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74.

 須田の携帯電話が鳴った。相手を確かめると、木村だった。

「ちょっと出てくる」

「ああ、こっちは好きにやっとくから、ゆっくりしてこいよ」

「やりすぎるなよ」

 須田は事務所から出て、すぐに電話にでた。

「何かあったのか?」

「大あり。今あんたの依頼人とやらに会ってるんだけど、あれ、だいぶ手強いでしょ」

「ああ、手強いな」

「そういうわけだから、すぐにこっちに来てもらいたんだけど」

「こっちも今取り込み中なんだけどな。いや、もちろんすぐに行く」

「それなら上出来。まあしばらくは引き止めておくけど、できるだけ早くお願いね。例の三島って子が入院してた病院の玄関前に居るから」

「ああ、わかったよ」

「それと、後で詳しい話を聞かせてもらうから。いい店の予約よろしく」

 須田は返事をせずに電話を切った。そして吉田の事務所に戻った。三山は退屈そうに手持ちのお菓子を机の上に並べていた。吉田はまだふるえていた。

「何だったんださっきの電話は?」

 三山は顔を上げずに言った。

「トラブルを持ち込む電話だ。ちょっと時間がかかりそうだから、ここは任せる」

「そうか」三山は顔を上げて吉田に嫌な笑顔を向けた。「吉田君よ、そういうことだから、2人でじっくりと語り合おうじゃないか。」

「やりすぎるなよ。話の内容にもよるが、公なことになるかもしれないからな」

「わかったよ。そういうわけだから吉田君よ、後で吐くより今吐いたほうが得だぜ、やっぱり。世間様に比べたら、俺はかなりやさしいんだ」

 須田は吉田を一瞥してから、無言で事務所から出て行った。三山はそれを見送ると、机に並べたお菓子の一つを手にとって、袋を開けた。

「さてと、俺を退屈させないでくれよ」

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