1/17
物語の始まり始まり……
日本とは思えない風景が広がっている。田舎の山奥を連想させる人工物が一切ないここに、その姿がよく似合う服装をした者たちがいた。
「ここは?どこだ?」
「不知火2尉?よかった、気がつきましたか?」
「栗良陸曹、ここはどこだ?」
「分かりません、気がつくと、自分もここに倒れていました。現在、同じくここ一体に倒れていた隊員を呼び集め、部隊を再編成中であります」
「そうか、全員が揃ったら俺が現状報告をしよう」
数分後、普通科三個小隊、特科一個小隊、機甲科二個小隊、衛生科一個小隊、果ては航空科二個小隊までもがヘリコプターを乗り付けてやってきた。その数、計60名。
「ええっと、みんな知ってると思うが、ここは携帯は圏外、GPSすら通じない場所だ。航空科が周辺を探索してきたが、ここら一体にあった人工物は皆無」
一同がどよめく中、不知火は咳払いをして淡々に話した。
「どうやら俺たち、異世界に来ちまったらしい」
歓声が沸き起こったのは何故だろうか。