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21.

 三島の面会許可が出たので、須田は三島の父親の面会が済んでから、病室に入った。三島は多少青ざめた顔をしていたが、それほどひどい状況ではなかった。須田は自分の椅子を持ってきて、それに腰掛けた。

「さっきはありがとうございました」

 三島はそう言って頭を下げた。須田はうなずいて、微笑を浮かべた。

「あなたは依頼人ですからね。あれくらいは通常の業務の範疇ですよ」

「そうですか」三島は影のある表情でうなずいた。「ところで、私に聞きたいこと、ありますよね」

 須田はしばらくの間、黙って三島の顔を見つめた。

「そうですね、まずはあなたの部屋に隠しているものについて教えてもらえますか?」

 三島の顔が歪んだ。

「三島さん、答えたくないのはわかります。しかし、今あなたが答えてくれれば、面倒が減ることになります。私のだけでなく、あなたのもです」

 須田の言葉に、三島は観念したかのように顔を上げた。その顔は歪んではいなかった。

「そのうち、こういうことになるとは思ってました。でも、想像していたより、ずっとましですね」

 三島の顔には微笑が浮かんでいた。須田は黙ってうなずいた。

「薬です。麻薬です。押入れの奥の柱に見せかけた場所に隠してあります」三島の目から涙がこぼれた。「あんな物、捨ててしまえばよかった。でも、私はそれを置いておいたんです。わかりますか? こういう気持ち」

「それなりにはわかります。そういったことから足を洗うのは簡単なことではありませんから。それでも、無理ということはありません」

「今まで何度も決心したんです。今度こそ抜け出そうって」

「今度はできるかもしれませんよ。あなたはすでに一歩踏み出しているんですから。そうでなければ私のところには来ていないでしょう」

 須田は腕を組んで、三島の顔を凝視した。

「あなたを襲った男が誰だか教えてもらえますか?」

「知らない男でした」

「そうですか。では質問を変えましょう。そもそも、あなたを安田に紹介したのは誰ですか?」

 三島はあからさまに動揺して、いまにもヒステリーを起こしそうになった。

「落ち着いて。少しも怖がったりする必要はありませんよ。私は依頼人の安全を何よりも優先しますし、あなたの知っていることが重要なことであれば、警察に保護を要請することもできます」

 三島は自分を落ち着けようと、ゆっくりと深呼吸をした。しばらくそうしているうちに、だいぶ落ち着いてきたようだった。

「話せますか?」

 須田の言葉に三島はうなずいた。

「これこそがあなたのチャンスです」

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