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美形その2…その2?


私が深呼吸をして落ち着きを取り戻していると カランコロン という音が響いた。


そして登場したのだ。



「薫ー、寝坊したぁー。ごめーん」



薫さんそっくりの男の人が。いや、薫さんを少しだらーんとさせた、同じような服を着た人が。




「…薫さんが、2人…??」



幻覚?…夢?白昼夢?



「ふふ。違う違う、双子の弟だからこいつ」


「あれ?新入り?」


「そう。昨日採用した」


「…ふぅん」


ふ、双子か…。だ、だよね!…そっくりだな。会話をしている2人を黙って見つめる。いや、むしろ、ジロジロと見られてます、私が…。何故。



「可愛いだろ」


「っ!薫さんっ」


薫さんの急にくる褒め言葉は本当に心臓に悪い。というか、可愛いとか!慣れないっ!可愛いより、格好良いのほうがしっくりくる!……って女としてどぉなの…。これも女子高で築かれた精神よ。はは。なんせ王子様の称号をいただきましたからね。生徒会から。



「……俺は満-ミチル-。よろしくぅー…聞いてる?」


「…海の思考がどっかに飛んでるね、こりゃー」


「ははっ、海っていうんだ」


満はまたジロジロと海を見る。


「あのさ薫、」


「ん?」


「ホントにこの子…男の子なの?」


「…さっすが満」


2人は目を合わせる。その場には沈黙がおりた。


「…」


「まぁ、良いかなって思ってさ」


薫は海を見つめて言った。微笑みを浮かべる薫の横顔を満が見つめ、海に視線をむける。


「ふぅーーん」


満にも微笑みが生まれる。


「それに、「楽しければ良い、でしょ?」」


「そう、ふふ。さすが満」


「ははっ、薫もだし」


基本にある、楽しければ良い精神は双子の良いところでもあり、悪いところでもある。自覚あり。


この会話は海の耳には入っていない。なぜなら、女としてどうなのかという事を一生懸命考えていたからである。


薫は海の近くにより、弱点だと推測する耳元に話しかける。


「おーい海ぃ?」


「っ!耳元で話さないで下さい!」


「ふふ」


思った通りの反応があり、思わず笑いがこぼれた。


「クス」


それを見た満にも笑みがあり、海は、この双子見た目そっくり。髪型くらい違うのにすればいいのに、と感じた。だって、全部一緒、見た目は。わざと似せにいっているんじゃないかって思うくらいに。



「…えぇと、」


右側に立っていてシュンとしてるのが薫さんだから、



「満さん。海です、よろしくお願いします」



左側にいてダラーってしてるのが満さんだな。


「…」


満さんだと思うほうにあいさつしたけど、反応がありません。え、違った?間違えちゃったのかな。同じ顔に髪型に服装。ただ少し感じだらーんとした雰囲気をもとに判断したのがいけなかったのか、間違えるなんて。失礼なことをしてしまった。


「…間違えましたか?」


「いや…合っててビックリしてるの」


「そ、そうなんですか」


思ってもなかった返答に少し困った。合っててびっくりとか、どれだけ間違えられてるの。…いやそんなにそっくりなのが原因だと思うんだけど…。


「なんで分かったの?俺が満って」


え。そんなの


「満さんの方がダルダルしてるので、あと雰囲気ですかね」


思っている事がくちにでやすいのが私です。正直に答えました。


「ふふっ」


「ダ、ダルダル」


「はい。薫さんの方がシュンっとしてます」


「…」


「クスッ。ありがとう」


「?あ、いいえ」


薫さん満さんに感じた印象や雰囲気を伝えると、薫さんは口に手を当てて笑い、満さんは目を見開きました。そして、満さんがなにやら落ち込んでる。


「ほら、満。元気だして」


満さんの背中に手をおき励ましてるような薫さん。


「わ、私のせいですか!?」


「本当のことだから、気にしないで海」


「でも満さんが」


気にしないでと言ってくれた薫さんの横で満さんはうずくまっている。


そう。


「完全に拗ねてます!」


ぶーって顔になってますけど!私、失礼なこと言ったよね!?絶対!自覚ないんだけど言ったよねコレ!



「べっつにぃ~」


あたふたしていると床にのの字を書いていた満さんが立ってこちらに近づいてきた。


「拗ねてませぇ~ん」


「…」


絶対拗ねてるじゃないか…。


「俺、ダルダルだしぃ~」


「っ!そのことか!」


「薫のほうがしっかり者だしぃ~」


「ごめんなさいっ!謝りますっ!」


満さん…根に持つタイプだっ!ダルダルって言ったのがいけなかったんだ!


「基本、やる気ださないしぃ~」


「もうホントに、気に障ったんですね!?ごめんなさいぃーーっ」



顔の前で手を合わせ、精一杯謝る。でも、コレ、いつまで謝ったらいいのぉ!?






「満」


ぺこぺこと繰り返していると薫さんから声がかかる。


「…何さぁ薫」


「海が可愛いからってイジメないの」


「へ?」


可愛い?…あたしが?だから…やめてぇ!慣れてないんだからぁ!それなら格好良いのほうが嬉しいぃぃぃ!ってまた、女の子としてどうなのぉ。あぁぁぁぁ…。



「ありゃ、バレてた?」


「バレバレ」


「だってねぇ…」


恥ずかしさに悶えている私を見る双子たち。また2人して見つめてくる。なによ、なんなのよ!



「な、なんですか」


「「しかたないよな」ぁ」


「え?」


「「反応が可愛いだもんな」ぁ」


「は?」


は、反応が可愛い!?何が?反応が?え、なに?美形双子怖い、やだ、何言っているかわからない、テンパってて自分が何言ってるかもわからない!


「しょ、しょうがないじゃんっ!男の人と話す事少ないんだからっ!っ!」



可愛い可愛いと言われすぎてじんましん出そう。かゆいかゆい。心臓がかゆいかゆい。



「「…」」


「…」



そして沈黙。何この沈黙。え、気まずい。え、なに…。



「「はぁーーっ」」


数秒の沈黙の後に出た双子のため息にビクりとした。



「な、なんですかっ」


「ダメだこりゃ。な、薫」


「だな、満」


「俺、店の準備いってくるわ」


「そーして」



……なんかムカつくんですけど。この感情が生まれるのは当たり前だよな?だってあの双子、顔見てよ。すっごいムカつくから!“はぁーこいつダメだわ”って顔してるんだよ?しかも同じ顔が。ムカつき2倍ですよね~。





そして双子は小さくこぼす。無自覚って怖いな、と。

















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