」
みなみちゃんの頭にお花畑が咲く。
「長い回想だ。」
現実の美代先生はラーメンを食べ終わり、横になりながらテレビを見ていた。
「お尻をかいている暇があったら片付けを手伝ってくださいよ。」
「キュル。」
ラーメンの片付けをしているみなみちゃんとパンパン。
「やだ。私、雇い主。みなみちゃん、雇われ者。パンパン、雇われパンダ。」
ズボラな美代先生は雇い主なので強い立場である。
「美代先生! パワハラですよ!」
「キュル!」
「労働基準監督署に訴えてやる!」
「キュル!」
こういった悪徳な雇い主、上司がいる場合は、遠慮せずに労働基準監督署か弁護士に相談しよう。
「みなみちゃん。この不景気に、次の就職先があるかな?」
「ギク!?」
「パンパン。笹を食べ続けることができるかな?」
「キュル!?」
「ヒッヒヒヒヒ。」
不気味に笑う美代先生。美代先生はみなみちゃんが苦労して就職できたことを知っている。みなみちゃんも就職先をみつけるのが大変だと知っている。
「みなみ! カップラーメンの容器を洗わしてもらいます!」
「キュル!」
「よろしく。」
美代先生のブラック企業、蟹工船的な完璧なコスト管理であった。
つづく。