15、マインドコントロールって洗脳?
ジェスカは怒り狂い、そこらにあった物を蹴り飛ばす。
「なんで!なんで死なないの!あの役立たず!だから人形は信用できないのよ!」
「ふふふ……あなたが……彼らを甘く身過ぎていたのよ」
「だまれ!」
ジェスカの投擲したナイフが、賢者の右腕に突き刺さる。赤い鮮血が飛び散り、苦痛の声を上げる。さいわい、関節部分ではなく筋肉部分だったため、致命傷にはなっていない。賢者はバレないように回復魔法で少しずつ傷口を癒す。
「うくっ!くはぁはぁ……」
「まぁいいわ、まだ奥の手があるもの」
ジェスカが手を叩くと、暗闇から人間の5倍はあると思われる動物がでてくる。獅子のような頭部と胴部を持ち、悪魔の様な翼と蛇の頭がついた尻尾を持つ生物が中に入って来る
「き、合成獣まで……」
「グルル……」
「この女を食べさせてくれって?まぁ、手始めにアンジュちゃんから殺しましょうか。女は最後よ」
そう言われたキメラは部屋から出て行く、ジェスカが水晶に映し出した映像には、不知火たちと行動をともにするアンジュの姿が映っていた。
「彼女をどうするつもり?」
「殺すに決まってるでしょ?」
「なぜ?」
「妹だからよ、身内がまだ生きてるなんて腹立たしい。あの子もあいつらと一緒なの、死ぬしか道は残されてないの」
「あ!あなたって人は!」
賢者が怒りで取り乱す。それもそうだ、自らの身内である妹を真っ先に殺そうとするなど、常人では考えられない発言をしたのだから。
「だまれ」
「は?」
「だまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれぇ!お前に何がわかる!私を闇に追いやったあいつらの何を知っている!?ふざけるな!」
ジェスカがキレる、少し落ち着きを取り戻したジェスカは、踵を返して拘束室を出る。
「なんで……あんなに?」
賢者は何か引っかかった。なぜ、あそこまで妹の事に反応したのか、少し気になった賢者は、まだ残っている微量の魔力を総動員し、浮遊の魔法を発動する。
持ち上げたのは一冊の本、黒の魔術書だった。
「もしかして彼女……」
何か引っかかった賢者は、触手に体力を吸われぬよう、ゆっくりとページを開き始めた。
「これは……?」
最初のページに日記のような物が挟まれていた。それを見てみる。
「貴女に与えられし名、かの膨大な下等国家の野望を打ち砕くべし。時あらば、貴女に与えた傀儡の能力は洗浄されし……ようするに彼女って洗脳されてるんだ……」
賢者は続けて他のページを読み漁る。何ページか毎に同じような紙切れが挟まっている。
「貴女に与えた傀儡の能力、それを使い、貴女を闇に追いやった下等種族を残らず下僕とせよ……」
最後に、ジェスカ本人が書いたと思われる文面があった。
「私を否定したもの全て、この世から消し去る。私の努力を認めず、自らの恩恵として世に広めたクズ共を、2度と立ち直れない姿に変えて下僕にしてやる。それが、たとえ愛すべき妹であっても……」
それが彼女の決心であると悟った賢者は、拘束具を強制解放し、扉へと走って行く。




