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128.

 奥はスナック菓子を食べながら、椅子にふんぞりかえっていた。

「で、例の探偵の動きは何かわかったか」

「何か動きまわっているようですが、今のところは詳細は不明です」

「もうこのあたりを嗅ぎまわってるかもな。なかなか鼻がいい奴なんだろ?」

 奥はにやりと笑って森川を見た。

「情報を集めてみましたが、これといったものはありません。一人で仕事をしていて、それほど繁盛していない。扱う案件はこの街の中の小さなものが多く、特に目立ったようなことはなし。ただ、色々なところに多少顔がきくようです」

「例えばどこだ」

「警察や地元の政治家に話をするくらいはできるようです。それ以上のことをやった形跡はありません」

「できないのかやらないのか。どっちだ?」

「それほど影響力があるという証拠はありませんので、できないのでしょう」

「なるほどな。それで、お前はこの探偵をどう思う?」

「そこまで警戒する必要があるとは思えませんが」

「そいつはたぶん過小評価だぜ」奥はスナック菓子を口に放り込んで、飲み込んだ。「この探偵は確実にこっちに近づいてきてる。今までがどうたったかなんてことは知らんが、今回は働きとしちゃあ悪くない。面白いじゃないか」

「そうですね。さえない個人探偵という評判と今回の件での動きは一致しない部分があります」

「この探偵のことをもっと探っておけ。なにかあったらすぐに知らせろ」

「わかりました。あの前田というのはどうするんですか?」

「あっちは放っておけばいい。俺がたまに相手をしてやるよ」

「そうですか」森川は立ち上がった。「では仕事に戻ります」

「準備と根回しはしっかりな。あの探偵のこともある程度おさえておけ」

「わかりました」

 森川は事務所を出て行った。残された奥はスナック菓子をつまみながら天井を見上げていた。

「ここじゃ、もうちょっと商売ができそうだと思ってたんだがな」

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