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60.

 須田は三島から連絡があったファミレスのあたりで聞き込みをしていた。三山から借りた連中には、三島の特徴を伝えて、とにかく歩き回らせている。そして、聞き込みは予想よりも順調に進んでいた。

 ファミレスの店員は三島と前田らしき男が居たのを覚えていて、前田らしき男が先に会計を済ませて出て行ったということだった。三島が姿を消したのはそのすぐ後のようだったが、その店員はそれは見ていなかった。前田がこれに関わっているかどうかが非常に気になったが、須田はとりあえずその問題は置いといて、今の目の前のことに集中した。

 店員から大体の時間を聞き出せたので、そこに絞って、さらに怪しい車や人に関して集中的に聞き込みをした。時間は着実に過ぎていったが、須田に焦った様子は全くなかった。落ち着いて穏やかな雰囲気でひたすらドアをノックしたり道行く人を呼び止めたりしていた。

 三山から借りている連中はからはこまめに報告が来たが、あまり芳しいものではなかった。しかし、須田のほうにはしっかりと収穫があった。三島らしき女が、長身で頭の薄い男とファミレスを出るのを目撃した人物が見つかった。

 須田の脳裏には一度顔を合わせた吉田の顔が浮かんだ。すぐに三山に連絡を入れた。

「どうだ? 収穫はあったか?」

「ああ、おそらく吉田が動いてる。奴の本拠地はどこだ」

「ああ、やっぱりなあ。あの野郎最初っから怪しいと思ってたんだよ」三山は大して驚いてないようだった。「それであいつの事務所はだな、近いぞ、そこから歩いて5分くらいのところだ」

 須田は三山が読み上げた住所を手帳に書き込んだ。

「しかしな、一人で乗り込むのはまずい選択だぞ」

「わかってる。それでも向こうには一人だと思わせないたほうがいい」

「そうだな、まあ無理はするなよ。俺もすぐにそっちに行く」

「頼む」

 須田は電話を切ってから、すぐに石村に連絡を入れた。

「三島の居所の見当がついた」須田は吉田の事務所の住所を読み上げた。「すぐに来てくれ。お膳立てはしておく」

「了解。話は後で聞かせてもらうぜ」

 石村は簡潔な返事をした。須田はポケットに突っ込んできたグローブをつけて、吉田の事務所に足を向けた。

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