7、イサラギ王国独立傭兵団ジエイタイ
佐賀遠征がやっと終了しました。
作者、最後の最後でようやくクリーンヒットが出て、スランプ脱出ができました!
目覚ましい復興を遂げたカハール村。その中央広場に、この世界に来た自衛隊の全部隊が集合していた。車両20台、航空機10機、人員60…否、その他もろもろを合わせて総勢66名。
「ぬぉぉお!ミュイ!行かないでくれェ!」
「おじいちゃん泣かないでよ〜、ジエータイのお手伝いしたらすぐに帰ってくるからさ」
「本当か!本当に帰ってくれるんじゃな!?」
「当たり前だよ…だから行ってくるね」
カハール村の村長の孫ミュイは、自分の持つ異能の力、「解析」「複製」「破壊」の能力を自衛隊に買われ、協力することになった。ちなみに、カハール掃討戦でミュイが見せたのは、空間に気泡を作って破裂させるという破壊の力である。ミュイは別れを惜しみながらも、車列の三台目にある軽装甲機動車の助手席に乗る不知火の膝の上にチョコンと座る。
「シラヌイ殿、孫を頼みました」
「はい、無事に王都まで送り届けます」
「隊長、全部隊集結しました。イアナ女王陛下の馬車が先導してくれます」
「よし、指揮車から全部隊へ、王都に向けて移動を開始せよ」
装甲車や戦車を合わせた20両の車両が一列縦列になって、先頭を走る馬車について行く。自衛隊員たちは村人に手を振りながら村を後にする。
「しかし隊長も思い切ったことをしましたね。何か考えがあるんですか?」
運転席の栗良から尋ねられた不知火は、淡々と答える。
「まぁ、俺としても若干の迷いはあった。しかしなぁ、満足に補給や飯を食えないまま流浪の民にでもなってみろ。いくら良い事ばっかりしても見る人が見れば不気味な連中に見えるし、俺たちは国民に愛される自衛隊でしょ?」
「まぁそうですね。一か八か博打してみるのもいいですね」
こうして自衛隊はイサラギ王国の王都へと辿り着く。そこにはイアナ女王の帰りを待ち構えていたのか、あるいは見知らぬ傭兵、自衛隊を見に集まったのか、不知火は前者だと祈る。
「陛下!おかえりなさい!」
「陛下!陛下!」
民衆が道端から、建物の窓から、イアナに向けて手を振り歓声を上げる。そして、イアナが乗る馬車の後ろに付く自衛隊の車両を見た民衆は度肝をぬかれる。
「あれが噂の斑服の傭兵団か!」
「見てみろよあの鉄の馬車!馬が引いてないのに自分で走ってるぞ!」
「後ろの馬車なんか長弩や大砲を積んでるぞ!」
「彼らが来てくれたなら王国も平和になるな!」
車両部隊の通過はこんなものだが、航空部隊の通過の時はもっと大変だった。
「我々、なんかパンダみたいですね。」
「なんか、超有名になりそうだ……」
「まぁ、俺たちの新たなる門出だ。新天地なんだから景気良かってもいいんじゃないか?」
沿道からは歓声や紙吹雪が舞う、民衆は自衛隊を快く思っているが、それを快く思っていない人間達もいる。
「大臣、我が神がこう告げております。異端なる彼らを王国に招けば、イサラギ王国は壊滅すると」
「ワシの計画に支障をきたす、ロディア教はどうするのだ?」
「我々は、彼らを信仰の異端とし、徹底的に弾圧する所存であります」
「ならワシは、あの小娘に何か入れ知恵でもしておこう。今はまだ決行の時ではない。」
王城の一室、小太りの男はイサラギ王国の大臣、白いローブの男はイサラギ王国唯一の信仰宗教ロディア、窓より外を見つめる2人の男は口元に不気味な笑みを浮かべる。
「成功した暁には?」
「分かっておる。この国を魔王に明け渡し、ワシとお主はめでたく魔王軍の幹部になる」
「すでに初めの一手を打っております」
「期待しておこう」
外はすでに夕暮れになる、自衛隊は車両と装備を王宮内の庭園に持ち込み、不知火と土岐野を除く全員が整列していた。
「陸曹、2尉達は大丈夫ですかね?」
「隊長なら大丈夫だろ、隊長の身を心配するより、今日の宿が豚小屋じゃないことを祈ろうや。」
王宮内に入った2人は、無駄に豪華そうな絨毯に足跡をつけない様、ゆっくり歩いていた。
「隊長。」
「ん?なんだ?」
「何してんですか自分達」
「何って……何だろ」
「なんか悲しいですね」
2人は観念したかの様に歩き直す。2人の前を従属と歩いていたイアナは、興味深そうな眼差しを向ける。
「(傭兵にありがちな横柄な態度も取らず、礼儀正しく、愛想もいい……傭兵というより、まるで何処かの軍隊のようね)」
かく言う不知火達も、イアナやその他の人間達に興味を示していた。
「(めっちゃジロジロ見られてますよ?)」
「(異世界から来た未知の勢力だぞ?興味を示さないほうがおかしい)」
「(しかし驚きましたね、本当に中世ヨーロッパ並のお城に入る夢が叶うなんて)」
「(それにあの女王様、年齢からして25歳前後じゃないか?エリート出世街道まっしぐらだな)」
「(ハハ、羨ましいですね)」
こうして自衛隊は交渉の場に赴く。




