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9.

 須田は再び安田の住むマンションに向かった。最初に来たときに目をつけておいた、マンションの向側にある喫茶店の前に立った。なかなか洒落た店で、コーヒーにもいい値段がついていた。おかわり無料とのことだったので、たいして迷わずに店に入った。

 三杯ほどコーヒーを飲んだころ、須田は背後から声をかけられた。

「この暑い日に、よくそんなむさい格好で熱いものをすすってられるな」

 気楽で涼しげな格好をした三山だった。

「それにしても、随分としけた面をしてるな。俺が最近聞いた話と関係ありかな?」

「どんな噂だ?」

「どっかのヒモがな、大分追い詰められてるらしいんだ。客が裏切ったか、弁護士が裏切ったか、それとも他の誰かが裏切ったのか。ま、大分ヤバイ状態らしい」

 三山はオレンジジュースを一気に流し込んだ。

「一番最近の話だと、女にも逃げられたらしい。一人か二人しか残ってないんだそうだ」

「商売あがったりだな」

「いや、奴さんなかなかしぶといようでね。裏切り者探しと、新しい女の確保に走り回ってるらしい。何かと邪魔が入ってるようだけどな」

 三山は意味ありげな目で須田を見た。

「まさか、思い当たるフシはないよな?」

「芝居はやめろ。何が言いたいんだ?」

「わかったよ。お前が調べてる噂のヒモの関連でな、お前に合わせたい奴がいるんだよ」

「無駄足はごめんだぞ」

「依頼人になるかもしれないぜ。何時なら空いてるんだ?」

 須田はコーヒーを一口飲んで、カップの中を見つめながら、軽く肩をすくめた。

「10時以降なら大丈夫だ」

「場所はいつものところだ。遅れないようにしてくれよ」

 そう言って、腰のベルトに挿してあったサングラスをかけると、三山は早足で店を出て行った。須田は大きな溜息をついた。

「また厄介ごとが増えそうだ」

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