0+100=100 始まりの日について
皆様、はじめまして。
わたくしはミリーですわ。
わたくしは侯爵家の3子に生まれまして、将来は王城に勤めるか、有力な貴族のもとに嫁ぐか、という二択かしらと思っておりましたの。
ですが、理解してしまった・・・わかってしまったのです。
この世界は、いわゆる[ヒロイン]を主人公にした物語の世界であること。
そして、わたくしは主人公の友人からライバルになり、最終的に敵役となってしまうこと。
一族郎党皆殺しの上、国外追放の刑に処せられるのだということ。
なんと恐ろしいことなのでしょうか。
この作品のうたい文句は今世紀最高のロマンス・?・・シンデレラストーリー?、だったかしら。
とっても素敵な物語で、読書用・保管用・配布用と1人で3冊は購入するほどのすばらしいお話。だったと言われていたような。
冷静に記憶をたどってみると、わたくしも読んだ気がします。
確か、友人? 知人? に押し付けられたのだったかしら。
透明の、かわいくラッピングされたモノを押し付けられて、年頃の女性はみんな読んでいるのだと。読んでいないなんて恥ずかしいんだ、と言われたのでした。
ですが、残念ながらわたくしには合わなかったのです。
時代考証が甘く、世界観が薄っぺらく、登場人物に魅力がない。というのがわたくしの感想だったのですから。
ああ、わたくしは何が嬉しくて、そんな世界に生きているのでしょうか。
なんだか落ち込んできました。
わたくしはこの先、どうなってしまうのでしょうか。
記憶にあるとおり、国外追放になってしまうのでしょうか。
ああ、不安ですわ。
・・・不安に胸をドキドキさせていたら、つい粗相をしてしまいました。
レディなのに恥ずかしいです。
誰かが気がつく前に着替えてしまおうとしたのですが、しっかり体を固定する服を着ているため、自分では身動きもできませんでした。
下半身が不愉快です。
・・・背に腹はかえられません。
近くにいてくれるフィーにお手伝いをお願いしましょう。
わたくしは羞恥がたっぷり含まれた声でフィーを呼びました。
「おんぎゃゃゃああぁぁぁ」
「はぁ~い、ミリ~様ぁ。ミルクでちゅか~? おしめでちゅか~?」
ああ、フィー。
恥ずかしいから大声を出さないでちょうだい。
こういうのを羞恥プレイっていうのでしょう。
わたくし、知っているのですからね。
「いっぱいでましたね~。さぁキレイキレイしましょうね~」
やめて、やめてちょうだい。
もっと丁寧に、優しくして・・・あ、だめ・・・zzz