4-1
「どうもです。」
これが歯科医師、美代先生の口癖。
「みなみ! 4度返り咲き!」
これが主人公、歯科助手のみなみちゃんである。作者、利用者に良いもの、使い勝手の良いものはロングセラー、ベストセラー、定番になる可能性があるということである。
「キュル!」
合いの手パンダのパンパン。
「よろしくお願いします。」
一同は一礼して挨拶をする。この3人・・・2人と1匹がメインキャラクターでお送りします。
ここは日本の渋谷。世界でも有名な他人とぶつからないスクランブル交差点と、ハリウッド映画にもなったハチ公が有名な渋谷。そこに一つの歯医者さんがあった。名前は美代歯科医院。経営者はニックネームで、美代先生と呼ばれている。そして、美代歯科医院では、一人の特別な・・・特殊な歯科助手を雇用していた。彼女の名前は、南野みなみちゃん。独特な日常を送り、ペットにパンダを飼っている、どこにでもいる普通の女の子である。
「ああ!?」
美代歯科医院の休憩室から美代先生の悲鳴が聞こえる。
「大丈夫ですか!?」
「キュル!?」
悲鳴を聞き、みなみちゃんとパンパンが慌てて駆けつける。
「馬券外した!?」
美代先生の悲鳴は競馬の馬券が外れたものだった。渋谷にJR〇があるので馬券ぐらい買う大人の人物像でも問題ないだろう。
「ズコー!?」
「キュルー!?」
悲鳴の理由を知り、ズッコケるみなみちゃんとパンパン。
「もう! 美代先生! なんで本命のキタサンブラッ〇を買っとかないんですか?」
「キュルキュル。」
歯科医師に抗議する歯科助手。立場の弱い者が、立場の強い者に歯向かう。これを下剋上という。または、逆パワハラ。
「だって、他の馬の方が勝つと思ったんだもん。ほれ。」
美代先生は競馬新聞をみなみちゃんに渡す。
「どれどれ。」
「キュルキュル。」
新聞を覗き込む歯科助手とパンダ。
「ゲッ!? ミナミホワイトニング!?」
「キュル!?」
美代先生が馬券を買った馬の名前がミナミホワイトニングという馬だった。
「・・・。」
馬の名前を知って、自分のことのような気がして、なんとも言えなくなってしまった、みなみちゃん。これをぐうの音も出ないという。
「でも、変な名前ですね。」
「キュル。」
「ふっふっふ。」
美代先生が不敵に笑いだす。
「それはね。私が馬主だからだ!!!」
「えー!?」
「キュルー!?」
なんと美代先生は馬を購入していたのだった。
「すごい!」
「どうだ、すごいだろう!」
みなみちゃんは大金がいる馬を美代先生が持っていると聞いて喜ぶ。
「馬を買うお金があるんだから、みなみの給料を上げて下さい!」
「馬に持ち金全てつぎ込んだので、賃上げは見送り。」
「ええー!?」
推定、みなみちゃんの月給は16万円。保健に年金を自動的に引き落としされると、11万前後しか手元には残らない。働いても生活保護以下の貧乏生活を送らざるえなかった。美代歯科医院は蟹工船であり、ブラック歯科医院であった。日本政府が物価上昇率の目標を2%と掲げているが、大手企業や公務員は給料がアップしても、中小企業と個人事業主は従業員の給料を上げることは不可能であった。
「キュルキュル!?」
「もちろん、パンパンの笹団子もお預け。」
「キュルー!?」
パンパンの生活は、飼い主のみなみちゃんの生活が良くならなければ改善されないのだ。これを動物虐待という。
「それにしても、今回のみなみちゃんはテンポが悪いね。」
「お仕事コンテスト用に少し、固い内容が盛り込まれています。」
「みなみちゃんの良さが死んじゃわないか心配だ。」
美代先生はコンテストの概要を確認する。
「合間読みはOK。生活に役立つ知識? 情報? これは無理。癒しとワクワクと明日への活力はOK。ただ求めるモノが対比しているので矛盾してるな。」
美代先生は歯科医師になるぐらいなので、本物のバカではない。能ある鷹は爪を隠している・・・はず。
「職業小説は歯科モノでOK。政治? 経済? これも無理。ものづくり? みなみちゃん患者さんの歯型を取るからOKだよね。」
「それでいいんですか!?」
「いんじゃない。」
深く考えて動けなくなるなら、一歩でも前に進む性格の美代先生。
「次は経営、私、歯科医院を経営してるからOK。グルメ? お酒? ああ、これで私は馬券キャラだけでなく、酒飲みキャラも追加だよ。みなみちゃんも試食女をがんばってよ。」
「みなみはいいですよ。デパ地下大好きですから。」
元々、美代先生はラーメン大好きキャラで売ってきた。みなみちゃんはデパ地下の試食と臭い嗅ぎで生計を立てている、百貨店の常連さんである。
「自由研究なら、パンパンの笹でも調べますか?」
「キュル!」
喜ぶパンダ。
「みなみちゃん、笹に大人は関心を持たないだろう。」
「そうですね。ごめんね。パンパン。」
「キュル・・・。」
うなだれるパンダ。
「やっぱり大人はギャンブルとお酒だよ!」
「どうして既存のみなみで書くことになったんだろう?」
「キュル?」
それは忙し過ぎて一から設定を考える時間がないからである。何もしなければ何も生まれないが、こんなんでも書いていれば経験を積めるのである。こうして、あと29話を完遂するために頑張るのだ。ネバーギブアップ。ドントルックバック。
つづく。