表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/140

102.

 まさか吉田から受け取った電話番号がまだ使えるとは思っていなかった。そして、公衆電話からの着信に大平がでてくるというのは、もっと予想できないことだった。

「こういうかたちでまた話をすることになるのは、残念です」

「私もそう思うよ。まさか君から電話が入るとは思っていなかった」

「同感ですね。私も大平さんにこうして電話をすることになるとは思っていませんでした」

 電話越しだが、睨み合いのような沈黙があった。

「君に言うことがあるとすれば、手を引いてもらいたい、ということだけだよ」

「それは残念です。今更手を引くというのは考えられません。それなりに労力をかけてますから」

「そうか」大平は何か考え込んで、少し間が空いた。「それなら君は敵だな」

「それなら、どうしますか? 私としては、必ずしも敵だとは思っていませんが」

「そう言ってくれるのは嬉しいことだがね、たぶん無理だろう」

 大平のため息には、演技ではない残念だという感情が表れているように聞こえた。須田はそれを信じなかった。

「協力していただけない、ということですね」

「残念だが、その通りだ」

 電話はそこで切れた。須田はすぐに石村に電話をかけた。

「どうした、進展があったのか?」

 須田は石村の携帯番号と、話をしていた時間を石村に告げた。

「場所が知りたい。この情報があれば、それなりに絞り込めるだろ」

「そうだな、刑事が個人的にやるスタンドプレイだが。いいぜ、やっておく」

「頼む。お膳立てはしっかりやってるつもりだ」

「ああ、俺のボスにも楽しいことがあるって言っておくよ」石村は少し改まった調子になった。「わかってるだろうが、くれぐれも気をつけろよ。甘い相手じゃないんだからな」

「ああ、わかってる。まあ、あちらさんもこっちが甘い相手じゃないとわかってくれてるだろう」

「その期待には答えたいもんだな。ああいった連中をのさばらせておくのは、こっちとしてもちょっと都合が悪い。本当に頼むぜ」

「できるだけのことはやるさ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ