77.
須田と前田は電車に30分ほど乗って、隣の県の有料の公園に入場した。平日の昼間なので人も少なく、話をするには理想的な環境だった。
「確かに、いいところですね」
前田はあたりを見回しながら言った。
「ええ、内密の話をするのには最適の場所です」
そう言って、須田は近くのベンチに腰を下ろした。前田が同じベンチに座ろうとすると、須田はそれを止めた。
「あなたは座らないほうが目立ちません」
「逃げ出すかもしれませんよ? 座っていたら追いつけないでしょう」
「そうしたいのでしたら、どうぞ。もっとも、私はあなたがここまで来て逃げ出すとは考えていませんが」
「そうですね、それは考えていません」
前田は座っている須田と少し距離をとった場所に立った。須田は前田のほうを見ずに口を開いた。
「単刀直入に言いますが、あなたと三島さんと清水さんは、奥になにかしらの恨みがあると考えていいんでしょうか?」
「恨みですか、まあ間違いではないでしょうね」
「いつ頃から協力関係にあったんでしょうか」
「こっちに来てからですよ、偶然知り合ったんです」
「あちらにとってはそうでも、あなたは違うんじゃないでしょうか。永いこと、奥を追いかけていたんでしょうから」
「思い出したのなら、いまさら隠してもしょうがありませんね。そう、昔あなたが手がけた事件、兄が殺された事件の頃から追ってますから」前田は笑顔を浮かべた。「彼女には1年くらい前から目をつけてましたよ」
「なぜ彼女に目をつけたんです?」
「奥にドラッグの倉庫代わりに使われてたんですよ。そこから抜け出したがってたので、有益な協力者になるだろうと思いましてね」
「清水さんはどうなんでしょう」
「あの人は子供を亡くしたらしいんですが、詳しいことは知りません。直接話したことはほとんどないので」
「なるほど。三島さんから詳しいことは聞いてないわけですか」
「ええ、彼女は非常に信頼しているようでしたけどね」




