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骨董屋。弐

皆さん、御機嫌よう。木村大治です。自分は自室のベッドにて絶賛金縛り中である。手に違和感を感じる。

指がない。

でも動くことができないため確認ができない。でも、確かに感じるのだ。指がない。嫌気に空気が生ぬるい。すると、腹の上から顔の方に向かって何かが移動してくる。それは首の方まできた。すると金縛りが解ける。

目をあけ蠢く「それ」を確認する。それはただの真っ黒い塊。影のようである。形がはっきりしない。

でも、1つ言えることは口がついている。なにか喋っている。聞こえない。気持ちも悪いし気味も悪いし気分は最悪だ。これを3Kというのか。いや、違ったか?。それどころではない。「それ」を振り払おうと右手を出そうとする。そこで気づいた。人差し指から小指までの四本がないのだ。自分は驚き、右手を庇おうと左手も出す。しかし、左手の四本もない。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ」

絶叫しベッドから転がり落ちる。とそこで目が覚める。夢だった。

カーテンからは朝日が覗いている。徐ろに両手を確認する。

「付いてんじゃねーか、あほか」

自分を朝から戒める。ちょうど目覚ましのなる頃合である。鞄に教科書などをつめ、学校へ行く準備だ。全く、神は死んだとはよくいったものである。

教室に入ると元気良く天使がお出迎えしてくれた。越後坂理子さんである。

「おはよ!行った?骨董屋!どうだった!?でた?いた!?幽霊見た!?」

顔が近い。かわいい。おっと取り乱してしまった。

「行かなかったよ。」

と返す。なんだつまんないと踵を返し自分の席に戻ろうとした。

「あ、でも、あそこに行ったあと変な夢みた!」

天使との会話をそう簡単に終わらせてたまるか。理子さんはすっと振り返り

「なに!?何見たの!?」

と食いついてきた。話し出そうとした瞬間に担任のお出ましである。理子さんは

「放課後に話してね!じゃ!」

と席に戻っていった。

授業中、とても暇な時間でもあり楽しみの時間でもある。小説が読み放題だ。一番後ろの窓側。こんな快適な場所はない。しかし、春の日差しのせいで眠たくなる。小説を読んでるし余計か。などと考えていた。

すると、また金縛り。音も全く聞こえない。先生の声も。風の音も。ふと気づくと左肩にあの黒いやつが付いてる。なんとなくだがわかる。何か耳打ちをしている、生ぬるい息が耳に当たっているせいで良く分かる。そいつは自分の右手の方にゆっくりと移動している。

とても気持ち悪い感触だ。そいつは右手の平にのり突然人差し指を噛んだ。ものすごい激痛だ。頭の先からつま先まで、電気が通るような感覚。冷や汗が出る。止まらない。金縛りのせいです助けも求められない。

あまりの激痛に気を失いそうだ。うっすらとした景色の中、誰かが自分を読んでいる。

あゝ…………だめだ。頭が重たい。

目が覚めると保健室だった。グランドの方から部活動の活気あふれる声が聞こえる。寝ていた?いや、気絶した。全く、明日からどんな顔して教室に入りゃいいんだよ。などと薄ら目をあけて考えていた。すると

「あ!!大丈夫?」と天使の声。

あゝ俺は死んだのか。

「大治くん!大治くん!!よかったー」

目をしっかり開け、天使を確認した。

「理子さん?」

理子さんはとても心配してくれたようだ。

「急に倒れたからびっくりしたよー。白目まで向いてたし……死んじゃったかと思ったよ」

と冗談混じりに話す。

「ははは、そう簡単に死にませんよー。」

しかし、思い出した。気絶する前に起こったこと。布団のかぶっている右手を確認した。

「ぅっ……………………」

思わず声をあげてしまった。人差し指の付け根にしっかりと歯型が付いてる。

「まじかよ……なんだよ。これ。」

理子さんも驚いている。

「なにそれ?切り傷じゃないよね?」

「歯型ですよ」

と即答する。

「え?歯型?なんで?そんなところに?しかも人間の?」わからないと答える。そして、夢のこと、教室で起きたこと全てを説明した。

「それってやっぱり骨董屋に行ってからだよね?」

理子さんが図星をつく。しかし、そんなことがあるか?ありえない。夢が現実に影響するなんて。もしかして夢じゃないのか?全部現実?。頭の中で全てがパニックである。「骨董屋でなにかあったんじゃない?思いたる事無いの?」

と心配そうな顔して聞いてくる。

「壺……………」

「え?つぼ?ツボがどうしたの?」

「壊しちゃったんだ!壺を!何かに躓いて!で、逃げてきちゃったんだ!」

久しぶりに少し大きな声を出した気がする。

「え?逃げてきちゃったの!?それはやばいよ。その壺なにか関係あるかも!行ってみよ!!骨董屋!」

すごく生き生きする理子さん。あゝ二度と行かないと誓ったのに…………

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