表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/140

2.

 前田は汗を拭きながら空を見上げた。今日は暑い。涼をとるために、ファミリーレストランに入って、アイスコーヒーを注文した。上着を脱いで、煙草を取り出して火をつけようとした。

「よお、兄ちゃん。火遊びはよした方がいいぜ」

 前田は突然の声に顔を上げた。いつの間にか、向側に小柄で筋肉質な男が座っていた。危ない、前田はそう感じて立ち上がろうとした。

「そうあせんなよ。まだ注文したもんもきてねえしな」

 男の言葉で、前田は席に押さえつけられた。アイスコーヒーが運ばれてくると、男はビールを注文した。前田はアイスコーヒーに手をつけずに、男をよく観察しようとした。

「まあ遠慮するなよ。それとも、俺の顔に何かついてるのか?」

 再び男の言葉で前田の行動は押さえつけられた。男は一段低い声で無表情にしゃべり始めた。

「貴様は何も知る必要はない。探偵を雇ったようだが、無駄なことだ。貴様は何も知ることはできないし、そうする意味もない。わかるよな、俺が何を言いたいかは?」

「いったい、何の話だ?」

「わかってんだろ」男は運ばれてきたビールを一口飲んだ。「例の女の話だ。さっさと忘れちまえよ」

「何を言ってるのかわからないな」

「しらばっくれんなよ」男は芝居がかった口調でそう言った。前田は完全に気圧されていた。男の言葉にではなく、その凶暴な冷たい目に。しばらくして、男は口を開いた。

「もう行ってもいいぜ、勘定は俺が払っといてやるからよ」

 前田は男の雰囲気に押されるようにして、店から出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ