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迷い込んだ先は…


「ま、迷ったぁ…」


かれこれ、30分くらい歩いている気がする。時計をしていないから分からないけど。足の疲労感が伝えてきている。


「はぁーー、なんでこんなことに……」



深いため息をついてから、この現状となった原因を思い返す。




私、東條 海-トウジョウ ウミ-は、半年ほど前この町に引っ越して来た。親の都合ってのと、私の高校受験が関係しての事である。中学校からのエスカレーター式でそのまま高等学部に入学できる学校だったけれど……女子しかいない。そう、女子しかいない女子校だった!中学は、まぁ良いとしよう。しかし!高校は違う。漫画好きの私にとって共学ではない高校なんて…。青春が…そう、恋という名の青春がない!!

私は青春を味わいたくて、2つ隣の町にある共学高校に入学したいと両親に相談した。お母さんは私の良き理解者となった。だが、お父さんが、うん、なぜか今までの数万倍もの親ばかを発揮した。「こんなに可愛い子が共学に行ったら!っっ危ない!男は狼なんだぞ!」とかなんとか言っていた。ふむ、お父さんは狼らしい。今はそれは置いとくが。2つ隣の町なら会社により近くなる、引っ越すぞ。と言い出した父。私的には通学時間減ったしラッキー、である。


そんな父は入学式で泣いていた。そうですね。本音を言いましょう。引きました。「制服似合う!似合ってる!うちの娘かわいい!」やめてほしい。切実である。親ってすごいな。と、遠い目をしてしまったのは許してほしい。168㎝と女の子にしては高い身長、中学校ではバレーボール部に所属していたため首にも届かない短い髪の毛(伸びがおそい)。どの辺が可愛く見えているのか、お父さんに聞きたくなったが、聞かなかった。どうせ羞恥プレイだろうからね。ふっ、悟った。


入学して最初の頃は共学という環境にとても緊張した。初めて1年S組(私のクラス)の教室に入る前、深呼吸を3回したほどに。その場面を見られ、そのことについて話しかけてきてくれた、身長の小さい守ってあげたくなるような女の子、南原 優-ナンバラ ユウ-とは、友達になることができた。今ではよく遊んでいる親友といえる。


学校生活…いや、青春の時間経過は早く、あっという間に初めての夏休みを迎えた。優と遊ぶ約束をしていて、今から楽しみなことが山ほどある。



そんな青春の夏休みをクーラーの効いた部屋で満喫していた、ある猛暑日。お母さんに買い物を頼まれてスーパーに行くことになった。暑くていやだ、行きたくないと渋れば、お小遣い減らすわよ♡という、バイトをしていない高校生が聞きたくない言葉ランキングがあれば上位に入るであろう言葉を言い放ったのだ。行きます、行かせてください。と真顔でお母さんに言い、ハーフパンツにシャツという女子高生にはあるまじき恰好で出かけたのだ。


引っ越してきて半年ほどたっていたのでスーパーまでは迷わず行けていた。行けていたんだよ。だが、そう。問題なのは、その帰り。「すこし探検しよっかなぁ」なんて思ったのだ、唐突に。好きなお菓子を買えてテンションが少し高かったのが悪い。自分の好奇心旺盛な性格が悪い!あんなことを思った自分が悪い!


えぇ、そうです。案の定迷いました。

猛暑日のなか、リュックに筋トレになるほどの重さを背負い、てくてく歩く。


…ここどこっ!どこなの!?

リュックの肩ひもを握りしめ、周りをきょろきょろする私は、周りからみたらどんな風にうつっているのか気になりもしたが、今は家までのゴールデンロードを見つけなければいけない。


……あぁ。…迷った時に必要となる頼りの綱の携帯は家に忘れました。充電中なはずです。携帯の意味がありませんね。




とりあえず前に進もう。そう、謎にポジティブ!自分の良いところでもあり、悪いところでもあると思っている。だがそれほど気にしない、ポジティブだから、悪いと思うことはあっても気にしない。うん。


いやー、しかし、周りを見ても見覚えのないものばかりだから、そろそろ泣きたくなってきた…。うぅ。相も変らずきょろきょろとしていると、私の目にふと入ってきた、それ。



急に目の前が明るくなり、思わず息をのんだ。見えるのは、レンガ作りの可愛い家。その周りには木が生えていて、なんだか森の中にある家に見えた。




「…小人がいそう」



まさにそう。小人が7人出て来そうな雰囲気がある。 私はそれに引き寄せられるように、足を進めた。








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