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1.

「彼女は、突然他の男とつき合い始めたんです」

 前田吉男、24歳くらいは、首をひねりながら、肩を落としてそう言った。

「おかしいと思いませんか? 僕と彼女はいい感じだったのに、それなのに、ある日を境にまるで僕のことを忘れてしまったかのように、他の男とつき合い始めたんですよ。別れの言葉もなしに。こんなこと信じられますか?」

 暗いトーンで熱弁を振るう前田を、須田正人はいかにも熱心そうな様子で眺めていた。

「もちろん、彼女が本当に僕のことを忘れたわけじゃありませんよ。ただ、電話をしても出てくれないし、メールを送っても返事をくれないだけです」

「彼女に直接会いに行ってはいないんですか?」

「それはもちろん会いに行きましたよ」前田は大きく溜息をついた。「彼女は、帰ってくれと言うだけで、会ってはくれませんでした」

「なるほど、ご事情はよくわかりました。それで、ご依頼の内容はどのようなことでしょうか?」

「ええ、ええ、それはですね」前田は一枚の写真を取り出した。「この左側の男を徹底的に調べて欲しいんですよ」

 須田は写真を受け取った。道を歩いている二人の男が写っている。前田が言った左側の男は、おそらく30を越えていて、それなりに二枚目だった。

「これは、あなたの彼女のお相手ですか?」

「そう、その通りです。とにかくそいつのアラを探して欲しいんですよ」

「わかりました。差し支えなければ、理由を教えていただけますか?」

 前田はニヤリと笑って答えた。

「思い知らせてやるんです」

 須田は黙ってうなずいた。

「概算の見積を出しますので、少々お待ちください」

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